25 コラム「JepaX」

 JepaX(ジェパエックス)は、インターネットが台頭し、書籍、CD-ROMと共に3種類のメディアに、コンテンツを提供する必要が出てきた1998年に、JEPA出版データフォーマット標準化研究会が策定したXMLを使ったデータ形式です。

 当時、多くの会員出版社から、「インターネット時代に、どのような形式で自社の出版データを保持しておくべきか」という問いがあり、研究委員会が発足しました。研究委員会はHTML、XMLなど各種の標準化を推進しているW3C(World Wide Web Consortium)を参考に、以下のようなルールで策定作業を行いました。

1. 議論は基本的にメーリングリスト(ML)で行う
2. ML参加者はJEPA会員を問わず、広く門戸を広げる
3. MLの結果を集約し、策定責任を持つ者を選任する
4. 結果はWebで公開し、Free & Openで自由に利用できる

 メーリングリストには、出版社、印刷会社、コンピュータ・メーカー、ソフトハウス、フリーランスのエンジニアなど、40名近くが参加され、策定責任者はイースト株式会社の渋谷誠さんにお願いしました。
 半年ほどの検討の後、1999年5月6日「JepaX Version 0.9」(http://www.jepax.org)を一般に公開し、現在に至っています。
 JepaXは、出版社が保持すべきデータ形式として策定されたため、データ交換用ですが、当時、このフォーマットで書籍ビュアーを作る企画もありました。日本固有のデータ構造であるルビや外字の表現で工夫をしています。特に外字形式はユニークな仕様だったため、1999年末に入札が行われた、大蔵省印刷局(当時)の官報XMLプロジェクトでも採用されました。
 Free & Openのため、どの程度普及しているのか把握していませんが、仕様拡張して様々な出版関連の分野で使われているようです。

(下川和男)