JEPAキーパーソンズ・メッセージ!
図書印刷(株) デジタルメディア本部 本部長
JEPA理事・定例会勉強会委員長
梅津 幸一文字への想い
「当社の工場から鉛の活字がなくなって何年経つのだろうか」と、ふと記憶の中を探す。 思えば、「紙面がザラザラしている」と、お得意先の若い編集の方からポツリと言われ てから、しばらくたって無くなったようだ。 その時の書籍が、鉛の活字を使った活版印刷物であった。「活字は美しい」と先輩諸氏 に教え込まれていたため、奇異に感じたことを覚えている。 コンピュータで見る文字も、当初から「汚い・読みにくい」と言われていた。 こちらの方は、あきらめ半分と、アウトラインフォントが出て来たため、解決される ようだ。 あとは、高精細の表示機器を待つだけである。この十年、コンピュータを驚異的に進化 させて来たメーカーさんに期待しよう。 昨年、「JIS文字では漢字数が不足である」との議論が華々しかった。まもなく、 第三・第四水準も出るようである。漢字数を六万字集めた、いや八万字になった、など いろいろな方からの発表もあった。 印刷会社にいるためか、「漢字は何文字あるんですかネー」と良く聞かれた。答えよう がなかった。教科書も得意としている当社には、「このような字は間違っています」と いう誤字も正しい文字(?)としてあるし、筆順の文字も画数分持っているのである。 さらに、出版社さん毎(編集長さん毎)に、字体を揃えている。 十数年前に、映像のテロップ用文字システムの開発に参画したことがあった。当時は、 版下を作成し、フイルムで反転させ、映像に焼き込んでいた。それを、パソコン上に 文字を表示させ、信号を取り出し、映像に組み込もうという仕掛けである。書籍での 素晴らしい文字でも、細かったり、読みにくかったり、なかなか映像になじまなかった。 書籍では白地に墨でのシャープさが要求されるのに対して、映像では文字自身のアピー ルが重要なのだと、一人納得したことを覚えている。現在使われている中では、NHK の文字がまずまずと思っている。 今のコンピュータ文字は、あいかわらず書籍文字から出発している。 さらに、処理ソフトも単純である。全体を縮小すると、そのままの比率で小さくなって しまうため細くなってしまう。同じ母型を使う活字ですら、小さくする場合は、読みや すいように少し太くしていたのに、である。 CRT・液晶画面で使用する文字には、きっとそれに合った字体・字形があると信じて いる。インキを使用する減色混合での文字と、光の加色混合で表現するものとは、しょ せん違うはずである。 今後のテクノロジーが解決してくれると念じている。![]()
ワンポイント調査報告
【日 本】
6月期の書籍は同0.2%増、雑誌は同0.6%減。雑誌は月刊誌が同2.8%増、週刊誌 が同9.9%減。当月返品率は書籍が1.4ポイント減の43.4%、雑誌は0.4ポイント減の 31.1%。 上半期合計推定販売額では、書籍は1.0%減、雑誌は4.3%減。月刊誌が4.0%減、 週刊誌が5.6%減。昨年に続き低調に推移した。
書籍・雑誌推定販売額 99年6月期 前年同月比 0.3%減 上半期合計 2.9%減
96年にホームページ「本の探検隊」を開設、書店経由で専門書のみ約4万5,000点を 扱ってきたが一般書籍や文庫本も買えるようにする。サービス機能も強化予定。 (以上、(社)全国出版協会 出版科学研究所発行 出版月報1999年7月号)
トーハン ネット販売書籍 140万点に拡充 在庫がある場合は2日で届く
コンテンツはニュース、地図、雑誌や小説など8分野の350アイテム、中心価格帯は 50円から500円。ユーザーは自販機から記憶媒体に情報を書き込み、携帯情報端末を 使って閲覧する。コンテンツ提供者はコンテンツをセントラルサーバーに配信する だけで販売できる。1時間ごとに更新可能。実験期間は9月1日から12月26日。 (99.8.5 新文化)
JR西日本 駅内の自販機でデジタルコンテンツ販売 「デジタルキヨスク」実験へ
ネット書籍販売の「本屋さん」と共同で開始、現在「BOOK CLUB本屋さん」上で 約120万点の書籍を扱い、4日から1週間で配送している。さらに番組内で書籍を 詳しく紹介し、電話で申し込みを受け付けるインフォマーシャル番組を放送する。 将来はケーブルインターネットの双方向性を利用した書籍販売も計画。 (99.8.3 日刊工業新聞)
