2014年05月27日 文字情報技術の最新動向

2014.05.27

現在、政府では、戸籍、住民基本台帳、児童・生徒の名前などについて、大規模な文字情報技術の改革が推進されています。この最新動向をご紹介するとともに、出版分野に与える影響もご紹介しました。

日時: 2014年5月27日(火) 13:30-15:30(受付開始13:00)
場所: 飯田橋:研究社英語センター 地図
料金: 2000円(JEPAおよび文字情報技術促進協議会 会員社は無料)
主催; 日本電子出版協会(JEPA) / 文字情報技術促進協議会

参加者: 119名
■登壇者
内閣官房 政府CIO補佐官 平本健二氏
IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 技術本部 国際標準推進センター長 田代秀一氏
文字情報技術促進協議会 理事 小林龍生氏 (JEPAフェロー)
文字情報技術促進協議会 字形共有基盤活用部会 部会長 田原恭二氏(凸版印刷)
文字情報技術促進協議会 事務局長 田丸健三郎氏 (日本マイクロソフト)

■講演概要【タイトルをクリックすると講演資料が表示されます】

「行政電子化と文字情報基盤」 平本健二氏
行政機関にコンピュータが導入されてから、氏名の文字の扱いは常に問題となり、文字情報基盤の構築に取り組んできました。昨年6月に閣議決定された「世界最高水準IT国家創造宣言」で、今後整備する行政の情報システムでは、原則として文字情報基盤を導入することが決定され、導入に向けたガイドが整備されるとともに、各種ツールの導入が行われています。
そこで、文字情報基盤に関する取り組みと今後の展望について紹介いたします。

「行政電子化の基盤として整備の進む「文字情報基盤事業」」 田代秀一氏
IPAは、行政の実務で必要とされる約6万字の漢字を整備する文字情報基盤事業を推進しています。文字コードの国際標準化を推進するとともに、行政事務での利用を想定してデザインされたIPAmj明朝フォントと、文字の各種メタデータを収録した文字情報一覧表を公開しています。これらの概要、今後の計画、活用のポイントや課題などについて紹介いたします。

「今、改めて字体と字形の関係を考える」 小林龍生氏
JIS X 0208が1983年に改正されてから、すでに30年以上の年月が経過しています。この改正に端を発したいわゆる《新旧JIS問題》は、デジタル情報機器の一般社会への爆発的な普及に伴って、その後の、日本語の文字使用環境に多大な影響を与え続けてきました。
千年紀の変わり目の表外漢字字体表の答申とJIS X 0213:2000の発行を経て、IVS技術の普及により、今、ようやくこの混乱に終息の兆しが見えてきました。
今、改めて、日本語の書記技術の観点から、《新旧JIS問題》の根幹にあった問題圏を振り返ることにより、文字情報交換環境の健全な姿、すなわち、日本語による健全なコミュニケーションの姿を考える一助とします。

「字形DBテストサイトの構築と状況」 田原恭二氏
文字情報技術促進協議会では、平成22年度に経済産業省で行った「デジタル・ネットワーク社会における出版物の利活用促進のための外字・異体字利用環境整備事業」の成果をベースに、クラウド型の字形DBテストサイトを構築した。この字形DBは、IVSが普及した際に、利用者の文字選択をサポートするようなツールとして位置づけ、その有用性を検討している。今回のセミナーでは、これまでの経緯、字形DBテストサイトの概要や今後の計画をご紹介した上で、このような字形DB活用の可能性について、会場の皆様からもご意見をお聞かせいただきたいと考えています。