教育機関における複製

2017.01.13

教育機関における複製とは

 著作権法第35条で定められた、教育機関における著作権の権利制限を示した内容を示す。

 ふつう、著作物は著作権者の許可なくして複製はできないが、教育機関において以下のような場合、許可なく複製して利用できる。

・教育を担任する者やその授業を受ける者(学習者)は、授業の過程で使用するために著作物を複製することができる。

・「主会場」での授業が「副会場」に同時中継されている場合に、主会場で用いられている教材を、副会場で授業を受ける者に対し公衆送信することができる。複製が認められる範囲であれば、翻訳、編曲、変形、翻案もできる。

 ただし、ドリル、ワークブックなど商品の複製や、授業の目的を超えた放送番組のライブラリー化など、著作権者に不当に経済的不利益を与えるおそれがある場合にはこの規定は適用されない。

 

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潮流

 教育や教材の多様化、デジタル化の進展やこれらを促進するために著作権法が再検討されている。たとえば、現在認めらているのは同時送信の際の複製だが、これを異時送信まで可能にする議論が行われている。

 

関連内容

 学校教育の目的上必要と認められる限度で学校教育番組において著作物を放送等することができる。また、学校教育番組用の教材に著作物を掲載することができる。ただし、いずれの場合にも著作者への通知と著作権者への補償金の支払いが必要となる。同様の目的であれば、翻訳、編曲、変形、翻案もできる。(著作権法第34条)

 

 入学試験や採用試験などの問題として著作物を複製すること、インターネット等を利用して試験を行う際には公衆送信することができる。同様の目的であれば、翻訳もできる。

 ただし、著作権者に不当に経済的不利益を与えるおそれがある場合にはこの例外規定は適用されない。

 営利目的の模擬試験などのための複製、公衆送信の場合には、著作権者への補償金の支払いが必要となる。(著作権法第36条)

 

 

[坂本陽一 株式会社新興出版社啓林館 20170111]