JEPAキーパーソンズ・メッセージ!
NTTコミュニケーションズ(株) BU事業部IPNWサービス部 サービス開発担当 担当部長
JEPA理事 宗川 真人海とネットと出版と
仕事柄、「電気通信サービスと電子出版の展望について」なんて書くべきなので しょうが、さっぱり面白くなさそうなので、勝手ながら趣味に関した話題をひとつ。 もう、かれこれ15年間もウインドサーフィンをやっていて、ここ数年間はかなり 熱中しています。理由は三つあって、一つは子供に手間がかからなくなったこと、 一つは使い捨てコンタクトが利用できるようになって行き慣れない海でも怖くなく なったこと。最後の一つはインターネットの普及のおかげです。 どういうことかと言いますと、まずバーチャルなネット上のコミュニティでいろ いろな人と知り合って、リアルな世界でもつきあいが始まり、これまでとはかなり 違ったスタイルでウインドができるようになりました。 それからどこの海(ちなみにウインドする海岸をスキーのように「ゲレンデ」と 言います。)がいいかもネットで情報収集することができるようになりました。 さらに海に行くときは、まず気象情報が重要ですが、これもネットでリアルタイム に情報収集。さまざまな予報サイトがあって「日本海に低気圧があって、南西の風 8m/sだったら千葉の御宿に行こう!」ということになります。 またとても大事なのが、ボードやセイル等の道具の調達です。ウインドサーフィン とは実に道具にお金がかかる、逆に言えばいかにいい道具を安く手に入れるかが 重要になります。ショップのプライス調査から通信販売、さらに個人同士の売買、 いわゆるオークションみたいなものまで、幅広く購入の機会をネットは提供して くれます。 それから各メーカーが出している最新の製品情報もすべてネット上で調べることが 可能です。 という訳で、自分の趣味はネットと切っても切れない間柄になってしまいました。 それでは、標題に入っている「出版」との関係は何だ?ということになります。 ウインドサーフィンでは、スキーやスノボ等と同様にいわゆる専門誌というものが あります。私も以前はこの「専門誌」を毎月のようにとっていたのですが、気づいて みると今はほとんど買わなくなくなっているのです。なぜだろう?と考えてみると、 そうです、専門誌が担っていた機能のかなりの要素がネットに代替されているから みたいです。 コミュニティ、ゲレンデ情報、ギヤ最新情報、ショップの広告、個人売買等、ネット の方が早い、安い、うまいと牛丼のような状態になってしまっています。 もちろん、専門誌にはその他にもレース情報、テクニック講座やプロセイラーの取材 など現在のネットにはないコンテンツもあるのですが、ほとんどは本屋の立ち読みで 間に合ってしまいます。(出版社の方、ごめんなさい。) じゃあ、専門誌をそのままネット出版すればいいか?というとそんな単純なものでは ないような気がします。出版という紙メディアをベースとした既存の業界があって、 そこで紙メディアを電子的なメディアにどのように替えていくかというアプローチ ではなく、ユーザのそもそも望むコンテンツは何か?、それを提供するために適した メディアと方法は何か?という様にユーザ指向で考えていく必要があると思います。 ただ、それが現在の出版という業界にアドバンテージがあるのかどうかは私にはよく 分かりませんが。![]()
今月の調査報告
【日 本】
今年最も大きなマイナスとなった。書籍は同6.4%減、雑誌は同4.0%減。雑誌は 月刊誌が同1.7%減、週刊誌が同10.9%減。書籍の1月から4月までの累計実績は、 同1.4%減。当月返品率は書籍が同0.4ポイント増の36.5%、雑誌は同0.9ポイント減 の31.8%。 ((社)全国出版協会 出版科学研究所発行 出版月報2000年5月号)
書籍・雑誌推定販売額 2000年4月期 前年同月比 5.1%減
発表、未発表を問わず1,000作品を目標にPDF化し、100円から500円程度でダウン ロード販売する。 (2000.5.19 日刊工業新聞)
小説家が70%出資し「e-ノベルズ」設立 作家主導で電子書籍配信
専門書を中心に約160品目を扱う。 → http://www.honyasan.co.jp (2000.5.23 日経流通新聞)
本屋さん 洋書もネットで販売 コンピュータの解説書など 低価格を武器に
読者の苦情や質問を受け付けるコールセンターを増やし、1日8時間だった受付 時間を24時間に拡大する。 (2000.5.30 日経産業新聞)
本屋さん 配送料を半額近い150円に下げ、顧客サポートを充実させる
今までは栗田出版販売が持つ約110万タイトルを公開してきたが、書協のデータ ベースを購入し公開した。 → http://www.bookservice.co.jp/ (2000.6.5 日本経済新聞)
ブックサービス 書籍データベース強化 約56万タイトルをネットで公開
書籍のジャンルを文芸・ビジネスなど12に分けて書評も配信する。希望する書籍の 新着情報を無料で配信したり、新刊書籍の予約注文も受け付ける。 → http://www.bk1.co.jp (2000.6.9 日経産業新聞)
ブックワン ネット書店「bk1(ビーケーワン)」7月4日スタート
年内に相手の電子書店内に支店を開設、両国で独自に決済できるようにする。 (2000.5.24 日本経済新聞)
フジオンラインシステム 海外の電子書店と提携 まず韓国最大手バロブックと
