青空文庫

2017.04.11

青空文庫とは

 著作権の保護期間を過ぎた作品や、公開を許諾された作品を集めて電子化し、インターネットで無料公開するサービス。作品は、ボランティアの手によって入力、校正などが行われ、テキスト形式とHTML形式で公開されている。2017年4月4日時点で、収録作品数(蔵書)は14,126点となっている。

 

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経緯

 1997年2月、フリーランスの編集者であり作家の富田倫生氏をはじめとする4名が発起人となり、インターネット上に開設する電子図書館として「青空文庫」を発足させた。同年8月、福井大学の岡島昭浩助教授(当時)が開設していたサイト「日本文学等テキストファイル」の収録作品をもとに、一般に向けて正式に公開された。ちなみに、青空文庫の公式の “誕生日” は、そのコンセプトを示す「青空文庫の提案」に記された1997年7月7日となっている。

 当初は、電子出版業者として1992年に設立された株式会社ボイジャーのドメイン内にURLを置いていた。開設時に公開された作品は中島敦「山月記」、二葉亭四迷「余が言文一致の由来」、森鴎外「高瀬舟」、与謝野晶子「みだれ髪」である。

 作品は、現在も採用されているテキスト形式とHTML形式のほかに、ボイジャーが開発した電子書籍作成ツール「エキスパンドブック」のファイル形式を用意し、縦組みやルビに対応した同形式を中心に公開していく予定であった。しかしその後、閲覧に適したテキストビューアが複数開発されたことなどから、2002年以降エキスパンドブック形式での新たな作成は中止されている。

 一般公開後、青空文庫はIT系の雑誌や全国紙でもしばしば取り上げられ、アクセス数も増加。それに伴って、作品の追加公開作業にボランティアが携わるようになった。以降、運営や管理のためのシステム、作業マニュアルなどの整備が進められ、現在もサービスを継続しながら更新中である。

特徴

 作品の閲覧は無料。著作権の保護期間を過ぎた作品については、原則として自由に閲覧、複製、再配布することができる。著作権の存続している作品については閲覧は自由だが、複製・再配布については、著作権法第30条に規定された私的使用の範囲内に限定される。

 公開中の作品を探すには、「作家別」「作品別」「分野別」のリストのほか、サイト内検索が利用できる。「作家別」「作品別」は五十音単位、「分野別」は日本十進分類法(NDC)に基づく階層分類(3次区分まで)による一覧リストである。後者においては「児童書」が分離されている。また、公開中の作品とは別に、作業中のものも作品名・作家名の五十音順リストで確認することができる。

運営

 青空文庫には明確なリーダーや代表者は置かれていない。作品の電子化に必要な入力や校正、サイトの運営や広報、そして会計にいたるまで、すべてボランティアの手によって運営されている。データの構築と管理、サービス運営といった人件費は原則必要としないが、サーバの維持費などは広告収入や寄付金、助成金などでまかなわれている。

 入力や校正に携わるボランティアは、特に「青空文庫工作員」と呼ばれている。作品の入力と校正は必ず別々の工作員が担当することになっており、それぞれの作品の作業がどこまで進んでいるかを確認した上で、各自が志願する。希望を受け付けたボランティアが工作員に作業を依頼し、点検やファイルの整備を行って作品公開に至る。

著作権の保護期間延長問題

 2015年10月、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)が大筋合意に至ったことで、著作権の保護期間が現行の50年から70年に延長される可能性が高まった。この動きに対し青空文庫は文化審議会に「意見資料」を提出。保護期間の延長がコンテンツの知的活用に及ぼす影響を憂慮し、文化の共有が「経済的なものさしだけで測られてしまうことへの違和感」を表明した。

 2005年に文化庁が著作権保護期間の延長について検討を始めた際、すでに青空文庫は延長に反対する旨の声明をサイト上で公開している。また2016年11月のTPP衆議院採決の際にも同様の声明を発表。パブリック・ドメイン作品の活用による社会的な文化共有の重要性を訴え続けている。

参考URL

青空文庫 http://www.aozora.gr.jp/

[松本千晶 株式会社研究社 20170410]