サテライトニュース テレビ番組と連動してネットショップ開始 書籍販売も
ホームページなどネットワーク系出版物を除き、ゲームソフトやビデオなどパッケ ージ系を対象とする。ルールは、出版社などに支払う代償金は従来の図書と同様、 当面は館外に貸し出さない、複写はプリントアウトだけでソフトのダウンロードは させないなど。 (99.7.20 朝日新聞)
国立国会図書館 電子出版物の納本をルール化 来年度に諸規則改正へ
読者カードなどを基に個々の顧客の興味などを蓄積、新刊本の個別案内などに活用 する。 (99.8.9 日本経済新聞)
小学館 読者データベース化へ 10月稼働を目標に300万人を目指す
ネットへの情報発信を行えるように加工するのが特徴。グループ5社のほかデジタ ル化が困難な中小出版社の加工も手掛ける方針。 (98.8.11 日刊工業新聞)
角川書店 9月に出版物電子化で新会社 データ放送などに2次利用
追加した機能は、書籍・雑誌売上分析システムなど5点。一部のオプション機能を 除き従来通りの料金で利用できる。現在は約300書店に導入、今年度中に500書店を 目指す。 (99.7.22 新文化)
トーハン 複合POSシステムをバージョンアップ 書店の声を反映させた
書店部分は790平方メートル、18万冊を揃え、書籍のオンライン検索コーナーも 設ける。 運営するのは三省堂書店、読んだ本を買わなくてもいい。 (99.7.31 日本経済新聞)
本選びはカフェで 「ブックス&カフェ」実験店を大丸東京店に9月オープン
印刷物の企画から入稿、校正作業までをホームページで共同で制作する「コンカレ ント・エディティング・システム」を構築した。企画の品質向上を見込み、制作工 程の省力化も可能に。 (99.7.11 日経産業新聞)
凸版印刷 印刷物をネット編集 発注主と情報を共有化して共同制作
(99.8.5 新文化)
東京国際ブックフェア2000 新たに出展基準 古書販売は除外
シェア1位 王子製紙 23.7%(同0.1ポイント減)、 2位 日本製紙 20.2%(同0.3減)、 3位 大昭和製紙 11.9%(同0.8減)。 日本経済新聞調査(99.7.28 日経産業新聞)
印刷・情報用紙 98年 国内生産量 前年比1.9%減 前年実績割れは5年ぶり
99年度は前年度比1.9%減、98年度の同6.9%減に続き2年連続の減少。 日経広告研究所予測(99.8.2 日本経済新聞)
広告費 2000年1〜3月に増加 上回るのは97年10〜12月期以来9.4四半期ぶり
郵政省は全国の小中高校を2001年までにネット接続する目標を掲げているが、 全教室ついては言及していなかった。米国では2000年に全教室に接続する計画。 (99.7.28 日経産業新聞)
首相直属特別委員会 ネット接続 2005年に全教室で 高速回線を敷設
日本通信販売協会予測 → http://www.jadma.org/press_release/pre437.htm (99.7.22 Internet Watch)
ネット通販売上高 98年度 約400億円 通販業界全体では約2兆1,800億円
IDCジャパン予測(99.7.27 日本経済新聞)
情報技術産業 2003年 6兆円へ 現在は4兆8,000億円 年平均4.6%で成長
サービスを利用できる世帯も全世帯の11%に達した。2000年3月末には住宅向け ISDNサービスのユーザー数130万(99年3月時点)に匹敵する。 (99.8.2 日経産業新聞)
CATVネットのユーザー数 今年6月で6万世帯を突破 98年11月で約2万世帯
パソコンの世帯普及率は28.1%。2000年は出荷台数1,113万台、対前年成長率11.5% と予測。99年の4月から実施されたパソコン減税は、ビジネス市場を活性化する。 IDC予測 → http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/990713/idc.htm (99.7.14 PC Watch)
パソコン出荷台数 99年 前年比26%増 998万台 家庭市場の伸びは同56%増
シェア1位 パイオニア 44.0%(同6.0ポイント減)、 2位 松下電器 27.0%(同3.0増)、 3位 ソニー 18.0%(同1.0増)。 日本経済新聞社調査(99.7.16 日経産業新聞)
DVDプレーヤー出荷台数 98年 前年比63%増 24万台
