「耳からの読書最新動向!〜ここまで進化した合成音声&オーディオブックの環境〜」 発表者:松井進(NPO法人バリアフリー資料リソースセンター副理事長、     千葉県立中央図書館勤務) 概要:7月の発表後電子書籍のドットブックをはじめデータ形式を意識することなく多    様なデータが簡単に読める「マイブック」(高知システム開発)の発売や、録音    図書を簡単に持ち運んで気軽に聞くことができる携帯用Daisy図書プレイヤ    ー「PTP1」(シナノケンシ)を含む3種類の携帯用プレイヤーが発売になり    ました。     また合成音声エンジンも非常に肉声に近く誤読が少ない日立の音声エンジンや    ペンタックスの「HARUKA」(はるか)の開発により大きな転換期にきてい    ます。     特にドットブックを利用できる「マイブック」の登場は、合成音声読み上げだ    けでなく、画面の拡大表示や点字表示、各種携帯用DAISYプレイヤーにも対    応し活字による読書の困難な人たちが読書を快適に行えるプラットフォームを提    供できることとなりました。     今回はその最新動向と読書の楽しみ方を目からだけでなく耳からも判るように    ご紹介します。 ○従来からの録音図書の制作方法  肉声で録音→校正→再録音→編集→配信 ○今後の録音図書の制作方法  合成音声で読み上げ→誤読の修正→編集→配信 ○合成音声による録音図書の製作の利点  ・修正が容易  ・作成時間の短縮に繋がる  ・コストの抑制に繋がる  ・業務が簡略化できる ○合成音声が製品に繋がったソフト紹介   ワードやテキストデータから合成音声データを作るソフトの事例   ・JukeDoX(http://www.skyfish.co.jp/jukedox/what.html)   ・らくらくボイス2(http://www.ainet-jp.net/products/anvoice/index.htm) ○7月28日の発表以後の動向 ・8月:録音図書ネットワーク配信サービス「びぶりおネットモバイル」の携帯電話に     よる配信サービスの試行を開始(11月から本格サービスに移行)     (http://www.nittento.or.jp/ROKUON/biblio-m.htm) ・10月:マイブック(高知システム開発)が発売。(http://www.aok-net.com/) ・11月:ボイジャーが運営する電子書籍販売サイト「理想書店」が音声読み上げ対応     のページとしてリニューアル。講談社に加え角川書店や新潮社の書籍も音声読     み上げ対応版として続々と発売となる。但し現時点では音声読み上げ不可の出     版社もある。(http://www.dotbook.jp/dotbook/index.php) ・12月:シナノケンシから携帯用DAISY図書プレイヤー「PTP1」が発売開始     される。(http://www.plextalk.com/jp/index.html) 2009年 ・2月:録音図書ネットワーク配信サービス「びぶりおネット」のパソコンによるダウ     ンロードサービスの開始(http://daisy.nittento.jp/) ・2月以後:視覚障害者用ソクト・周辺機器のサポートの専門会社ラビットが音声読み     上げ対応のドットブック教材の販売開始     (http://www.rabbit-tokyo.co.jp/)    ・ことのは出版のHPが音声読み上げ対応のページとしてリニューアル予定。     (http://www.kotonoha.co.jp/) ○今後の予定:シンポジウム 「アクセシブルな電子本を届けよう!〜   読書に障害のある読者が利用できるシステム構築をめざして」(仮題) 日時:2月22日(日) 13:00〜17:00 場所:日本教育会館 9階 主催:特定非営利活動法人バリアフリー資料リソースセンター(BRC) 講演1「障害のある人への情報保障におけるブックシェアプロジェクト(米)の意義」(仮題)     ジム・フラクターマン(ブックシェアプロジェクト代表) 講演2「障害当事者が求める電子本」松井進(BRC副理事長)+南雲明彦(学習コーチアカデミー) 講演3「電子本をもっとアクセシブルに」萩野正昭(ボイジャー社長)+金子和弘(講談社)