発展途上

2010.08.01

日外アソシエーツ  星野 裕

 今や「電子書籍」「電子出版」という文字を見ない日がありません。“業界”ではだいぶ前から電子書籍だ電子出版だと言い続けてきましたが、これらの言葉がこれだけマスコミ等で報道され続ける状況というのは、ちょっと経験したことがありません。
 しかし普通に電子書籍とか電子出版とか言う場合は、そのほとんどが文芸書やビジネス書などの“読み物”です。私どもが作っているような事典・辞書・目録の類、いわゆるレファレンス・ブックはなかなか話題に上がってきません。電子書籍にはレファレンス・ブックは合わないのでしょうか。そういうニーズはないのでしょうか。
 かつての電子出版、例えばEPWINGなどは検索主体であり、レファレンス・ブックには最適のメディアでした。しかし現在主流のPDFやEPUBはまったく様子が異なるため、かつての方法はもう使えないと思った方が良いでしょう。
 ただしPDFにはフォント埋め込みの問題があり、EPUBには日本語への対応がイマイチという問題が残っています。両方とも日本語のレファレンス・ブックを作っている私どもにとっては大きな問題ですので、一日も早い解決が望まれます。
 「何とか電子書籍でレファレンス・ブックを」という思いを胸に勉強を続けているのですが、しばらく電子出版を離れ紙の書籍ばかり作っていたこともあり、最新の動向についていくのがやっと、といった感じです。
 ページがパラリとめくれるとか、しおりをスポッとはさむとか、そんな小手先のギミックではなく、本当に必要な機能・内容を提供できるよう、これからますます研究・検討を進めて行こうと思います。
 プラットフォームにこだわらず、より多くの人がレファレンス・ブックをいつでもどこでも使えるようになる、というのが最終的な理想です。みなさんの知的好奇心を満たし、なおかつ会社が潤えば、こんなに良いことはありません。