JEPAキーパーソンズ・メッセージ!
(株)直江屋 代表取締役社長
紙田 彰「『本づくり』からの脱却という逆説」
先頃、久しぶりに一般書籍の売り場を訪れて、一般書籍、文芸、資料関係の出版物の 点数が激減しているのに驚いてしまった。 その書店は、近所の比較的大きな書店なのだが、いつのまにか、雑誌、読み捨てレベ ルの書籍、パソコン関係の本ばかりになっていて、わたしが今までふつうの本と考えて いたものが書棚に見当たらないのである。 思えば、もう20年ほど前から、「読み捨て」出版物が、大量消費の時代を象徴するよ うに出版と書店との間に横溢し、それまでたしかに存在していた、出版と書店という特 別な関係をもつ流通の現場が、出版文化という理念から大きく離れはじめたような気が する。 やせがまんする出版社や、口をへの字に結ぶ書店が持ち堪えられなくなったのであろ うか。 出版は、書店は、根本的なものを見失ってしまったのではないか。そのような思いが、 先の驚きの中身である。 どういうことかというと、出版というものが「ビジネス」という尺度で測られすぎて いはしまいかということだ。そして、その結果、出版流通の縮小と出版文化の萎縮、空 洞化を招来させているのではないか。 出版には、文化を蓄積する側面と、文化を創造するという側面がある。また、文化を 継承させるという面がある。 文化という、人間の知的体験を未来へ向けて橋渡しするということは、人間的営為の 中で特段にすぐれた能力である。そこには、未来の人間を信じ、人間の可能性を信じ、 また、そのような営為を可能とする人間の高潔を信じる勇気がある。 出版とはただのビジネスではない、というところから、捉えなおす必要があるのでは ないだろうか。 現状のような大不況下では、ビジネスという局面だけで考えれば、近視眼的な諸策を とらざるをえないし、それが根本的な解決にならないということも自明だ。ビジネスだ けで出版を論ずることが新しいなどというのは、この不況でもはや通用するべくもない。 しかし、出版そのものが、出口の見えない苦境にあるばかりではなく、新しい時代へ の産みの苦しみを経験していることも事実である。良くも悪しくも、その新時代への可 能性は、デジタル技術革新をどう取り込んでいくかにしかない。 デジタル出版の試みは、単に時代に追随するというようなところから、出版の可能性 をそこに見出していくというところに到達している。 電子出版、あるいはデジタル出版が、出版というものを根本から変えていくのは間違 いないし、だからこそわれわれはこの分野で歩を進めているのだ。 しかし、根本から変えるというのは、単にこれまでの出版の延長線上にデジタル出版 があるということではないはずだ。 出版は、文化を人間の歴史的展開の中に伝えるという大きな使命がある。出版のデジ タルデータベース化は、まさに、文化の遺伝子情報としてアーカイブし、それをいつで も利用することで人類の可能性を広げるという意味がある。 このデジタルデータベース化は、単に現状のデジタルデータビジネスやネットワーク ビジネスに躍らされているから必要だというのではなく、出版が文化としてあるための、 いわば存立の根拠であり、義務であるはずだ。 ところで、出版は「本をつくり、これを広める」ことがその役割なのだろうか。 たしかに、広めるという目的が「本」にあるというのは間違いのないところだ。だが、 広めるのは「本」そのものではなく、「本の魂」とでもいうべき、思想であり、文化で ある。 また、「本を読む」という行為は祈りに端を発するとしても、「読む行為」を通じた 文化創造が営まれたからこそ、現代がある。 これまでの出版は、印刷技術をバックボーンにしていたから、「本」は物質的に固定 したもの、静的なものであり、作り手側からの一方向的な情報付与という性格を持つも のであった。そのため、造本、編集などの「本の形態」についての技術・加工技術をも 含めて「本の全体」を構成し、「本の魂」の外側にある「本」の存在を強固にしていっ た。 出版文化において、この「本づくり」、「本の広め方」という技術も、またたしかに 大きな側面なのである。 しかし、それでもあえて言おう。「本」が「本の魂」そのものであっても、文化創造 をするのは「本の魂」と交感した人々なのである、と。 わたしは、近頃、次のような言葉に疑念を持ちはじめている。 ひとつは、「出版社は、本づくりのプロだ」というもの。