「公共図書館に於けるCD-ROM付き書籍の取り扱い」
出版社編


設問1 貴方の会社ではCD-ROM付き書籍を年間何冊刊行していますか。
(ここでは雑誌等の定期刊行物は除く)

(A)
0冊
(B)
1冊〜5冊
(C)
6冊〜10冊
(D)
11冊〜20冊
(E)
21冊〜50冊
(F)
50冊以上
1919

設問2 貴方の会社ではCD-ROM付き雑誌やムックは年間何点刊行していますか。

(A)
まだ1点も刊行していない
(B)
1点〜10点
(C)
11点〜20点
(D)
21点〜50点
(E)
51点以上
2613

<設問1 設問2の分析>

当初予想していた以上にCD-ROM付き書籍を1点も刊行していなかったり、CD-ROM付き雑誌やムックの刊行のない出版社の数が目立った。アンケート未回答の多くの出版社もCD-ROM付き書籍を未刊行のため無回答と解析すれば、調査した出版社の約13%しか出していないことになるのか。同様に雑誌には付録としてCD-ROMを付けたことのない出版社の数が過半数を越えていた。

そして出している中では1〜5冊の書籍にCD-ROMを付けて出版している会社が多い。中には年間50冊以上のCD-ROM付き書籍を出版していたり、51点以上の雑誌、ムックを刊行している出版社がそれぞれ1社ずつあったが、これはコンピュータ系出版物の出版社と思われる。

ちなみに出版科学研究所の調査では、CD-ROM付きムックは、年間50種類約450点(前年比20%増)が刊行されており、付録にCD-ROMを付けた定期刊行物でも主としてパソコン系を中心に40種類が刊行されている。なお、CD-ROM付き書籍については、出版科学研究所でも把握しきれていない。

設問3 公共図書館がCD-ROM付き書籍を購入して、閲覧、館外貸出することについておたずねします。
次の選択肢から一つに○をつけてください。

(A) 館内閲覧も館外貸出もよい。16
(B) 館内閲覧はよいが、館外貸出はやめてほしい。13
(C) CD-ROMをはずせば、書籍の館外貸出はしてもよい。12

<設問3の分析>

CD-ROMを書籍に添付している出版社のうち39%は館内を閲覧はもちろんのこと館外貸出もみとめている。これは、添付したCD-ROMまで見てもらわないと書籍の内容をすべてを理解しづらいため、あえて館外貸出を認めるという回答をしているとみるべきか。それでも出版社の多くは、館外貸出はやめてほしいか、書籍のみの貸し出しを希望しており、その数は61%に達している。ただ(C)回答のなかに、書籍の内容によってはCD-ROMを付けて館外貸出OKが一通含まれていた。

設問4 館外貸出するときは著作権者の許諾を得ることを条件としますか?

(A) 条件とする25
(B) 条件としない11

(A)に○の方にうかがいます。著作権者の許諾をとるのは

(C) 出版社18
(D) 図書館

<設問4の分析>

当然のことながらCD-ROM付き書籍を公共図書館側が館外貸出をする際著作権者の許諾を得てからという回答が、許諾がなくても貸し出しOKの数を上回った。そしてその際、著作権者の許諾をどちらがとるのかは圧倒的に出版社サイドでとるべきだという結果になっている。

設問5 現在、多くの公共図書館がCD-ROM付き書籍を館外貸出する際、CD-ROMを取り外して書籍のみを貸し出している現状についておたずねします。

付録のCD-ROMを取り外して貸し出すことについて

(1) 賛成
(2) CD-ROMの内容によって取り外すのもやむをえない。16
(3) CD-ROMの内容によっては取り外さないで貸し出してほしい。11
(4) 反対
(5) どちらともいえない

<設問5の分析>

設問3で出版社のCD-ROMの取り扱いの傾向がだされたが、設問5の回答も同様の結果で内容次第で取り外さないで貸し出してほしいが25%もあることは評価したい。積極的な貸し出し派や原則貸し出し派だが、内容次第でやむをえないを含めると過半数を越えていた。むしろ取り外して貸し出すことを認める回答が少数回答になってしまっていた。以下、それぞれの回答のうち主たる理由は次の通りである。

