Vol.11


JEPAキーパーソンズ・メッセージ!

(株)サイビズ 取締役
JEPA理事・著作権委員会委員長
筒井  誠

「デジタル時代の今こそ出版隣接権の確立を!!

日頃の日本電子出版協会での活動以外であまりお話していない事項につい て報告致します。4年前から前任の合庭委員に代わって文化庁著作権委員会 マルチメディア分科会委員として、著作権にかかわる諸テーマについての 審議に1月に1回のペースで参加している。なにせ斯界の錚々たる大学教授 、弁護士といった法律の専門家のほか、各専門団体から派遣された達人たち が丁々発止の論争をかわすので、生半可な知識ではとても追いつかない。 例えばデジタル放送にかかわる規整とか、プロテクト解除装置の規制につい ての論争にはついていけないが、反面、データベースや電子出版、図書館で の私的利用等については積極的に発言し、現場の実状とか、こうあってほし いという意見は数々申し述べてきた。 現在、最も深くかかわっているのは同委員会の中に設けられた7人で構成 するデータベース検討班の一員として、WIPO(世界知的所有権機関)の 外交会議で提案された相当な投資をして製作されたデータベースの保護を 目的とした「データベースに係る知的所有権に関する条約草案」を日本では どう考えるかを文化庁国際著作権室でまとめて、WIPOに報告する草案 ならびに論点整理に加わった。 この問題は当初、創作性のないデータベース(いわゆる著作権の保護を 受けないもの)に「相当の投資」をしたものに対しても権利保護を与えると いうEUを中心にしたスイ;ジュネリス権(特別な権利)を各国で認めるか どうかということにあった。 データベース検討班の論点を整理してみると、 @データベース自体に創作性のない場合の保護については、データベースの 価値は年々高まって来ているが、現行著作権法上のデータベースの著作物 や編集著作物に当たらないものについては、これを複製することは自由で あり、こうしたデータベースに対して、新たに何らかの保護を与える必要 があるかどうかの検討。 A相当の投資のあるデータベースを創作性の有無を問わず保護することにつ いては、データベースの製作にあたり投資をした者に対して、「相当の 投資」をして製作したデータベースのコンテンツの全部または相当な部分 の抽出又は利用についての許諾を特別な権利として認めることの検討が 国際的に行なわれているが、これをどう考えるか。 に大別され、Aの相当の投資に権利が与えられると他国のデータベースを 利用する際に、現在自由に利用できていたものが利用できなくなるのではな いか、また日本では、多くのデータベースについてこうした新たな保護と 現行の著作権法による保護が重複しうるため、その影響は大ではないかとい う点に議論が集中した。 それにしても、もし創作性のないデータベースの投資に何らかの保護を与え るとなると、従来の出版物にみられるように、またこれからのデジタルデー タの製作者の相当の投資に対しての保護が働かない現状との間の矛盾が出て くることが考えられる。現行の著作権法では出版者への隣接権が認められて いないことも考え合わせると、EUなみにデータベースコンテンツ制作者に 対して出版隣接権をぜひ設定してもらいたいものと考えている。 今年1月、東京で開催された第4回IPA国際著作権シンポジウムに参加 して、最終日の大会決議案として上程された「出版者の著作隣接権に係る 日本書籍出版協会の主張を支持し、ネットワーク上での電子出版には多大な る投資が不可欠であることに留意し、電子出版物およびデータベース制作者 としての出版者の排他的権利に関し、国際的に、地域的に及び各国内におい て共通な法的保護を緊急に要求する」が採択されていることも心強いかぎり です。 終わり BACK

ワンポイント調査報告

日本 1998年3月期 出版傾向

書籍の実売状況は回復せず、販売部数で7.2%、金額で4.4%と共に前年 割れ。 8ケ月連続の前年割れとなる。

日本 97年文庫市場 販売金額は前年を維持

推定販売部数が前年比1.6%減の2億8259万冊、推定販売金額が同0.1% 増の1537億円と、販売部数は3年連続の前年割れとなったものの、販売 金額はかろうじて前年並みを維持した。書籍全体が販売金額で1.8%減 少したことを考えると、文庫は健闘したといえる。
 推定出回り部数(万冊)推定販売部数(万冊)推定販売金額(億円)
一般文庫 41,381(前年比105.9%)25,159(前年比98.6%)1,359(前年比100.3%)
漫画文庫4,247(前年比94.4 %)3,100(前年比97.0%)178 (前年比 98.6%)

マルチメディア関連商品・新刊発行点数(1998年1月〜3月累計)

