マンガだけじゃない!2012年のイーブックジャパン

2011.12.01

イーブックイニシアティブジャパン  鈴木 正則

 「マンガだけじゃない!2012年のイーブックジャパン 名作文芸書、傑作ミステリー続々配信」――2012年1月6日公開のイーブックジャパン総合図書中吊り「千夜一夜」のキャッチコピーです。ご承知のように電子書籍市場でいち早く読者をつかんだのはコミックでした。イーブックジャパンは画像形式という特長を生かして、電子コミック、なかでも長編の名作を中心に5万タイトルもの作品を配信して売上げを伸ばし、昨2011年10月には東証マザース市場に上場することができました。上場会社として迎えた2012年――今年初めての中吊りに大きく謳ったコピーこそは、これからの一年のイーブックジャパンが進む方向を示しています。基盤となっているマンガ部門をさらに強化・充実していくことはもちろんですが、それとともに一般書籍部門(私たちのサイトでは総合図書と呼んでいます)に経営資源を投入していく計画をたて、実行し始めました。いくら電子化しても実際にはなかなか売上げにはつながらないというのが多くの実践者たちの常識となっていると思います。
 しかし私たちは、文芸書や叢書、写真集、博物図鑑などの電子書籍の可能性について、この数年間の取り組みのなかで確実な手応えを感じてきました。講談社、文藝春秋を中心とする限定的な新刊リリースをしてきたのですが、そうした条件下であっても、電子書籍利用者は着実に増加してきています。iPad、スマートフォンの登場と当初の想定をはるかに上まわる普及が背景にあってのことですが、2年前に比して月間売上げが数倍に急成長した出版社もあります。日々の現場における、こうした実績をベースに2012年は総合図書を本気で集め、広げていこうと考えています。すでに2011年11月に河出書房新社、双葉社の文芸書の配信がスタートしました。またこれまで協力関係になかった出版社数社との話し合いも年末までに始まりました。2012年にはこれを本格化し、加速していきたいと考えています。そのために若いスタッフを雇い入れました。新年早々のいい機会と思いこの場をお借りしました。皆さまのところにもお伺いさせていただきたいと思っています。どうぞよろしくお付き合いください。