電子書籍

2015.07.27

電子書籍とは

紙に印刷された本ではなく、画面で読む本や雑誌を電子書籍という。電子本、電書、イーブックとも言う。一般的にはインターネット上の電子書店で販売されている電子書籍を購入し、PC、スマホ、タブレットや、Kindleのような専用読書端末で読書する。Webページのようにリンクの埋め込みや音声、動画といったマルチメディア表現も可能であり、紙の代替物ではなく、電子書籍の特徴を生かした新しい表現が期待されている。

 

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詳 細

電子書籍の特徴は、いつでもどこでも書籍が手に入り、本棚の場所をとらない点である。また、文字や画像の拡大縮小が自在であり、音声や動画をはじめインタラクティブな表現など、紙の書籍ではできないデジタルならではのメリットがある。

読書には、電子書籍ビューアーと呼ばれる閲覧用のソフトウェアを利用。読者はビューアーをパソコンやスマホなど利用する端末にインストールし、インターネット上の電子書店から読みたいコンテンツを入手して、ビューアーで閲覧する。

商用の電子書店をはじめとする電子書籍サービスは出版社や印刷会社のみならず、キャリアやIT企業などの新規参入も相次ぎ、さまざまなサービスが展開されている。また、青空文庫や国会図書館の近代デジタルライブラリーといった著作権切れの電子書籍を無料で提供するサービスや、KDP(Kindle Direct Publishing)のように、アマチュアが書いた作品を投稿して販売するセルフパブリッシング(自費出版)サービスも人気。

電子書籍の黎明期は、紙の書籍に対して電子書籍が少なく、読みたいコンテンツがそろっていないことが普及を妨げていると言われたが、現在はベストセラーや新刊も充実しており、電子雑誌を含む電子出版の市場は2014年には1,411億円(前年比35%増)と急速に拡大、2019年には2,900億円と予測 されている

電子書籍フォーマットにはさまざまなフォーマットが存在し、その特徴によって大きくリフロー型とフィックス型に分かれる。一般的にテキスト系の読み物は、画面サイズに合わせてテキストを最適なレイアウトに自動的に組み直して表示するリフロー型で制作されるが、コミックや雑誌など美しい凝ったレイアウトの書籍は、固定されたレイアウトで表示するフィックス型で制作される。

かつては国内のメーカーやベンダーが開発した.book(ドットブック)やXMDFを中心に複数のフォーマットが乱立し、出版社は各フォーマット向けに電子書籍を制作するための手間やコストがかかったが、EPUB3の普及でフォーマットが統一され、このような制作の手間がなくなった。

 

歴 史

インターネットから配信する現在のようなスタイルの電子書籍立ち上げの試みは、出版業界が中心となって過去に何度か行われ、その度に「電子書籍元年」と話題になった。

最初の電子書籍元年は1999年の電子書籍コンソーシアムの設立である。出版不況や返本問題といった課題を抱えた出版業界は、当時の通産省から資金を得て電子書籍の実証実験プロジェクトを行った。コミックを中心に書籍が電子化され、衛星インターネット回線を通じて書店に設置されたキオスク端末にコンテンツを配信し、シャープが試作した読書専用端末で読書するというスタイルだった。

2003年には、出版社やメーカーで構成される電子書籍ビジネスコンソーシアムが立ち上がり、パナソニックが開発した読書端末ΣBook(シグマブック)とソニーのLIBRIe(リブリエ)を中心に、メーカーが主導する形で電子書籍が業界内のみならず一般にも大きな注目を集めた。この頃には複数の電子書店も立ち上がったが、本格的な普及には至らなかった。

その後、電子書籍はガラケーで読むケータイコミックを中心に普及が進み、ブログに投稿した作品がケータイ小説となって大ヒットした。

電子書籍元年の本命とも呼べる動きは、グローバル化の中で起こった。国内の出版不況が続く中、2007年、Googleがあらゆる書籍を電子化して検索対象とするGoogleブックサーチが、著作権を無視した一方的な電子化だとして世界中で大きな問題となった。この問題は、これまで電子書籍に積極的でなかった出版社にとっても、「書籍の電子化」を身近な問題として意識するきっかけとなった。同じ頃iPhoneに続き、iPadが発売され、簡単な操作で読みやすい読書環境がスマホで実現され、ガラケーは、iPhoneやAndroid端末に取って代わった。2011年には電子書籍フォーマットもEPUB3という全世界共通のフォーマットで統一された。国内で独自の進化を遂げた電子書籍ビジネスは、ハード、ソフトともにグローバルなプラットフォームに移行し、電子書籍の本格的な普及がはじまった。

 

[柳 明生/イースト株式会社/20150713]

 

註:インプレス総合研究所、2015年『電子書籍ビジネス調査報告書 2015』インプレス