CD-ROM(12cm)単体87点(前年同期比  88.8%)
CD-ROM(12cm)付き書籍146点(前年同期比 108.1%)
電子ブック8点(前年同期比 200.0%)
CDブック14点(前年同期比 127.3%)
カセットブック11点(前年同期比 100.0%)
語学カセット等150点(前年同期比 156.3%)
ビデオソフト455点(前年同期比 144.0%)
(注)CD-ROM単体は通常取次を経由して書店で販売されているものを 対象としてカウント。従って、一部メーカー系も含む。ビデオ ソフトは書店ルート向け、委託扱い及び出版系セルビデオで、 本体価格5千円以下の低価格商品をカウント。 (上記3項目 社団法人全国出版協会 出版科学研究所発行 出版月報1998年4月号)

日本 97年の書籍・雑誌小売業の年間販売額 2兆4787億4100万円

前回調査比(94年)0.9%増とほぼ横ばい。 同比、551店減少。 調査結果から、書店の大型店化が加速、売場面積が拡大し、伴って店内 在庫も増加したものの、年間販売額は頭打ち状態。購買客のパイは変わ らずに売場面積だけが拡大している<出版バブル>を裏付けた。 通産省 平成9年商業統計速報 (98.4.16 新文化)

日本 97年度パソコン出荷台数 前年度比5.7%減 696万台

出荷金額は同6.2%減の1兆7250億円。ノート型は前年度比19.5%増、 デスク型は19.4%減 98年度パソコン出荷台数は、97年度比11%前後増の770万台になる見通し。 マルチメディア総合研究所調査 (98.4.28 日経産業新聞)

日本 携帯情報端末出荷台数 98年は前年比4割増 195万台の見込み

うちサブノート型パソコンと通信機能を持ち独自OSを搭載した携帯情報 端末(PDA)は共に前年比3割増、ウィンドウズCE搭載ハンドヘルドパ ソコンは前年の約3倍に成長する。このPDAとサブノート型パソコン、 ハンドヘルドパソコンがビジネスに欠かせないツールと認知されれば、 携帯情報端末の潜在市場がパソコンに迫る規模に拡大すると予測。 日経マーケット・アクセス調査 (98.4.27 日経産業新聞)

日本 インターネットユーザー 2000年度には2,200万人に

インターネット人口は98年度1,350万人、2000年度には2,200万人に増加 、世帯普及数は、700万世帯に。逆にプロバイダーは1,000社に減少する としている。 国内で電子メールまたはWWWを利用しているインターネット人口は、 96年度末で620万8,000人だったのに対し97年度末は975万2,000人と、 57.1%の増加。世帯普及数でも96年度216万8,000世帯から97年度320万 3,000世帯へと47.7%増加している。 一方、ここ数年で急増したインターネットサービスプロバイダーについ ては、価格競争が激化、98年は一転して淘汰の時代に突入し、中小プロ バイダーの撤退が相次ぐと予想。 矢野経済研究所「98年国内インターネット利用動向調査」 (98.4.22 Internet Watch)

日本 インターネットの企業利用 2年間で5.8倍に拡大

98年3月時点で69%、95年3月が3%。その後1年ごとに12%、38%と 急成長、99年3月には85%以上に達すると予測。 プロバイダーの選択条件は品質と料金の両極に分かれる傾向にある。 マルチメディア総合研究所調査 (98.4.23 日刊工業新聞)

富士通総研、日本のインターネットユーザーの動向に関する
調査結果(98.3)を発表

昨年9月調査時と比べて、女性ユーザーの比率が22.4%→27.8%と増加。 職業別に見ると、会社員ユーザーの比率が64.9%→57.4%と減少している 反面、学生や専業主婦などの他の職業での利用比率が増加している。 よく利用するサービスとしては、約85%のユーザーが「検索サービス」 を挙げており、最も利用する検索サイトとしては「Yahoo! JAPAN」が 60.7%で、続く「goo(16.2%)」や「infoseek Japan(11.9%)」と比較 するとその差は大きい。また、ニュースサイトで最も利用されているの は「asahi.com(35.3%)」で、「NIKKEI Net(28.3%)」「Yahoo!JAPAN (21.3%)」が続く。 オンラインショッピングの利用については、男性の利用率が5割に到達 したほか、女性の利用率も33.7%→42.6%と増加している。また、利用回 数は1回が24.5%と最も多く、2回以上利用したことのある人(74.4%)の うち、同じショップを2回以上利用した「リピーター」は61.9%。 詳しくはこちらをご覧ください。 (98.4.15 Internet Watch)

