Vol.17


JEPAキーパーソンズ・メッセージ!

(株)ナムコ 代表取締役副社長
橋口 隆二

「最近思うこと」

二年前のことになるが、当社では「デジタルコミック」と銘打って、音と映像 でストーリーが多方向に展開するアニメーション作品をウインドウズ用CD−R OM版で発表した。これも広い意味での電子出版(?)と思うが、流通ルート はほとんどがPCショップに限られていて、販売の面ではたいへん苦労したこと を覚えている。 コンピュータネットワークの急速な普及という背景もあって、早くから、電子 出版は「本」を駆逐する、といわれてきたが、まだまだ出版流通自体が変わる兆し はみえていないようだ。紙とインクの匂いを忘れがたいわたしとしては、実は、 一面でほっとしているのである。いささか複雑な思いだ。 ところで、電子出版に限ったことではないが、電子出版を含むマルチメディア 著作物には、きわめて多彩なコンテンツを簡便に利用することが可能という特長 がある。いいかえれば、文章、絵、写真、動画、音、演奏、歌唱、演技、セリフ、 それにこれらコンテンツを含めたゲームといった多様なデジタルコンテンツをい かにスムーズに、また、いかにリーズナブルな対価で利用できるかという問題は、 今後のマルチメディア著作物の発展に影響するところがきわめて大きいと思われ る。 コンテンツの利用を促進しようとする試みは、多方面でいろいろなされている ようである。ネットワークを通じたデジタルコンテンツの利用に関する画期的な 料金徴収システムも、すでにいくつか実現しているが、残念ながら、気軽に現実 社会のような買い物ができるものは少ないと思う。マルチメディア著作物がほん とうの意味で一般に浸透するまでには、案外、長い時間がかかるのかもしれない。 もう一つ、電子出版やマルチメディア著作物の発展に欠かせないポイントが、 権利意識の問題であろう。 再び当社の事例を挙げて恐縮だが、無断で模倣された本物そっくりのゲームソ フト(クローンソフト)が、コンピュータ雑誌等の付録として添付されている CD−ROMに収録される事例が、いまだに後を絶たない。また、コンピュータ ネットワーク上にクローンソフトが掲載され、さらに転々と転載される事例も 益々増えている。ネットを通じて、あっという間に世界中に広がってしまい、 こちらの方は被害状況を把握することすら難しい。 これらのクローンソフトに対しては、発見するたびに雑誌の出版元やネット ワーク管理者などに連絡し、削除をお願いしているが、このやりとりのなかで著 作権に関する理解がまだまだ浸透していないことを痛感することもままある。こ の問題の解決は、結局は出版社、ユーザーをはじめ一人ひとりの権利意識の向上 にかかっているのであろう。 電子出版、マルチメディア著作物の明るい将来は、単に技術の進歩だけを恃ん でいたのでは決して実現されるものではないことを、あらためて認識しなければ ならないときではないだろうか。 BACK

ワンポイント調査報告

【日 本】

書籍・雑誌推定販売額 10月期 前年同月比 7.2%減 7ケ月連続減

書籍は同8.4%減、雑誌は同6.3%減 雑誌は月刊誌が7.5%減、週刊誌が3.1%減 1月〜9月累計は、書籍が前年同期比5.9%減、雑誌が同1.2%減 当月返品率は書籍が1.4ポイント増の45.0%、雑誌は2.8ポイント増の33.8%

創刊雑誌活動分析 98年1月〜10月期 販売金額 前年同期比1.2%減

統計を取り初めた1950年以来初の前年割れとなる見込み。 創刊点数は142点(同11.2%減)、創刊号単号の平均実売率は約60% (以上 (社)全国出版協会 出版科学研究所発行 出版月報1998年11月号)

電子出版システム「Publiotech-J」

富士ゼロックスが米エレクトリック・プレス社と共同開発して外販。スキャナー などで取り込んだ書物をページ単位で販売。消費者は「立ち読み」してから印刷 できる。価格はサーバー含めて1,000万円程度。 (98.12.3 日経産業新聞)

