JEPAキーパーソンズ・メッセージ!
(株)メディアビジネスクリエイティヴ 代表取締役
デジタルメディアを造ろうと創業した弊社で、たまたま冊子の本を造る破目になった。 ある出版社OBの友人から自費出版の依頼があったのである。内容は、日本全国の食文化 を都府県別に綴ったもので、A5版で500ページもの単行本で個人の自費出版としては 膨大な情報量である。彼はもともと食べ歩きと飲み歩きに貪欲でその道には造詣が深く、 出版社の仕事の傍ら20年の歳月をかけて築いた情報である。本文解説のためのイラスト や内容に関わる和歌・俳句・川柳なども盛り込んで、各地を旅して食を味わうガイドと して楽しい格好の読み物になると思われる。 この依頼があった当初、冊子の本を造ると同時にこの本の情報はWeb上で切り売り出来る 情報でありInternetでも提供しようと友人にけしかけた。Internetも知らないわけでない 彼は、製作経費の回収ができるのなら本も売るしInternetでも情報を売ろうと乗り気に なって呉れた。そうなれば、デジタルメディアを手掛ける当社の本来の仕事にもなると 考えたのである。 出版の編集も製作も手掛けたことのない私が、出版社のそれを傍らで眺めていた経験 から編集・製作擬いの仕事を始めたのだ。とはいえ編集・製作擬いの仕事はなんとか こなして、、本文校了までの段階を迎えて本は出来そうであるが、果たしてInternet でこの情報を流せるだろうか? これまでの組み版の過程は、書体・ルビ・外字・索引 ・付録データなどなど赤字・変更はあるし、罫線の入った表擬いの付録の追加など、 誌面を整えるためにのみ終始した。今の印刷データはデジタルとアナログが入り交じり、 どのようなマスターが保存されているのか? 見当がつかない。だが、それでも印刷用 の版は出来るのである。 この情報を全てデジタル化しHTMLのタグを付し、附帯情報ともリンクさせるなどの 加工を施しWeb上に乗せるには、更に相当の労力を要すると思われる。 One Source Multimediaの展開を出版社に提案し、HTML以前のSGMLや出版情報のデータ ベースを推進した昔、出版社が対応してくれないと嘆いたことを思い出して、時代が 変わり今の編集者や製作者はマルチメディア・マルチユースを意識して励んでおられる と思いつつも、出版の編集・製作が当面本を造るためにのみ奔走せざるをえない状況 を、今回自ら体験して苦笑してしまった。 ある出版社の女性編集者が電子出版界の忘年会で「2000年に向けて出版のマルチメディ ア・マルチユースを目指してガンバル!」と改めて強調しておられたが、前述の体験 から私は自分なりに解釈し納得した。悪い状況が続く現状の出版界でも未だに冊子の本 が大勢を占め、読者の大半が電子出版を認知し受け入れる環境ができない限りOne Source Multimediaは出版社にとってはたいへん苦難ではないだろうか? 米国のOpen e-Bookや日本の電子書籍の読書端末は、かつての同様なシステムや道具とは 比較にならない高いグレードで商品化され、またはされる予定と聞く。電子書籍は、 印刷のアナログデータの利用が発想の原点という。やはり冊子の本ありきの世界で、 出版はその手法の長い歴史からおいそれと脱却できないのであろうか?まだしばらく 電子出版は既成の本をベースに緩やかに歩み続けるのかもしれない。 今年のフランクフルトブックフェアでも、Book On Demand出展ブースが賑わっていた。 やはりまだ冊子の本が究極の情報源なのだろうか? 日本でCD-ROMによる本格的な電子出版が出現して15年の歳月が過ぎた。いままでの多く は辞典・事典のたぐいで相応の成功を収められた。これらレファレンス的な文献は冊子 より電子情報が秀逸しているからだと思う。 私としては2000年に向けて、前述の「食文化の読み物」を時代の趨勢に乗りWeb上で展開 し、ネットワークビジネスになるかどうかトライしようと夢をみている。 乞う アドバイス!
JEPA理事 吉田 安孝![]()
ワンポイント調査報告
特集!
