Vol.6


JEPAキーパーソンズ・メッセージ!

(株)アスキー
第四編集統轄部 統轄部長
佐藤 英一

「パソコンのススメ」

 商売柄、「今度パソコンを買おうと思っているのだけど、何がいいのか な」と聞かれることがある。 この手の質問には、お約束の「パソコンで 何をやりたいの?」と切り返すわけだが、こういう輩にかぎって「インター ネットとかさ、CD-ROMも見てみたいし…」というような煮え切らない答えが 返ってくることが多い。 そしてたいていの場合、次に「どんどん新しい 機種が出てくるじゃない。すぐ古くなっちゃうんじゃないかと心配で」とい うセリフが続く。 これに対しては「思い立った時が買い時。そんなこと 言っていると一生買えないよ」と答えるのが、最近の業界人の慣例らしい。  前号で久和氏も指摘しているように、Windows95ブームで急速に出荷台数 を伸ばしてきたパソコンは、ここにきて一気にブレーキがかかっている。 踊らされて買ってはみたものの、難しすぎて使えない。 マニュアルはわか らないし、ユーザーサポートに電話しても通じない(弊社のようなパソコン 系の出版社にも責任の一端はある)。 新機種が次から次に出て買ったら すぐに古くなる。 パソコンは家電製品ではないということに、誰しもが 気づいたのだ。  そこで、最近私は積極的な方には「出来合いを買うのではなくて、自分で 組み立ててみたら」と勧めることにしている。 パソコンを組み立てると いうと、ハンダごての世界を想像する方もいるかもしれないが、いまは部品 点数が20点ぐらいのプラモデルを組み立てる感覚にかなり近い。 もちろん それなりの覚悟は必要だが、専門家でなければできない代物ではなくなって いる。 また洋服のセミオーダーのように、いくつかのオプションから自由 に部品を選べば組み立ててくれるショップもある。  自分で組み立てれば愛着もわくし、市販品とは違うからメーカーの矢継ぎ 早の新製品の投入に怒りを覚えることもない。 値段はもちろん安くあがる し、あとで部品ごとにアップグレードすることも比較的容易だ。 しかも、 パソコンの動作原理はわからないまでも、どんなものでパソコンが構成され ているかぐらいは理解できる。 最初の苦労を乗り越えれば、今後、家電 製品ではないパソコンを使っていく上での幾多の困難に立ち向かう準備は 十分に整ってしまうのだ。  パソコンは、これからもどんどん使いやすくなっていくし、ビジネス ツールとして、いま以上に必須になるのは間違いない。 しかし、パソコン を組み立てるといったマニアックな世界もそれはそれで楽しい。 いまは テクノロジーが先行し、コンテンツはついていくのがやっとという状況 だが、パソコンのようなぐちゃぐちゃで、ちょっといかがわしい世界から 新しいものが生まれてくるように思う。 ほんとうに商売になるコンテンツ は、パソコンではなく別のプラットフォームに乗ることになるのだろうが、 いまはパソコンにどっぷり浸かってみたい。まだまだ得体の知れないものが 出てきますヨ。

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