JEPAキーパーソンズ・メッセージ!
業界を代表するJEPA理事の皆様から旬のメッセージをいただいておりましたこの
コーナーは、順番が一巡したため42号にて終了致しましたが、再開のご要望が多く
第45号から再びお届けしています。
(株)講談社 ライツ事業局局次長
私はJEPAとの関わりがまだ浅く、昨年7月、理事代理のご承認をいただいてからの、 1年にすぎません。となれば、経験豊富な先輩会員がなみいるなかでの「キ−パ− ソンズメッセ−ジ」は、少し荷が重過ぎますので、私がデジタル出版にどう出会い、 何を感じてきたのかを「世紀末自分史1982−2000」的にまとめてみました。 そもそも、JEPAに加えていただくきっかけは、'98年10月に発足した電子書籍コン ソーシアムで読書端末部会長をつとめ、2000年3月末で実証実験を終了した同コン ソーシアムがJEPAに組織合同したことです。 電子書籍=e-bookに大きな関心を持っていた私は、コンソ−シアム結成に先立つ 「電子文庫」の研究会にも参加させていただき、シャ−プさんの液晶を使った携帯 読書端末の可能性を垣間見たりしました。iモ−ドがすぐ登場するなどとは知ら ずに。 ところで、お恥ずかしいことに、私は、いまだにコンピュ−タ−に関することは、 いまだに初歩レベルですが、デジタル的なるもの=デジタル編集との出会いは、 かなり前の'82年にさかのぼります。 その年の6月、会社の留学生として渡米した私は、実務研修ということで、編集 の最終段階に入っていた「英文日本大百科事典」(講談社1983年刊行)の本文組版 の進行のお手伝い。全9巻の膨大な英文テキスト組みを、米国有数の印刷会社 ComComに発注しており、東京・本社での校正・校了は距離と言葉の壁ゆえに難航 していました。それに加えて、コンピュ−タ−組版とその前提となるデジタル編 集のコンセプトが、まだ日本にほとんど無かったことも大きかったハズです。 乏しい英語力に、初めて聞く用語がいっぱいでてきて「米国のコンピュ−タ−組 版」はかなり進んでいると実感。 米国(New York)には82年から93年4月まで滞在しましたが、ちょうどデジタル社会 になだれこんでいく時代でもありました。コンピュ−タ−のダウンサイジングが 進んで、ホ−ムコンピュ−タ−と呼ばれ、オフィスや家庭に普及していき、つい にはPersonal Computer(PC)が定着しました。 当然、出版も変わります。TBSブリタニカさんのNEWSWEEK日本版創刊の頃は、同誌 やライバルのTIME/PEOPLE誌の編集部を頻繁にたずねました。感心したのは、週刊 誌の編集・制作が、スタッフ各自にコンピュ−タ−(まだ PCとか端末= Device と呼ばれず )を用意して社内 LANで結び、整然とデジタル化されていたこと。85、 6年頃でした。 88年から大友克洋氏の大人気コミック「アキラ」をEPIC COMICSより、英文出版。 当時、アメコミはカラ−が主流で、87年暮れより日本版をコンピュ−タ−・カラ −リング。大友氏の原稿をスキャンして、マウスを巧みに駆使する彩色作業に仰 天しました。 85年10月オ−プンのMITメディアラボでは、ネグロポンテ教授のBeing Digitalを キイワ−ドにネット社会を先取りした研究のほかに、90年以降のe-paperに代表さ れるデジタル時代の出版像も追求していました。このラボで多くのアイディアに 啓発され、とくにインタ−ネットの予見は大きく、ウエアラブルPCのように 5、 6年後に現実味を帯びてきたものもありました。 こうした、刺激ゆえか、帰国後まもなく、96年秋より、凸版印刷さんのサイバ− パブィッシングジャパンと提携して、社のホ−ムペ−ジを開設。97年から98年は SONYさんとPHSでのコンテンツ配信実験、ここでは、当時の元木週刊現代編集長と 一緒に同誌の記事要約に挑戦。この翌年に、彼が中心となってweb現代を創刊して います。 また、e-bookをつきつめると、つい紙の出版に戻ってしまい、キラ−コンテンツ でブックオンデマンドの拡大をもくろんで、昨年3月、村上龍氏の新作「共生虫」 を単行本より先行してオンデマンド。10月には源氏大学ドットコムを立上げ。い ずれも富士ゼロックスさんの全面協力にもかかわらず、話題にはなってもビジネ スはいまひとつでした。 というふうに、10年以上の関わりを振り返ってみると、あらためて、デジタル出 版でも、いまだ初歩レベルを試行錯誤しているなあと嘆息しています。
