JEPAキーパーソンズ・メッセージ!
(株)学習研究社 辞典編集部 副部長(当時)
小山 能尚「思い入れの固まりのような図鑑を作りたい」
私は、本を作るとき、作ること自体を大いに楽しんできた。一から十まで 口を出し、納得がいかなければすねてしまう。 図鑑、特に、水の中の生き物を扱う仕事が多く、必要に迫られてカメラを 始めたのが30年前。磯で見られる生物をせっせと撮影し、図鑑の資料とし た。磯では飽き足りななくり、ついにはスキューバダイビングを始めてしま った。 図鑑の資料を採集するには、寒い海に住む生き物は、寒い時期に寒い海で しか採集できず、反対に暑い海に住む動物は、暑い時期に暑い海でしか採集 できない。したがって、真冬の凍てつく知床の海から、真夏の太陽がぎらぎ ら照りつける西表まで、潜りに潜り、捕まえた魚やカニは2000種を越え ている。あまりの寒さにシュノーケルをかみ切ったこともあれば、巨大な タコにしがみつかれて目の前が真っ暗になったり、遠くのサメの影に冷や汗 をかいたこともある。 図鑑にはどんな写真が適するか。特徴がはっきりするのは、体の形を資料 画のように整えて、白バックで撮影する標本写真である。こんな当たり前な 事も始めた頃は誰も経験が無い。印刷所と何回も打ち合わせをし、テストを 重ねて得た結論である。モデルになってもらう生き物は、顔立ちが良く、 最も標準的な色と模様を持ち、けがも傷もないものを選ぶ。死ぬと色を変え るものも多い。採集すると大急ぎで撮影することになる。自分の車を改造し て、車の中で撮影できるようにしたこともある。麻酔をかけて体色を保った り、ホルマリンで形を整えることも覚えた。 めずらしい生き物は我が家の水槽で楽しむ。一時は数個の水槽でモーター がうなりを上げ、狭い我が家をなおのこと狭くしていた。夜中のストロボが 稲光にまちがえられたこともある。家族のことも忘れ、経費のことも考えず 、無我夢中で突っ走った。よい時代だったからこそ、また、若かったからこ そできたことであろう。 一匹一匹、一枚一枚の写真に思い出があり、思い入れがある。写真の印刷 には特に注文が多かった。「この虹色を出してほしい」とか、「カニの脚を 一本補充してほしい」とか、「この細いひげを出してほしい」……である。 いわば印刷屋さん泣かせの典型である。 今、電子出版を見ると、確かに便利ではある。が、まだまだその表現力は 残念ながら「お粗末」と言わざるを得ない。いつの日か、細い毛が一本ずつ 表現できるようなハードが創られ、各家庭に普及するようになったら、また 、思い入れの固まりのような図鑑を作ってみたい。そのときは、やはり印刷 屋さんを泣かせることになるのだろうか。そんなことを思う毎日である。![]()
ワンポイント調査報告
新刊点数は前年より600点増で5,623点、前年比11.7%増だが、推定 販売額は前年比1.3%の微増。販売部数は10年で初の前年割れ、 前年比0.5%減。 CD-ROM付きムックの新刊点数は365点、前年は364点。CD-ROM付き ムックは点数的に天井を打ったと見られる。 ((社)全国出版協会・出版化学研究所発行「出版月報 1998.2」)
97年ムック 新刊は激増したが、全体の伸びは微増、需要低迷、 返品率は43%台
2005年の国内 IT(情報技術産業)の内需は(コンテンツ除く)は、 96年比85%増の64兆6千億円となり、GDP(国内総生産)の10.4%に 相当する巨大産業に成長と予測。 IT産業をコンピュータ・通信機器・半導体などのハード、情報サービ ス、通信サービスの合計と定義。放送・音楽・出版などのコンテンツ を含めた「総合IT産業」の内需は、2005年に78兆4千億円に達する 見通し。一方、米国のIT産業(コンテンツ除く)は、2005年に1兆 6千百億ドルと日本をしのぐ勢いで拡大。 日本経済研究センター予測 (98.3.12 日経産業新聞)
2005年 国内情報技術産業は64兆円規模に
97年の出荷台数は792万7,090台、前年比マイナス2.1%の微減。 98年の出荷台数は850万2,000台、前年比7.3%成長と予測。 情報産業専門調査会社IDC Japan調査 (98.3.5 PC Watch)