読書週間(10月27日〜11月9日)終了

話題は自由価格本セールなどのバーゲンブックフェア。結果は途中で完売する所 ありおおむね好調。参加した出版社は約300社と過去最大。 (98.11.15 日本経済新聞)

公取委 小学館、角川書店がバックナンバーを時限再販したり、朝日新聞社が会員を対象に
自社発行書籍の一部を割引販売すると決めたことなどを評価。しかし、新聞 業界には長期読者への優遇を促した。

(98.12.3 朝日新聞)

日販 書店向けネットサービス拡充 「OC-NODCII」に「AV検索発注」追加

書店店頭パソコンで国内最大級の約24万点のデータベースから書誌情報の検索・ 発注・発注情報の照会が可能になる。 (98.12.9 日刊工業新聞)

紀伊國屋書店と日販 図書館向けの書誌データを統合、共同製作

共通化で経費削減、書籍販売拡大につなげる。書店と取次が書誌データを共同製作 するのは初めて。 (98.11.18 日本経済新聞)

大王製紙 雑誌古紙を100%使った上級印刷用紙を本格展開。価格は従来と同程度 となる見通し。

(98.11.25 日経産業新聞)

郵政省 2000年以降に始まる地上波デジタル音声放送 日本独自方式を暫定採用

周波数の利用効率が高く、また地上波テレビ放送の暫定方式と共通性を確保してお り、家電メーカーの機器開発などで相乗効果を狙う。 (98.12.1 日経産業新聞)

宇宙通信(SCC)と日本サテライトシステムズ(JSAT)2000年に打ち上げを予定している
次期通信衛星(CS)を2社共同で運用することで合意。

(98.11.20 日本経済新聞)

警察庁 不正アクセス対策法制の素案まとめる

他人のIDなどを使ったアクセスや情報処理、利用者を制限する措置をかいくぐり 侵入する行為を禁止。違反者には罰則を科し、反復・継続した不正アクセスには 罰を加重するなど。 (98.11.17 Internet Watch)

郵政省 不正アクセス対策法制の素案を発表 対象とする範囲、ログの保存義務などで
警察庁案と相違

(98.11.26 Internet Watch )

郵政省 「学校インターネット計画」予算計上 300億円

今後3年間で30地域1,500校に光ファイバーなど大容量の高速回線を整備する計画の うち、約1,000校分が第三次補正予算案で認められた。 (98.11.27 Internet Watch)

ホームページ数 9月時点 1,800万ページ 半年で1.8倍に急増

1ページ当たり2,000文字として計算すると360億文字、国内で1年間に発行される 新聞(約150億文字)や雑誌(約250億文字)を上回る。 郵政研究所調査 (98.11.23 日本経済新聞)

DVD 10月期 売上金額 前月比152.0%増 7億1,300万円 大幅増

売上数量は同163.5%増で21万3,000枚。1月〜10月の累計では売上金額、191.5%増 で50億8,900万円。ビデオソフト全体でのDVD占有率は1月〜10月累計で売上金額が 2.5%、売上数量は3.0%とまだ小さい。 日本映像ソフト協会調査  (98.12.4 日経産業新聞)

パソコン価格下げ止まり 購入意欲の盛り返しと在庫調整が反映した

最新モデル同士で比較すると、店頭価格はこの半年間はほぼ同じ。値崩れした昨年 末とは状況が一変した。 (98.11.28 日本経済新聞)

3電気街パソコン販売台数 98年度上半期 33万6,700台 前年同期比3.7%増

96年度下半期以来3半期ぶりに前年実績を上回ったが、パソコン単価が下がり、 販売金額は同5%減の772億円。下期は同18.1%増、98年度全体でも同10.6%増と 高い伸びを見込む。 マルチメディア総合研究所調査(東京・秋葉原、大阪・日本 橋、名古屋・大須) (98.11.19 日経産業新聞)

パソコン出荷台数 99年度 前年度比8%増 780万台に

99年度の金額ベースでは同3%増の1兆7,100億円。尚、98年度の出荷台数は同5% 増の720万台、金額ベースでは1兆6,600億円(前年比増減なし) (社)日本電子工業振興協会予測 (98.11.26 PC Watch)