JEPA副会長
岡崎 憲行![]()
今月の調査報告
【日 本】
書籍が同2.7%増、雑誌が同0.1%増。雑誌の内訳は、月刊誌が同0.9%減、 週刊誌が同2.9%増。 返品は、書籍が同0.7ポイント減の42.1%、雑誌は同1.1ポイント減の29.6%。 1〜5月期の書籍・雑誌累計販売実績は、同4.1%減。 ((社)全国出版協会 出版科学研究所発行 出版月報2001年6月号)
書籍・雑誌推定販売額 5月期 前年同月比1.1%増 5ケ月ぶりに前年比増
オンデマンド印刷と電子書籍に対応した書籍出版事業を「新出版システム」として 開始。書籍のデザインや組み版にかかる手間を簡略化することで費用を軽減し、 誰でも出版物を発行できるようにする。書き手にかかる費用は5万円前後の予定。 → http://www.gozans.com/neopub/ (2001.6.27 Internet Watch)
オンライン出版サイト「ゴザンス」 オンデマンド書籍出版事業を7月より開始
楽曲と書籍のデータベースは約70万語のキーワードで検索できる。 (2001.7.6 日経産業新聞)
オムロン 音声で大量検索する高速検索技術開発 実用化へ 「家康を読みたい」
→ http://www.honya-town.co.jp/ (2001.6.22 日本経済新聞)
日販 書籍を自宅へネット直販開始 1〜2日で届く アマゾンに対抗
ゲームなど取扱品目の拡大と宅配も検討する。 (2001.6.26 日経流通新聞)
日販 ネット書店でCD・DVDの予約販売開始
→ http://www.sofmap.com/ (2001.6.22 日本経済新聞)
ソフマップ IT関連書籍をネット通販 東京23区内では受注後24時間以内に配送
(2001.6.29 日経産業新聞)
パピレスとブックワン 書籍通販で業務提携 相互リンクで利用者の拡大図る
コスト削減と納期短縮を図る。 まず紀伊国屋書店など一部の大型専門店を対象に構築、将来は量販店にも拡大する。 (2001.7.2 日本経済新聞)
講談社、小学館 EDI受発注システムを各々構築 今秋をメド
フォーマットを公開し、他社に無料での利用を呼びかける。 (2001.6.28 新文化)
大手出版社6社 「WEB-EDI」標準フォーマット作成 システム構築へ
日販、大阪屋、栗田出版販売、太洋社は、書店に本を届ける送品業務の統合も 目指す。 (2001.6.18 日本経済新聞)
出版取次4社 物流統合 来春メドに新会社 まずは返品処理業務を共同で
店名は「イタショー・ブックオフ」。 JCイタショーは、米国で日本語の新刊本販売を手掛けている。 (2001.7.2 日本経済新聞)
ブックオフ JCイタショーと米国で複合店鋪の運営開始 8月上旬、ロス郊外に
新規店の平均店鋪面積は、87.5坪と前年比1坪減。 大手出版社調査 (2001.6.28 新文化)
書店の新規出店数 2001年上半期 前年同期比72店減の177店 6年連続で前年割
2005年度までに4,000万世帯が高速インターネット使用を目標。 (2001.6.27 朝日新聞)
政府のIT戦略本部 「e-Japan2002プログラム」を正式決定
蓄積型放送は、「ホームサーバー」と呼ばれる次世代型の家庭用コンピュータに 番組などを録画・録音し、後で検索して楽しむ仕組み。 (2001.6.26 読売新聞)
総務省 蓄積型(ホームサーバー型)放送の実現 2003年を目指す
携帯・PHSのみでインターネットを利用する層が、2000年2月の3万人から 2001年2月時点で652万5,000人と、ユーザー全体の2割を占める。 インプレス「インターネット白書2001」 (2001.6.26 Internet Watch)
インターネット人口 2001年2月末時点 3,260万人 2000年2月は1,937万7,000人
1999年度末に比べ7ポイント増。 総務省調査 (2001.7.3 日本経済新聞)