「本が買える日本語サイト」350万点以上の国内外の書誌データベース。年会費は1,500円、国内送料は480円。
紀伊國屋書店「BookWeb」
送料は1配送320円。商品を1つずつ発送する「EXPRESS配送」の場合は280円。
文教堂「ジェイブック」
購入するには会員登録(無料)が必要だが、商品の取り寄せ状況の確認などができる。 国内送料は380円。
丸善「MARUZEN INTERNET SHOPPING」
検索機能は備えていないが、日本書籍出版協会、図書館流通センターのデータベー スが利用できる。国内送料は関東410円から。
「八重洲ブックセンター・インターネットショップ」
クレジット決済を登録すると、送料は300円(通常は500円)。
旭屋書店
和書140万点、洋書280万点のデータベース。会員制だが入会金は無料。 送料は380円。
三省堂書店「Book Site Sanseido」
会員制だが入会金は無料。送料は関東380円から。
青山ブックセンター「abc internet shop」
50万点のデータベース、在庫があれば3日以内で届く。送料は300円。
ジュンク堂書店「JUNKUDO BookWeb」
書誌データベースを持たず、同店が薦める本を掲載、販売する。 送料は1万円以上は無料、1万円以下は500円。
往来堂書店「往来堂・WEB書棚」
送料は280円。年会費2,000円の「スペシャル・メンバー」に登録すると、 2,000円以上の購入で送料無料。
本屋さん「BOOK CLUB 本屋さん」
サイト自身に検索機能はないが、日本書籍出版協会による検索サービスにリンク している。送料は380円。
「クロネコヤマトのブックサービス」
150万点の書誌データベース。年内に同サイトに在庫状況がわかる書店がオープン する。最寄りの書店で受け取る。
日本出版販売「本やタウン」
書籍140万点のデータベース。最短3日で届く。指定の書店で受け取る。
トーハン「本の探検隊」
送料は280円、本体価格10,000万円以上の場合は無料。
リクルート「ISIZE BOOK」
140万点のデータベース。セブンイレブンで代金引換で受け取る場合は、留置料、代 金収納手数料がかかる。ヤマト運輸での受け取りは、送料1冊380円。会員制。
ソフトバンクグループ「イー・ショッピング・ブックス」
各省庁が発行している刊行物が買える。
「政府刊行物」
厳選された本を書評を読みながら買えるサイト。 送料は購入価格20,000円未満は一律350円、20,000円以上は無料。
詩林堂「厳選館」
現在64社の出版社が参加、分野は「サイエンス」など15分野。送料は400円。
大日本印刷「専門書の杜」
専門書の販売サイト、送料は1回につき何冊でも200円。購入価格5,000円以上は 無料。
「東京化学同人」
コンピュータ書籍・雑誌の専門販売サイト。5日前後で届く。送料は1回の注文に つき何冊でも400円。
日教販デジタルメディア「Book Mall Japan」
洋書専門の販売サイト。ほとんど米国定価で販売している。送料は、宅配の場合は 1回800円。連携している文教堂、旭屋書店での受け取りの場合は無料。
スカイソフト「SKYSOFT」
注文方法、発送、送料に関する説明などは日本語で書かれている。 送料は、普通郵便配送の場合1回4ドル。
「Amazon.com」(日本語サイト)
古本専門の販売サイト。送料等は在庫を持つ書店の指示による。
全国古 書籍商組合連合会など「日本の古本屋」
約40万点の文庫の古本の在庫を持つ。1冊1,280円を売値の上限とし、購入した本を 横に積み上げ、厚さ14cmまでは送料200円。
「ふるほん文庫やさん」
「古書店案内」のコーナーでは、世界各地の古書店300店の情報を掲載している。
紫式部 「新・源氏物語」
【日 本】
書籍は同4.9%減、雑誌は同8.5%減。雑誌は月刊誌が7.6%減、週刊誌が10.5%減。 当月返品率は書籍が同0.5ポイント減の44.5%、雑誌は同1.2ポイント増の35.0%。 1月から10月までの累計販売実績は、書籍が同1.3%減、雑誌が同4.2%減、合計で 同3.0%減。 ((社)全国出版協会 出版科学研究所発行 出版月報1999年11月号)
書籍・雑誌推定販売額 99年10月期 前年同月比 7%減 今年最大の落ち込み
