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行 間

―日本語を読みやすくする(4)―


 Web上の日本語はなぜ読みづらいかの続きである。前回は行間を取る必要性について話した。
 最近流行りの読書用のビュアではさすがに行間が取れるようになっている。しかし,Webの世界ではまだ行間ゼロが跋扈している。実は数年前からWebブラウザでも行間が取れるようになっているのだ。しかしJavaなどで複雑な機能を持たせたページは多いが,行間をとっているページは未だに少ない。
 話は変るが,指導要領の変更が話題になっている。どうやら英語の筆記体の練習が授業から消えるらしい。この原稿を読んでくださる方は中学校で英語の筆記体の練習をされたと思う。英語の筆記体の練習ノートに線が4本引かれていたことを思い出してもらいたい。
 4本のうち下から2番目の線が少し太い。これをベースラインと呼ぶ。すべてのアルファベットはこの線を基準として書かれる。通常の小文字は下から2番目と3番目の狭い高さの中に入る。小文字でこの範囲を超えるのはdfhkltのそれぞれ頭の部分,iの点,gpqyの下の部分,jは点と下,とごく少数である。大文字はベースラインの上の二つの空間を堂々と使用するが下にはみ出す文字はない。
 何を言いたいかというと,アルファベットは行間を取らなくても行の上下に空白が生まれる文字であるということだ。行間をとらずにベッタリくっつけたとしても小文字なら字の高さの倍の行間が生まれ,大文字でも字の高さの半分の行間が生まれる。アルファベット圏の人にとっては行間はより良く読ませるための仕組みだ。行間がなくても行間が失われるわけではない。
 日本語はどうか。いうまでもない。四角四面の文字をきっちりと並べれば,縦に読んだら良いか横に読んだら良いか,まるでクロスワードパズルのようなことになってしまう。コンピュータの行間のない文章――考えて見るとよくぞこんな代物を読んでいるものだ。
 紙の本では段落で1行空きなどは特別な場合しか使わない。パソコン通信の時代から行われてきたPC独自の記述法――段落での1行空きもこの行間ゼロの環境で何とか読みやすく書きたいという苦肉の策であろう。
 冒頭にWebでも行間が取れるようになってきたと書いた。Style Sheetを使えばIEでもネットスケープでも簡単に行間が実現できる。たった3行だ。タグの間に次の3行を入れてもらいたい。
  <style><!--
    body { line-height:175% }
  --></style>
 これだけのことで,組版用語でいうと「行間2分4分」つまり文字の高さの4分の3の行間が取れる。読み物などでは200%(行間全角)も取れば余裕のある感じになってくるし,註や引用などでは150%程度にしてあげると冗長な感じを防ぐこともできる。
 他人にものを読ませたかったら,日本語では最低限行間は取らなくてはいけない。アルファベット用のシステムを日本人に無自覚に押し付けてきたコンピュータメーカーは大反省をしてもらいたい。画面では文章が読みづらいという思い込みの責任の大半はこの行間ゼロにある。
 コンピュータはアルファベットを基本として進展してきた。アルファベットと日本語の文字との間にはまだまだいろいろな差がある。次回はプロポーショナルフォントを使わないという原則を話すことにしたい。
(続く)

注 このページはline-heightを170%で設定している。Webでは紙よりも行間を少な目に設定したほうが印象がよいようだ。周囲のページが行間ベタであるから、あまり差が出ないほうが良いのかも知れない。この注釈部分は行間が130%である。
『情報管理』Vol.43 No.3 June. 2000 より転載

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