デジタル出版になろうが、 ネットワークで展開されようが、読者がカネを払ってでも読むに価するものを提供でき るのは出版社だけだというものだ。 また、「出版の仕事は本をつくることだ」「本は読むためのメディアだ」という出版 の常識――。 わたしは、出版文化とは、本を作る技術ではなく、文化としての理念、思想にこそそ の本来があるはずだと考えている。 逆説的な問いかけであるが、「本づくりでなければ本当にだめなのか?」という疑念 を呈してみよう。 出版のデジタル化によって、「本」という静的なものから、動的な「データ」という 形で、コンテンツ自体が大きく変化している。 そして、このデジタルコンテンツははたして「読書をするため」のものなのだろうか。 「本」は読まれることを前提にしてつくられるが、このコンテンツは「読まれるためだ け」に読者の目前にあるのだろうか。 読者とコンテンツとの関係は、まず、蓄積された大量のデータに容易にアクセスでき るということ、また、自分のパソコンに取り込み、これを創造的素材、創造的原因とす ることができるということで、いわば「本の魂」との直接の交感が可能なのである。 このように考えていくと、「本は読まれるためにある」ということから逸脱する段階 に来ているのかもしれない。 読者もまた、「本を読むための存在」ではなくなったのである。読者は、情報に対し て受け身に立つものではなく、より能動的かつ活性化された存在に変貌していくのであ る。 つまり、読者に一方的に情報を与えるという考え方から抜けきれなければ、「本づく り」を基本にした既存の出版を脱し、新たなコンテンツ文化を展開することはできない だろう。 作り手と受け手という固定した考え方ではなく、相互に作用しあい、相互に新しい文 化を創造していくという、これまでとは異なった関係が取り結ばれるのである。 デジタル化とネットワーク化は確実に出版ビッグバンをもたらすが、これは改めて出 版文化を問い直し、新しい文化創造というコンセプトを打ち立てるだろう。 そのためには、真に出版の財産とは何か、真に出版は生き残れるのか、あるいは創造 的な場所を本当に産み出せるのか、が問われるだろう。 デジタル出版は、おそらく、「本を作る」ということから脱却することで、文化とし ての出版のありようを根本から変えていくのではないだろうか。![]()
ワンポイント調査報告
【日 本】
9月期の書籍・雑誌推定販売額は前年同月比2.3%減、6カ月連続で前年同月比 減。書籍は同0.1%増と昨年7月以来14ケ月ぶりに前年を上回ったが、雑誌は振る わず同3.9%減と大きく下回った。内訳は、月刊誌が2.1%減、週刊誌は9.0%減。 9月の書店店頭は、全国各地で大雨や台風の被害に遭い、客足が鈍りがちで販売は 低調だった模様。このため返品などへの影響は10月期に及ぶと思われる。累計(1 〜9月)では、書籍が前年同期比5.6%減、雑誌が同0.7%減、合計で同2.7%減と 依然厳しい状況が続いている。 返品は書籍が0.1ポイント減の37.0%と丸2年ぶりに前年を下回った、雑誌は0.3 ポイント増の26.2%。雑誌は、月刊誌は前年を下回っているものの週刊誌の増加 傾向が止まらない。
9月期 推定販売額 書籍 前年同期比0.1%増 雑誌 同3.9%減
富士通、日立製作所、大日本印刷、ユーシーカードの4社は共同で出版デジタル コンテンツのネットワーク流通に乗り出す、小学館、講談社など約30社の出版社 の協力を得て、雑誌やコミック、一般書籍などをインターネットを通じて電子フ ァイルの形で提供する。支払いも電子決済できる仕組み。4社は個人が自分のパ ソコンに「書籍」を直接取り込む時代をにらみ、コンテンツ流通システムの標準 を目指す。大日本印刷が11月から始める専用ホームページ「Book World」で、ユ ーシーカードの一部会員を対象に実用実験を開始、来春以降に商用化を計画して いる。雑誌や書籍の画面イメージを購入者しか解凍できない暗号化ファイルの形 でパソコンに送り込む。ファイルには電子透かしを入れ、不正コピーした場合は 出所を確認できる。有効期限の設定も可能。販売するのは、当初50種類程度を 予定。価格は1ページ20〜50円とし、欲しいページの切り売りでも、まとめてで も購入できる。支払いは電子クレジット決裁の標準手順「SET」によって、カード があれば画面上で即時決裁できるシステムとした。4社は今後ネット時代を迎え るにあたり音楽、ニュースを含めコンテンツのオンライン販売は不可避とみてお り、不正コピー防止と決裁システムにメドがついたことから、実用化に踏み切る。 (以上、(社)全国出版協会・出版科学研究所発行 出版月報1998年10月号)
