マルチメディア時代のハイブリッド営業

1997.10.01

データディスクシステム(当時)  神久 隆

 デジタル情報の記録媒体としてCD-ROMが製品化されてはや15年が経過しました。 大容量のデータ記録とハイスピードの検索機能により21世紀には紙のいらない 時代が到来するのではと、パルプ、インキ原料の関連企業の株価が変動した瞬間が ありましたが、その後の世の中は情報機器の取扱い説明に大量の印刷物が同封され、 世界の森林破壊が進んでいる状況を呈しています。
 一方音楽録音の世界では、多チャンネル音源のミキシング技術とデジタル技術によ りエジソンの発明したレコード(物理的アナログ記録)が姿を変え、小型軽量の CD時代となり、臨場感や曲の途中で失敗を許さない緊張感を追及したオールド ファンには物足りなさを感じさせているが、大量生産、大量消費の物流システムの 経済原則の波にのみこまれ、静かに音楽を楽しむ世代では無くなりつつあり、日々 自然から遠のく渦の中に巻き込まれていく生活の寂しさを感じさせる今日この頃で あります。
 デジタル情報は光通信技術の発達とともに私たちに多くの便利さを提供してくれたが、 私たちの歴史は(1か0か)の考え方だけでは文明を生み育て継承することは出来ま せん。
 近年、自然環境保護運動が21世紀への大きなテーマとなっているが、自然保護とは 教科書知識のみの発想では基本的解決はできず、体験による知恵を持つことが大きな ポイントと考えます。 即ちマルチ時代にアナログ思想をミックスして問題の解決を図る事が重要です。
 今後の電子出版は
   歴史ある目に見え重量のある印刷物(従来からのアナログ資産)と
   目に見える重量のないデジタル資産との組合わせによって
   最終需要家が使いやすい情報(アナログ表示)の提供を
   “無形資産を情報機器を介して有形資産化し価値評価を受ける”
事を基本として次世代へ繋げる役割を果たさなければならないと考えます。
 前会長 前田氏の提案である“世界に優しい電子出版”を考える時、
   音楽をより楽しむ為の著作権保護が権利を振り回す著作権団体や
   人間関係の基本である挨拶(問診)の出来ない医者や先生など
   店頭に陳列されず梱包のまま返品され、欲しい本が入手されない
   物流Ch (チャネル)等
諸先輩業界の問題点を参考にして、これからの先端技術の発達に よる新製品やハイスピード配信される大量の情報が人間社会に幸せをもたらす よう、それぞれの能力を提供、交換しあい競い合って私たちは21世紀の情報 産業の担い手として事業発展を考える時、 “デジタル+アナログのハイブリッド思想” を忘れてはならないと思います。