【世 界】

独ベルテルスマン 米でインターネット書籍販売

バーンズ&ノーブルのネット書籍販売子会社バーンズアンドノーブル・コムに50% の資本出資。共同子会社の名称は変更せず。業務地域は米国のみ。ベルテルスマン は独、伊、英、仏、スペイン、ベネルクス3カ国でも地元企業と組みネット書籍販 売を始める。 ((社)全国出版協会 出版科学研究所発行 出版月報1998年11月号)

欧州の検索サービス4社 ネット広告で連携

独シネティック、仏ノマード、伊ウィルジロ、スペインのオレーが共同広告ネット ワーク「オールヨーロッパ」を結成、広告主に自国以外の欧州各国でのネット広告 を展開しやすい環境を提供する。4社合計ページヒット数は1カ月6,000万超、利用 者は1,100万人を超える。 (98.12.3 日経産業新聞)

パソコン出荷台数 10月〜12月期 前年同期比12.2%増 99年通年も12.8%増に

98年通年の出荷台数は前年比11.1%増8,920万台、99年は1億60万台と初めて1億台 の大台に乗る。 IDC予測 (98.12.9 日本経済新聞)

CD-R世界需要 98年は前年の3倍に

フロッピーディスクは同18%減 99年も5割の伸びが見込まれる。 日本記録メディア工業予測 (98.12.4 日本経済新聞)

デジタルカメラ出荷台数 98年 前年比62%増 309万8,000台に

日本は同44%増の144万9000台、99年は同24%増の180万台。海外出荷は98年が同 81%増の164万9000台となり初めて国内出荷を上回る。99年は44%増の238万台と 予測。 98年上期のシェアトップは富士写真フイルムで22.1%。米国は98年が同50%増で 100万台を超え、98年上期のシェアトップはソニー、38.0%を占めた。欧州は97年 の23万台の3倍近くになるもよう。同シェアトップはオリンパス光学工業で28.0%。 日経マーケット・アクセス調査 (98.11.25 日経産業新聞)

デジタル受像機世界市場 2004年 514億ドル(約6兆円)規模に

ただし、英米では差異がある。米国は高品位テレビが売り物なのに対し、英国では 日本のCS放送のように多チャンネルが主体。 (98.12.4 日本経済新聞)

【米 国】

米バーンズ&ノーブルのネット通販 8〜10月期 売上高4.3倍、営業損失も3.6倍

書籍部門は営業利益が前年同期比25%増の1,963万ドルと好調だったが、ネット 通販で2,000万ドル超の営業損失を計上。売上高が全体の3%に満たないネット 通販が本業黒字を食いつぶした。同部門の黒字化は2001年まで難しいという。 (98.11.22 日経産業新聞)

地上波デジタル 電波使用料徴収 放送会社から有料放送収入の5%

米連邦通信委員会は、公共財であるデジタル波の枠を無料提供する代償として徴収 する。全米放送業者協会(NAB)は2%程度が妥当と主張しているが、さらに高く しないと国民への還元はできないとの意見もある。 (98.11.20 日本経済新聞)

クリントン大統領 インターネットを使った電子商取引の普及策発表

具体的には、世界銀行などを通じて開発援助を実施すること、途上国の支援。国内 的には、詐欺行為などからの消費者保護を強化、大容量の次世代ネット網の整備 など。 (98.12.1 日本経済新聞)

MicrosoftがAmazon.comと提携 「MSN Shopping」でCDやビデオ、DVDを販売

(98.11.26 Internet Watch)

2002年のオンライン販売 主流となる商品は「旅行商品」

98年首位はコンピュータ関連、2002年までに航空券、宿泊、レンタカーなど含む 旅行商品が急伸し、売上高は81億4,000万ドルになると予測。 eマーケッター予測 (98.12.4 日経産業新聞) BACK

【連載】「キーワード設定の現場から」

- - -第6回「ボウルを投げるとケンカになる?」- - -


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