消費者が光ファイバーを利用できる地域 2001年3月末時点 全国の43%に
約1,400万世帯が64kbps以上でインターネットに接続する。 現在最も普及しているISDNは、2003年にピークを迎え、緩やかに減少、 xDSLの普及率は5%に留まる。 ガートナー予測 (2001.6.29 Internet Watch)
高速ネット 2005年 主流はCATVインターネット
特にネット接続型の携帯電話による取引が541億円と同13倍に。総務省調査 (2001.6.15 日本経済新聞)
個人向けの電子商取引市場 2000年 6,230億円 前年比79%増
2005年には、BtoB市場で2,100億円 BtoCで100億円を突破。 矢野研究所調査 (2001.7.4 日経産業新聞)
e-ラーニング市場 2000年度 BtoB市場で130億円 BtoCで7億円
速度は光ファイバー並み。 (2001.6.26 読売新聞)
総務省 次々世代(第4世代)携帯電話 2010年までに100メガビットで通信へ
情報通信審議会(総務省諮問機関)予測 (2001.6.26 日刊工業新聞)
携帯電話市場 2010年 41兆1.000億円 2005年は99年の約3倍 19兆8,000億円
【世 界】
前年の1.48倍の伸び。 「インターネット白書2001」 (2001.7.6 Internet Watch)
インターネット人口 2000年末時点 3億人 普及率では北欧がダントツ
IDC予測 → http://www.idc.com/Services/press/PR/GSV062501pr.stm (2001.6.28 Internet Watch)
インターネットサービス市場 2005年 現在の3倍 690億ドルへ
YankeeGroup予測 → http://www.yankeegroup.com/webfolder/yg21a.nsf/press/FE310C24F9DFA93E85256A6 F00490633?OpenDocument (2001.6.20 Internet Watch)
ストリーミングメディア広告市場 2005年 2000年の70倍 31億ドルに
Datamonitor Corporation予測 → http://www.gii.co.jp/press/dc6954_jp.shtml (2001.7.4 Internet Watch)
欧米の双方向テレビゲーム市場 2006年までに27億ドルに
ARC Group予測 → http://www.gii.co.jp/press/ar5746_jp.shtml (2001.7.4 Internet Watch)
2モバイル・エンターテインメント利用者 2005年 8億人近くに
【米 国】
初めて前年実績を割り込んだ。「2001年は前年比横ばい」の予測を同25%減と大幅 下方修正した。米インターネット広告協議会とメリルリンチ調査 (2001.6.26 日本経済新聞)
ネット広告 今年1〜3月期 前年同期比2割減の15億7.900万ドル
同時点での双方向テレビによる広告の市場規模は45億ドル、テレビ広告全体の7% に相当。双方向テレビの普及は、今年末に米世帯の8%、2005年には42%に拡大。 ジュピター・メディア・メトリックス予測 (2001.6.22 日経産業新聞)
双方向TVで商品をネット購入する「Tコマース」市場 2005年までに43億ドルに
平均してメールアカウントの管理のために1日平均49分を費やす。 Gartner Group調査 → http://www4.gartner.com/5_about/press_room/pr20010702a.html (2001.7.4 Internet Watch)
ビジネスパーソンはメール中毒 42%が休暇中 23%は週末もメールチェック
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【連載】
「電子出版のデスクトップ」
- - -第22回:「NET書店への期待」- - -
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