シェア1位 SCE 61.2%(同7.1減)、2位 任天堂 21.4%(同3.3増)、 3位 セガ 17.1%(同6.2増) 日本経済新聞社調査(99.7.22 日経産業新聞)
家庭用ゲーム機出荷台数 98年 前年比16.7%減 612万台 2年連続二ケタ減
98年は同1%増、2000年問題が特需に。コンピュータ向けソフトは、98年が同5% 増で約33万本、今後5年間に年平均14%成長と予測。 IDCジャパン調査 (99.7.13 日本経済新聞)
OSソフト市場 99年 パソコン向けは前年比20%増 1千万本を突破
【世 界】
電子メディアを通した売上は、全体の売上の9割を占める。CD-ROM版は約50ポンド (約9千円)と安価なうえ高価な書籍に比べ情報量が多く、内容を随時更新できる ことも魅力。広報担当者の将来の発行について懸念した言葉を拡大解釈、BBCニュ ースが取り上げ、一部メディアが追随し、騒ぎが大きくなった。 (99.7.29 日本経済新聞)
英ブリタニカ 「書籍の百科事典出版を停止」と拡大解釈され日英で大騒ぎ
IDC予測(99.7.26 Internet Watch)
ソフトウェアのオンライン販売 2003年 329億ドルへ 99年は35億ドル
現在は1%程度 マイヤーズグループ予測 (99.8.5 日経産業新聞)
ネット広告市場 2005年 320億ドルへ 全広告に占める割合は8%に
シェア1位 コンパック 14.6%(同32%ポイント増)、 2位 デル 10.8%(同52%増)、3位 IBM9.2%(同49増) IDC調査(99.7.28 日経産業新聞)
パソコン出荷台数 99年4〜6月 前年同期比27%増 2,555万台
【米 国】
A4判のソフトブック・プレス社の携帯端末は、電話回線につなぎ、数分間待つだけ で「本」を手元に取り込める。 (99.8.8 日本経済新聞)
電子書籍の標準規格「Open eBook」 9月までに詳細が固まる
売上高は3億1,400万ドル、純損失は1億3,800万ドル (99.7.22 日本経済新聞)
アマゾン・コム 99年4〜6月期決算 売上高2.7倍、純損失は6倍に
行っているのはカリフォルニアのコーディ・ブックス。バークレーのガイヤ・ブッ クスなども開始予定。20ドル以上の購入は無料配達。 (99.8.5 新文化)
書店のローテク自転車宅配が地元で好評 配送料金はアマゾンの半額で即日配達
98年からベンチャー数社が料金別納郵便切手を実験販売していた。パソコンとプリ ンターがあればネット上の専用口座を通じて切手を買い、印刷できる。 (99.7.22 日経産業新聞)
郵政公社(USPS) ネット上での切手販売認可へ 安全面で問題なしと判断
ボストン・コンサルティング・グループ調査 (99.7.26 日本経済新聞)
電子商取引 99年 前年の約2.5倍 360億ドル 98年は149億ドル
新規の利用者の約6割が女性、数年内にネット利用者総数の過半数を占める勢い。 (99.8.5 日本経済新聞)
ネットで買い物 女性利用者急増 月間延べ人数1千万人突破
CATV網の改良などで普及の環境が整った。ただし、80億ドル規模のレンタルビデオ 市場の縮小は必至。 フォレスター・リサーチ予測(99.7.23 日本経済新聞)
ビデオ・オン・デマンド(VOD)市場 2005年 31億ドルへ 現在はほぼ0
Cネット、Eトレードは年間1億ドル以上を投じる。「オンライン媒体に広告を出す とバーチャルなイメージがつきまとう。」 (99.7.22 日経産業新聞)
ネット企業 知名度の向上のため テレビなど既存媒体に積極的な広告展開
2000年は大統領選挙やオリンピックの開催で同7%を超える見込み。 マッキャン・エリクソン調査(99.7.12 日本経済新聞)
広告市場 99年 前年比6.1%増の2,139億ドル 過去最高に 8年連続の拡大
出荷台数は同35%増、売上高は同6.1%増。今後も低価格化は進む公算。 PCデータ調査(99.7.26 日本経済新聞)
パソコン価格 99年6月 前年同月比20%以上下落 初めて900ドルを割り込んだ
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【連載】「キーワード設定の現場から」
- - -第20回:「括弧は便利で不便?」・第21回:「Macintosh」- - -