(1)賛成
管理上から考えてもCD-ROMは取り外してまとめて管理した方がよい。(CDの貸出と同様に)
CD-ROMがあってはじめて本が活きるものもある。貸出先の証明をとればOKでは。貸しビデオのようなもの。
不正使用防止のため

(2)CD-ROMの内容によってとりはずすのもやむをえない。
書籍の体裁をとっていてもCD-ROMの方が主である場合もあるし、逆に完全に付録として添付され、CD-ROMの内容については直接的な著作隣接権を有していない場合もあるから。
CD-ROMのコンテンツをパソコンのハードディスクにインストールできるものははずしてほしい。コンテンツを見て楽しむ、学習するものは貸し出してもよいが、辞書、各種の書式例文集などは、ハードディスクにインストールできるものがある。これは貸出不可にすべき。

(3)CD-ROMの内容によっては取り外さないで貸し出してほしい。
作る側も複合メディアを活かしたものを創ってゆきたいと考えるから。
本によってはCD-ROMを併せ見る事で本の中身がよく理解できることがあると思う。
館外貸出は一般に行なわれていることであり、付属のCD-ROMを抜いたら意味を失うことになるなら、取り外さない方がいい。
本と一体化したものなので。

(4)反対
CD-ROMの内容そのものも、出版物の内容とリンクしており、切りはなせないものだから。(企画上)

(5)どちらともいえない
弊社としましてはまだ取り組んでいない分野のため、今後の大勢を見たいと思っております。
あくまでも内容次第ではないでしょうか。
CD-ROMの内容によって対応が異なる。
いずれにしても、インタラクティブ・メディアの場合、権利関係が複雑な場合が多く、一般的に言い切るのは難しい。今後、映画の著作物と認定されたりした場合はどうなりますか?

設問6 そこでうかがいます。CD-ROM付き書籍の中で、館外貸出してもよい書籍に貸出可のシンボルマークをつけて明示することにしたらいかがですか。

(A)CD-ROM付き書籍を館外貸出可のシンボルマークをつけることについて。

賛成36
反対

<設問6の分析>

館外貸出可のシンボルマークをつけることに賛成が92.3%と回答は多数であり、その理由は次の通りである。

その理由(賛成)
迷うことがない。
図書館利用者にとってその方が親切で便利であると思われる。
利用者の便宜を考え、出版社の権利を守り、無用のトラブルを防止するには有効であると考える。
明確である。
原則として館外貸出を可としますが、ソフトウェアの配布条件等によって、貸出不可の場合もあり得ます。そのときに可/不可が明示されてあるほうがいいと考えます。
CD-ROMと本で一対なので、分るようにし、かつ、違法コピー禁止をしてもらいたい。
基本はCD-ROMは本と同じということでOK。しかし、だめな場合もあるのでツールが最適。
CD-ROMを利用することでより深く理解できるから。著作や著作権者も付録につける際に賛否をはっきりさせるべき。
著作権者と事前の合意があったとして
これからもCD-ROM付きの出版は多くなると思う。従って業界としての統一した姿勢が必要と思う。
とは言え、CD-ROM付き出版物が今後も命脈を保つのか?電子決済、暗号化の進歩によるネット供給にシフトして行くのでは?
シンボルマークのデザインは両協会が選定したものでかまわないが、認定は出版社がすべき。
設問5で3を選んだから。
(設問5/3=CD-ROMの内容によってはとりはずさないで貸し出してほしい。)
ないよりはあった方が良い。
コピーされても、より広く知らしめたい情報は存在する。
出版社(出版物)によっては、図書館を市場と捉えている。

(B)貸出可のシンボルマークをつけることに賛成の方にうかがいます。

(i)日本図書館協会・日本電子出版協会が策定したシンボルマークを使用する。 YES/ NO
(ii)出版社独自にシンボルマークを選定してそれを使用する。 YES/ NO

(i)(ii)
YESNOYES/th>NO
3215

<設問6―Bの分析>

ここでも(i)の日本図書館協会・日本電子出版協会が策定したシンボルマークを使用するとの回答が圧倒的に多かった。また出版社独自でシンボルマークを策定しても規定がまちまちで目立たない、むしろ煩雑になる等の理由があげられていた。