98年国内パソコン市場 7.3%成長と予測
東京・秋葉原、大阪・日本橋、名古屋・大須での97年のパソコン販売 台数は、前年比14.2%減の71万3百台。出荷金額は、同11.4%減の1730億 円。個人需要冷え込みの影響を受け、95年とほぼ同水準に戻ったことに なる。 (98.2.27 日本経済新聞)
97年国内3大電気街 パソコン販売14%減
1位 コンパック 18.0% 2位 デル 10.2% 3位 IBM 9.9% 4位 ゲートウェイ2000 8.3% 米調査会社 インターナショナル・データ社(IDC )調査 (98.2.25 朝日新聞)
97年10月〜12月期 米パソコン生産台数は4社寡占に
日本国内では、文部省による「学校における情報教育の実施等に関する 調査」によると97年5月時点でのインターネット接続率は、公立の全学校 合計で9.8%と米国での接続率に比べ大きく水をあけられた状態となって いる。 詳細はこちら (98.2.27 INTERNET Watch)
97年米国公立校のインターネット接続は約80% 3年間で倍以上に急増
1位 7.6ポイント 電子ギフトカードの配達サービス 2位 5.9ポイント 個人ホームページを集めたコミュニティー 3位 4.6ポイント 書籍ネット通販の最大手 米市場調査会社 メディア・メトリックス調査 (98.2.24 日経産業新聞)
97年米国ウェブサイト 視聴率が最も伸びた人気上昇ランキング
社内ネットワーク上に他社製品の広告を掲載する企業が米国で増えて いる。社内情報化のコストを軽減しようとする会社側の新しい試みだ が、仕事の妨害になるとの批判もあるようだ。 Netscape Communications社は、社内ネット上のページに銀行や携帯 電話の広告を掲載。広告が社の収入源となっているほか「社員が必要 とする製品の購入の手助けになり社員に喜ばれている」という。 一方、IBMはネット上に広告を掲載しない主義。「ページが読みづらく なるし、社が社員に物を売りつけていると思われたくない」がその理由 。しかし、社内ネット広告は企業の情報化を進める上での収入源に 成りうることから、広告内容を厳選し、量を制限した上で掲載する企業 が急増しているという。 (98.2.20 INTERNET Watch)
社内ネットに広告掲載、米国で普及
1位 NTT電子現金 2位 ビザ・キャッシュ 3位 モンデックス 日経デジタルマネー・システム誌 645社アンケート調査 (98.3.5 日経産業新聞)
国内金融機関 取り組んでみたい電子マネー・電子決済は、
地上波各局の総投資額が6651億円(126社計)に上がると、利益率が 半分以下に低下する。設備投資、デジタル対応の番組制作費など経費 が9〜20%増加し、その結果、三大都市圏のテレビ局の経常利益率が 約9%(97年度見通し)から2000年に約5%、2010年時点で2%程度 まで低下するとしている。 日本民間放送連盟試算 (98.3.5 日本経済新聞)
地上波テレビ デジタル化すると民放の経営に打撃、地方は赤字転落も
97年のデジタルカメラ世界出荷台数は、前年比3倍強の210万台。 98年は前年比1.5倍の320万台を予想。 日経マーケット・アクセス調査 (98.2.25 日経産業新聞)
97年デジタルカメラ 世界出荷は3倍に急増
PCカード標準化団体の米PCMCIAは2月18日(現地時間)、米Intel社が 開発した「Miniature Card」を、小型フラッシュメモリカードの標準 仕様として認定したことを明らかにした。 PCMCIAのホームページはこちら (98.2.20 PC Watch)
PCMCIA、米Intelの「Miniature Card」を標準仕様として認定
97年の古紙利用率(紙・板紙の原料に占める古紙の割合)は、前年比 0.4%アップの54.0%となった。2000年に56%まで引き上げる目標達成 は、この伸び率では容易でない。従来より少々白色度の落ちる紙を使う ようにするなど消費者の理解が必要。 日本製紙連合会調査 (98.3.2 日刊工業新聞)
97年古紙利用率、伸び悩み