日本 2003年までのCS普及 最大で400万世帯に

CATVについては、加入世帯が2000年には800万に達すると予測。 放送のデジタル化に対応するための受信端末の市場規模は2000年から 2005年までの累計で10兆円規模になるとみている。 シード・プランニング調査 (98.4.27 日本経済新聞)

全世界 インターネット利用者 97年末には1億人を突破

米商務省は、全世界のインターネット利用者が1997年末現在で1億人を 超えるまで急成長し、「情報技術と電子商取引が今後の経済成長の 駆動力になりうる」との報告書を発表。インターネット利用者は96年に は4,000万人以下だったが、97年末には1億人を突破。 テレビが5,000万人に普及するには13年かかったのに対し、インター ネットは一般に開放されてわずか4年で達成したと指摘した。 詳しくはこちらをご覧ください。 (98.4.16 Internet Watch)

全世界 電子コマース市場 2002年までに3,330億ドル規模に拡大すると予想

電子コマースの取引規模は、97年の80億ドルから2002年までに3,330億 ドルに増加するという。2002年までにWebベースの取り引きが世界経済 の約1%を占めるようになると予測。2002年にインターネットユーザー 数が3億2,900万人となり、そのうち8,000万人程度はヨーロッパのユー ザーになるとの見通し。 IDC予測 (98.5.13 Internet Watch)

全世界 インターネット電話利用者 2002年までに800万人に達する見通し

これは、ガートナー・グループのPredicts 98+コンファレンスで発表さ れたもの。データクエストの欧州電気通信グループ主任アナリスト、 ジョン・リリー氏は、インターネット電話に関するセッションで「イン ターネット電話ユーザーのうち、50%はPC対PC、30%は電話対電話の 利用になるだろう」と語っている。 詳しくはこちらをご覧ください。 米データクエスト調査 (98.4.28 Internet Watch)

全世界 Windows 98の年内の企業向け出荷本数 2,900万本と予測

Windows 98は一般向けリリースの始まる6月25日から今年末までに、 企業ユーザー向けに2,910万本が出荷されると予測。 米DataQuest予測 (98.5.1 PC Watch)

米国 政府が次世代のインターネット環境整備をサポート

ゴア米副大統領は、次世代のインターネット環境の実現に向け、民間よ り5億ドルを超える投資協力を得られたことを明らかにした。 まず、UCAID(University Corporation for Advanced Internet Development)の「Internet2」プロジェクトをサポート。UCAIDに参加 している全米122の大学を光ファイバーで結ぶ。 回線はQwest Communications社が提供、Cisco Systems社とNortel社が ルーター等の機材を提供する。総額で5億ドルを超える規模となる。 また、これとは別に国防総省が推進するNGI(Next Generation Inter- net)プロェクトに対しても、およそ5,000万ドルを出資、上述のInter- net2との連携を図っていく。高速なネットワーク環境を整備するだけで はなく、セキュリティやマルチメディアといった技術の開発促進もねら っている。 詳しくはこちらこちら(UCAID)をご覧ください。 (98.4.16 Internet Watch)

米国 97年インターネット広告費 9億600万ドル(前年の3.4倍)

地上波テレビの約四十分の一に過ぎないが、「広告媒体として登場して 3年目」という基準を使うとテレビを7千万ドル上回り、伸び方も急ピ ッチだという。 一部の人気ウェブサイトに集中する構造は前年と変わらず、上位10社に 67%が集まった。 米インターネット広告ビューロー(IAB )調査 (98.4.22 日経産業新聞)

米国 パソコンの娯楽性が急上昇、68%のユーザーがRealPlayerをインストール

今年1月の段階で、14.4kbpsモデム以下の環境で通信しているユーザーは 13%にとどまり、27%が28.8kbpsモデム、28%が33.6kbpsモデム、17%が 56kbpsモデムを利用している。 1996年12月に行なった前回の調査では、33.6kbps以上のユーザーは僅か 16%だった。 また、68%のユーザーがRealNetworks社のRealPlayerをインストールし ているほか、36%がMacromedia社のShockwaveプラグインをインストール している。前回調査では、それぞれ32%と13%の普及率だった。58%のユ ーザーがパソコンを通してWWW上のサウンドファイルを再生、34%はアル バムのサンプルを試聴し、25%がコンサートのリアルタイム中継を利用 したことがあるとの数値も出ている。単にCD-ROMドライブで音楽CDを 再生して楽しんでいるユーザーも、前回の62%から71%に増加していると いう。 Consumer Electronics Manufacturers Association(CEMA)調査 (98.4.23 Internet Watch)
BACK前のページに戻る
Homeトップページに戻る