コミック・雑誌をネット流通 富士通など4社 出版デジタル情報提供
富士ゼロックスはインターネットなどを使ったデジタルコンテンツ流通システムを 開発、来年3月から書籍、雑誌、ゲームなどをパソコン利用者向けに販売する。同 システムはインターネットだけでなく衛星放送などのデジタルメディアにも対応す る。システム名は「DDSA(デジタル・ドキュメント・セキュリティ・アーキテクチ ャー)」。利用者はまず利用者IDソフトを富士ゼロックスからインターネット経由 でパソコンに取り込むか、ソフトを搭載したICカードを郵送してもらって入手する。 次に、不正防止のため暗号化処理などを加えた個々のコンテンツの電子データを、 インターネットや衛星デジタル放送経由でパソコンに取り込む。同時にネット経由 で個々のコンテンツを利用する権利の電子データを購入。パソコンの利用者IDデー タと利用権データが自動的に照合されて本人確認が終わるとコンテンツが閲覧でき る。コンテンツはCD-ROMでも調達できる。また、コンテンツのコピーは許容するが、 利用の際にIDと利用権を照合しないと暗号などが解除されない仕組みにした。この ため販売利用メディアの種類にかかわらず、著作権が保護できるため、各種のデジ タルメディアの利用が可能になるという。利用者は漫画雑誌の連載を数回分まとめ て購入することなどができる。利用期限の設定も可能。 初年度10億円、3年後で50億円の売上高を目指す。コンテンツ流通システムの標準 を目指し、システムの外販も展開する。 (98.10.26 日本経済新聞)
ゲームや書籍など デジタルコンテンツ流通システム開発 富士ゼロックス「DDSA」
大日本印刷はインターネットを通じて理工書や法律書などの専門書を販売するイン ターネット書店「専門書の杜(もり)」を来年1月に開設すると発表した。一般の 書店では品ぞろえの少ない専門書をジャンルやキーワードで検索できるほか、目次 や内容要約文、著者の紹介などを掲載の予定。高価な専門書は内容を吟味してから 買いたいという購入者のニーズを狙ったサービスを展開する。利用者は、インター ネットの画面上で会員登録(無料)をし、必要な本を検索、購入申し込みを行う。 代金は本が郵送されてきた際に支払う仕組み。現在、理工学、コンピューター、 法律、経済、経営、デザインなどの専門書を扱う出版社25社の参加を予定しており、 来年1月のサービス開始時には約20,000万点の品を目指す。 (98.11.2 Internet Watch)
大日本印刷 オンライン専門書店「専門書の杜」開設へ 約2万点の品揃え目指す
日本書籍出版協会は、新たに制作した会員出版社66社のホームページを公開した。 自社サイトを開設していなかった会員出版社を対象に、同協会が実施する「ホーム ページ立ち上げサービス」によるもの。各社の図書目録などが利用できるようにな っているほか、同協会の運営する書籍情報検索サイト「Books.or.jp」のデータベ ースとの連携も図られている。各社のホームページ制作とサーバー運営を担当した イーストの下川氏によると、今後インターネットが書籍出版においても重要な手段 になっていくことを踏まえ、各社にはできるだけ独自ドメインを取得するよう助言 したという。実際、数社を除き、ほとんどがco.jpによる自社ドメインで開設して いる。さらに、ホームページ立ち上げサービスでは、第2次分の十数社も自社ホー ムページを開設する予定だ。Books.or.jpのデータベースについての更新予定につい ては、現在、データは97年12月末のものとなっているが、今後はデータ更新の周期 を短くしていき、99年6月をめどに前月分までのデータが検索できるようにする。 また、出版社からのデータ提供も電子化し、新刊、品切れ(重版未定)、価格変更 などをすみやかに反映するとしている。ただし、現在、国内に出版社が6,727社あ るのに対し、同データベースの登録申し込み出版社は647社に止まっている。日本 書籍出版協会は、運営費用などの問題もあるが、今後、同データベースへの登録を 強く呼びかけ、サービスの向上と出版業界全体の省力化に貢献したいとしている。 (発表資料) (Books.or.jp) (98.11.12 Internet Watch)
