2014年07月30日 ポスト電子出版元年の曲がり角

2014.07.30

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 改訂版・電子出版基礎講座
           ポスト電子出版元年の曲がり角
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 当協会にて電子出版に関しての基礎知識や技能講座を開催していただいている長谷川秀記氏が、明星大学で半期講座を受け持つことになりました。大学での講座に先立ち、ポイントを凝縮して特別講座として開催しました。
 一昨年に開催した「出版の明日はどっちだ、解体する本の世界」の続編です。情報の流通技術史という視点から現在の電子出版を捉え直した前回から2年。「ポスト電子出版元年の曲がり角」というテーマで解説していただきました。
■講師:長谷川 秀記 氏 (自由電子出版 代表取締役社長、JEPA元会長、明星大学講師)
■日時 2014年7月30日(水) 15:00-17:30
■場所 飯田橋 研究社 英語センター
■主催 一般社団法人 日本電子出版協会(JEPA) 定例会運営委員会
■参加者: 154名
★内容
 太古以来の情報流通技術の歴史と、ここ数十年の電子出版の歴史を振り返りながら、現在の電子出版が抱える問題について整理します。わたしたちが現在いる地点の地図を描くこと、どこをどう通ってきたかを確かめ、次の道筋を考えることが目標です。直接的に仕事に役立つ内容ではありませんが、何かのヒントになればと思います。
☆「ポスト電子出版元年の曲がり角」のイントロダクション

電子出版協会が発足した当初、電子出版は出版社のサバイバルだという考え方がありました。情報をもの離れさせることにより、委託制度に代表される出版流通の行き詰まりを打開できる。品切れも絶版もない世界が実現できるのではという夢です。

 しかしインターネットの進展で事態は思わぬ方向に進みます。テレビに奪われ、ゲームに奪われていた読者の時間は今度はネットに奪われます。それよりも大きなショックはネットを支えているのは無償で情報をアップする普通の人たちだったことです。
 これが最初の曲がり角だったような気がします。思いもしなかった相手の登場です。そして電子出版の当面の目標が登場します。有料でもすぐれたコンテンツは必ず売れるのだ。だからネット上にコンテンツを揃えれば読者は戻ってくる。電子書籍の点数を増やそう! そんな動きの中、電子出版元年に呼応して多くの出版社が参加します。そして今やジャンルによっては中型店ほどの品揃えが達成できました。
 それでも電子出版は売れない。これが今の曲がり角です。放っておいても徐々に電子書籍は浸透していくでしょう。だから紙の本を電子化してじっと読者が戻ってくるのを待てばいいのでしょうか。品揃えの次にやるべきことがたくさんあります。今の曲がり角をどう曲がったらいいのか? 答えは出せそうにありませんが、とりあえずは解決すべき問題点を一緒に考えたいと思います。