電子書籍のブックオフってどこにある?

2015.11.05

自由国民社  森 誠一郎

 運営会社の事業中止で電子書籍が読めなくなるという記事がまた載っていた。またかあ~という気分で見た。近頃では、驚かない。それより、どういう方法で閉鎖のフォローをするのかという方に関心が向く。自分はそこで電子書籍買ってダウンロードしているわけでもないのに、気になるのである。電子書籍で一儲けできると信じていたのに。あるいは、お気に入りのタブレットさせあれば、世界中の本がいつでも好きなときに読書できるんだぜという浮かれた気分も粉砕されたんじゃないかと。でもニュースは実にしら~っとしている。やっぱ、電子書籍とかってそうそう簡単にはいかないよね。小さな商いでいいじゃないですか、と。

 そんなこんなことでむかむかしていると、YouTubeこそが親友だという知人(50代)から連絡があった。そこでの質問はこれだった。
「電子書籍のブックオフってどこにある?」
 YouTubeこそが親友だという知人は、これまた知人女性(40代)の息子である中学生からそう聞かれ、あるでしょ、そりゃ、と答えてしまったのだという。今度、引っ越しするのに、愛蔵のマンガ本を自炊で電子化するのに加えて、これからは本を買うなら電子書籍でというところまでにはいきついているのだそうだ(なかなかやるじゃん、である)。しかし、問題がある。これまでなら紙の本を買ったら古本屋さんが買い取ってくれた。これで少しはお金が戻ってきた。このユーズドで売ることができることは電子書籍でもできるのか?できるのであれば電子でバンバン買うのにね~とは中学生。で、つらつらと、電子書籍にブックオフ的なものはいまのところないと思うと伝え、バンバン電子で買っても運営会社が商売やめちゃうこともあるし、そうなると読めなくなることもあるからなあ~と伝えると、 YouTubeのようには気分よくいかないねということだった。ちなみに友人のいうYouTubeとは、絶妙なタイミングでの楽曲などのオススメしてくれるあれである。深夜などに出会うと、おまえだけよ、俺の気分わかってくれるのは……と思わせてくれる、あの、ありがちな癒やしということで。

 さて、話は、電子書籍を読む以前に運営会社がなくなると読めなくなることもあるという面倒な話であるが、軽口承知で言えば、紙の本でなら本の回収ともいえるし、ある意味一方的な発禁に近いモノを感じてしまうのはそれほど大げさなことでもないと思う。あるいは、ネット社会というときの「ネット」という空間で、電子書籍という存在そのものがいまだふらふらしているのは事実ということでもあろう。出版社がデジタルコンテンツを扱おうということは、著作権関連し関しても未整備ゾーンが多々あることに思いはせると、気は重くなるばかりだが、忘れよう。

 いずれにしろ、電子書籍が「消える」というのは、著作権的に言えば「絶版」が存在しないはずのうえでの「消滅」である。先の安保関連をもてあそぶわけではないが、個別的「著作権」と集団的「著作権」という造語遊びをして、それが結構、先の著作権法改正と絡めて雑談するたびになぜか盛り上がってしまうのは、単なる憂さ晴らしを超えているかも知れないと思うのだが、それはそれとしておく。
 とりあえず、消されるような電子書籍だけは、つくるわけにはいかない。そう思うのだが、その先は、自分への宿題ということにして、デジタルファーストできる出版企画をいまは考えることのほうが精神的にはいいかもしれない。

*追伸:電子書籍の「ブックオフ」をご存知でしたらお教えください。お願い致します。