(C)貸出可のシンボルマークをつけることに反対の方は、その理由をお聞かせください。
CD-ROMは簡単に複製できるので。
業界での統一した見解もまだ行なわれていない段階で、シンボルマーク云々の話から始めるのはどうかと思うため。
シンボルマークを付けるのには賛成だが、日本図書館協会と日本書籍出版協会(または日本雑誌協会)との連盟の方が良い。
シンボルマークの事よりも、まず業界内での見解をまとめておくことが先決だと思うため。
そもそもCD-ROM付き書籍自体、貸し出しは反対のため。

設問7 これまでに御社に公共図書館からCD-ROM付き書籍の取扱いについて問い合わせが来たことがありますか。

あるない
1725

<設問7の分析>

約40%の出版社に対して公共図書館側からCD-ROM付き書籍の取り扱いについての問い合わせをうけている。内容は多岐にわたっており、設問8でその内容について集計してある。積極的な声もあれば、消極的な回答ありで、違法コピーは著作権法違反である旨を強調した回答や、「雑誌の付録である場合はOKです」との回答が目立った。

設問8 その時の対応並びに公共図書館に対する返答についてお聞かせください(あるの方のみ)。

違法コピーが著作権法に反する旨を文章と口頭で伝えるよう指示している。
館外貸出は可です。コピーしないことを原則として、書籍と一体のものとして扱ってください。
付録として、内容を補完する意味合いがある場合は、はずさないようにお願いしている。館外貸出可能との回答をいたしました。
書籍・雑誌の付録として添付している場合には、「貸し出していただいて結構です」と答えている。
見て楽しむ、学習するものは貸し出してもいいことにしている。しかし、ハードディスクにインストールして使用することを認めているソフトの貸し出しは断っている。また最近は高性能のノートパソコンの普及で、図書館内に持ち込んだ同パソコンにコピーができるようになっている。取り扱いに注意を促している。
(雑誌についての問い合せ)内容から貸し出しをOKとした。
個人への館外貸出はOK。PC一台対人間一人は館内OK。ただし、「博物館の常設展示」のような方法は禁止。ということをお伝えしている。(ただし、編集部や製品によって違っている。)
これまでのものは基本的に館外もOKの返事をしています。これからは、館外は不可で対応したいと考えています。
貸し出しについては消極。但しCD-ROMをはずせば可。
CD-ROMをはずして、書籍の館外貸出はよい。
絶対にNO!!
著作権者に確認をとってから返事をすると答えた。
添付のCD-ROM内は、弊社独自の内容とはいいがたかったため(フリーソフト)、貸出可と答えた。
100人以上が同時にアクセスできるLANにCD-ROMの内容をコピーするという話でしたので断りました。別契約で対応できる旨は伝えています。
「●●●●」という書籍とCD-ROMを同時に使用することを前提とする本のためCD-ROMをとりはずして貸し出すことは遠慮していただいた。また、検索ソフト等パソコン一台に限って利用する条件で借用(本の性質から検索方法の紹介が必要)したため、館外貸出もお断りした。
小社で「●●●●」を刊行しました際、ご案内しました図書館より館外貸出の可否について問い合せがありました。特に本大系収録の写真は当該寺院仏閣の許諾を得ておりますため、その複製あるいはハードディスクへの落とし込みなどがなされた場合、その趣旨にもとるため、そのように(館内閲覧はよいが、館外貸出はやめてほしい)お願いしました。

<参考データ>

■CD−ROM及びCD−ROM付き書籍・雑誌の主な刊行ジャンル

コンピュータ関連書籍・雑誌
自然科学書
文芸書
語学
辞書・辞典
経済書・経営書
家庭婦人書
児童書
その他下記参照
ゲーム・パズル・地図・庭園史・実用書 法律・地名・図鑑・エンターティメント 交通情報


従業員数年間
出版点数
電子メディアの
年間出版点数
従業員数年間
出版点数
電子メディアの
年間出版点数
152〜30261502203
27100271502504〜5
320200281702505
420200292002605
525250302003005
625300312133505〜6
726300322503605〜6
827300332703906
9305003430040010
10306003535040016
11316003639050025
12437003740050010〜50
134570138450400〜50070
145070139500600数点
1570701401500600〜700
-
1673801417000
-
-
17801001〜242150(注1)
-
-
18801001〜243
-
-
-
191001001〜244
-
-
-
201001202(注1)部門人数
211001202
221001502
231151502〜3
241202002〜3
251402002〜3



BACK前のページに戻る
Homeトップページに戻る