角川書店に続き筑摩書房とも開始した。POSシステムで回収した店頭の在庫データを 出版社に開示、出版社はその数字と書店の注文数を見ながら配本数を決める。 (99.11.18 日経流通新聞)
平安堂 出版社とネットで書籍受発注 返品や品切れの減少を狙う
ジェイアール東日本物流とジェイアール東日本コンビニエンスと提携して実施。 まず、12駅の15店舗で扱う。 (99.12.8 日本経済新聞)
三省堂 ネットで書籍通販 駅構内のコンビニで受け取る
→ http://www.ryuhon-be.co.jp/yomu-yomu/q&a.html (99.11.23 日本経済新聞)
リュウホン・ビーイー 中小出版社の出版物を中心とする書籍をネットで紹介
ネットで注文を受け付け、ブックサービスを通じて販売する。サイトへの掲載料は1ケ月500円から。10月に新刊書籍を対象としたサイト「日刊 web本情報」を開設した。 → http://www.booksnet.co.jp/ (99.11.25 日経産業新聞)
アート 専門書や中小・地方出版社の出版物をネットで紹介 2000年春をメド
99年中には2,000万人を突破する。 郵政省予測 (99.11.16 読売新聞)
ネット人口 2005年度 5,800万人 普及率は45.5% 2人に1人がインターネット
プロバイダー別累積契約者数ではOCNが70万人でトップ。 (99.11.19 日経産業新聞)
個人のネット接続 99年3月末〜9月末 前年同期比4割増
新会社名は「トマデジ」。娯楽情報などを流し、ネットで商品の申し込みから決済 までできるサービスを提供する。 (99.11.12 日経産業新聞)
TBS、NTTグループなど 双方向テレビで新会社設立 業界標準を目指す
通産省初試算 (99.11.29 日刊工業新聞)
情報家電市場規模 2025年に約28兆円に 96年は約5兆円 年平均6%の伸び
国内出荷は同26%増の71万台。 日本電子工業振興協会調査 (99.11.17 日本経済新聞)
デジタルカメラ出荷台数 99年度上半期 前年同期比49%増の232万2,000台
日経マーケットアクセス調査 (99.11.25 日経産業新聞)
この冬買いたいパソコン第1位 デスクトップ型はソーテック、ノート型はソニー
(社)日本電子工業振興協会予測 → http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/991201/jeida.htm (99.12.2 Internet Watch)
パソコン出荷台数 2000年度 1,008万台へ 99年度は対前年比119%の900万台
【世 界】
(99.11.27 日本経済新聞)
欧州連合(EU) 電子署名ルール導入 2001年に法制化
3位はアムステルダム、東京は高い通信コストが響き15位 テレジオグラフィー調査 (99.11.24 日本経済新聞)
ネットの国際回線が最も集中する都市はロンドン、2位はニューヨーク
2000年から2005年までに6億台以上が出荷される。 米Allied Business Intelligence予測 → http://www.alliedworld.com/ (99.11.15 Internet Watch)
インターネット対応の携帯電話 2005年には携帯電話の3分の1に
日経マーケット・アクセス調査 (99.11.29 日経産業新聞)
携帯情報端末市場 99年 前年比111%増の636万台 「パーム」機が過半の320万台
米ペインウェーバー証券と英調査会社ゼニス実施の調査 (99.12.8 日経産業新聞)
広告市場 2000年 3,000億ドル突破 99年比6.5%の伸び
【米 国】
新規利用がほぼ一巡し、利用を中止するユーザーが出てきたことが主な原因。 サイバー・ダイアログ調査 (99.12.2 日経産業新聞)
ネット人口伸び悩む 99年前半 新規ユーザー数は前年同期の三分の一で390万人
ジュピター・コミュニケーションズ予測 (99.11.25 日経流通新聞)
ネット販売市場 11月〜12月のクリスマス期 60億ドルに 前年同期比倍増
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【連載】「電子出版のデスクトップ」
- - -第3回:「ページという仕組み」- - -