10月からは「Web一週間」を新たに配信、紙媒体と電子媒体による相乗効果を狙う。 (2000.5.22 日本経済新聞)
講談社 ウェブマガジン拡充 「Web現代」でマンガを有料配信し単行本化
デジタルパブリッシングサービスは凸版印刷とトーハンの合弁会社。品切れや 絶版となった書籍を大きな活字で出版する。 → http://www.d-pub.co.jp/ (2000.5.26 日経産業新聞)
デジタルパブリッシングサービス 大きな活字で1冊から出版
マレーシアの印刷会社と提携しコストを削減する。 (2000.6.14 日本経済新聞)
あかつきビーピー 200冊から書籍印刷 専門書・絶版本の需要を見込む
書店が支払う手数料を安く設定し、中小書店でも導入しやすくする。 (2000.6.3 日本経済新聞)
トーハン デビットカードの書店向け決済システム開発
電子書籍を暗号化し、復元するためのライセンスかぎを発行するサーバー用 ソフト。著作権保護が可能。 (2000.5.18 日刊工業新聞)
アドビ 電子出版向け暗号化配信ソフト「アドビPDFマーチャント日本語版」発売。
印刷市場におけるオンデマンドの比率は、2000年時点で1.4%、2004年には5.6%。 GSM予測 (2000.6.5 日経産業新聞)
オンデマンド印刷市場 2004年 2,190億円に 2000年は480億円
日本紙パルプ商事と国際紙パルプ商事は製紙会社2社と共同出資で新会社を設立、 ネット販売専用の共通ブランドを設け、出版社など大手ユーザーや卸会社を対象に 取引する。 (2000.5.18 日本経済新聞)
紙商社2社 王子製紙・日本製紙と共同で、紙・板紙をネット取引 来春から
郵政省調査 http://www.mpt.go.jp/pressrelease/japanese/denki/000531j601.html (2000.6.2 Internet Watch)
携帯電話からのインターネット利用者数 4月末時点 931万人
前年比429万1,000人増。 インターネット白書2000 (2000.6.13 Internet Watch)
ネット人口 6月末には2,000万人時代に突入 2月末時点で1,937万7,000人
日本電子工業振興協会予測 (2000.5.25 日本経済新聞)
ネット普及率 2010年 普及台数は4,790万台に達し8割に
郵政省調査 (2000.5.31 Internet Watch)
CATV普及率 99年度 前年度比20.3%増の949万世帯 インターネットなどフルサービス化が急増
情報サービスがけん引。 (2000.5.25 日経産業新聞)
エレクトロニクス国内市場 2010年 46兆円に拡大 2000年は約30兆円
【米 国】
オンライン上の販売チャンネルを利用すれば、簡単に低コストで読者に届けられる ようになり、参入機会が広がっているのが理由。 出版マーケティング協会調査 (2000.6.14 日経産業新聞)
出版社創業ラッシュ 独立系出版社 5年後には10万社を超え現在の2倍に
「ポケットPC」に「マイクロソフト・リーダー」という機能を搭載し、電子活字 の解像度を上げた。パソコンにも対象を広げ有料化する。 (2000.5.24 日本経済新聞)
マイクロソフト ランダムハウスなど出版大手と書籍ネット配信で提携
「iPublish.com」を立ち上げ、3つのチャネルを設ける。 iReadは出版作品を展示してオンライン書籍販売の流通拠点に、iWriteは読者会員が 新作品を投稿する窓口、iLearnは作家や執筆経験者がサイトのユーザーとノウハウ を共有するフォーラム。 → http://www.twbookmark.com/features/ipublish.com/ (2000.5.25 Internet Watch)
タイム・ワーナー・トレード・パブリッシング 電子書籍事業を開始
ビジネスや趣味などの講座を無料で提供する。消費者の知識欲の高まりを背景に 書籍販売に弾みをつけるのが狙い。 (2000.6.1 日本経済新聞)
バーンズ ネット大学「バーンズ・アンド・ノーブル大学」開設
電話の基本料金や通話料にかかる3%の連邦通信税を2002年10月までに撤廃する。 下院ではネット接続料への課税などを2006年まで凍結する法案も可決済み。 (2000.5.27 日本経済新聞)
ネット普及へ 通信税撤廃 今秋にも法案成立
テキサス大学調査 (2000.6.7 日本経済新聞)
ネット市場規模 99年 前年比62%増の約56兆円 雇用65万人創出
2005年のWebサイトでの購入額は1,990億ドル。 実店舗のみによる購入額と、オンラインの影響による実店舗での購入額を合わせる と、1999年の2,350億ドルから2005年には8,310億ドルに拡大。 Jupiter Communications調査 (2000.5.22 Internet Watch)
Webサイトで商品を調査した後に実店舗で購入する額 2005年 6,320億ドルに
広告主協会(ANA)調査 (2000.5.15 日経産業新聞)
大手企業が99年に投じたインターネット広告費 平均2億円強 前年比約3倍に
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【連載】「電子出版のデスクトップ」
- - -第9回:「縦の物を横にする(4)」- - -