日本書籍出版協会 会員出版社のホームページ立ち上げをサービス 66社分を公開
トーハンは、埼玉、加須市にある同社東京ロジスティックセンターの2階に「ムッ クセンター」を開設し、120坪のスペースに約1,000点のムック在庫商品を保有した。 これまでは約270点のムックの基本商品を在庫していたが、拡大するムック市場へ 対応するため、料理、旅行ガイドなどのジャンルを柱にロングセラーの在庫商品を 3倍以上に拡大した。 取引書店の補充注文への迅速な出荷体制を整え、効率販売を強化していくのが狙い と言う。 (98.10.15 新文化)
ムック増売へ本腰 トーハン 在庫を3倍強に拡大 東ロジにムックセンター
セブンーイレブン・ジャパンはトーハンと組み、11月1日から約7,500店の全店で 教育雑誌など店内に置いていない月間雑誌267種類の予約販売を始める。将来の一 般書籍の販売も視野に入れる。品揃えを拡大したいコンビニと、返品や在庫のリス クなしに販売網を拡充したい出版社、取次側の思惑が一致した。店頭に専用のカタ ログを置いて注文を受け、発売日後に店頭で手渡す。現在、全国にある書店数は約 25,000店。これらの雑誌にとってはセブンイレブンの店舗が加わることで、販売網 が一気に3割増える。他のコンビニチェーンも雑誌や書籍の取り扱い拡大の意欲は 強く、中小書店への影響は避けられない模様だ。 (98.10.25 日本経済新聞)
月刊誌を予約販売 セブンーイレブン トーハンと組む 一般書籍も視野に
書店業界でポイント制の割引サービスを導入する動きが広がってきた。阪急ブック ファーストが一般書籍(和書)購入時にポイントが蓄積されるサービスをこのほど 開始。洋書のインターネット通販を手掛けるスカイソフトも11月からの導入を決め た。書籍は再販制度のもとで直接の値引きが難しいため、形を変えた割引サービス で常連客作りを進める。阪急ブックファーストのサービスは神田駅前店で実施、 最長で12月までの期間限定。入会金、年会費は無料で音楽CD、ビデオソフトは 1,000円当たり100ポイント、和書、雑誌、洋書や文具は同30ポイントとして換算す る。一定数のポイントがたまれば1ポイント1円として音楽CD、またはビデオソフ トの購入時に割り引く。ポイントを与えることは実質的な値引きとなるが、期間限 定で割引商品を音楽、映像ソフトとすることで、「再販制度とは共存できる」とい う。 (98.10.21 日本経済新聞)
書店にポイント制度広がる 割引で常連客作り進める 再販制度とは共存
97年の廃業店は1,162店で、96年の989店より137店増えている。また、店舗面積は 34,775坪に達し、96年より5,000坪以上の増加をみせている。一方、97年の新規店は 847店で前年比93.0%、その総坪数は84,104坪で前年比105.1%。今年に入って店数、 坪数ともに前年比減少傾向にあり、一時の出店ラッシュの勢いは止まった。中小書 店の廃業店の増加現象は全国の書店をはじめ、出版社、取次会社にとっても深刻な 問題で、業界の重大課題となっている。この3年間で合計2,925店が廃業しており、 その規模は1店当たり30.9坪と年を追うごとに大型化している。 講談社販売促進局「新規店・廃業店推移」 ((社)全国出版協会・出版科学研究所 出版月報 1998.10)
廃業書店数 97年 1,100店超す 前年比137店増 過去最高
現在の電話回線のままで、光ファイバーに近い高速伝送ができる技術「xDSL」に ついて、郵政省は実用化に向けて省令改正などの環境整備に乗り出すことを決め た。 xDSLは米国で既にサービスが始まっており、日本でもNTTや四国電力系の通信会社 が実用化に向けて技術試験を開始している。郵政省は今回の決定で早ければ99年 1月から実際の導入が可能になるとしている。xDSLは、普通の音声通信では使用 しない高周波数帯を使ってデータを伝送する。このうち「ADSL」は、利用者から 電話局までの上り回線よりも、下り回線のスピードが速く、Web閲覧などで大量の 情報を取り込む際に利点がある。 (98.10.28 Internet Watch)
郵政省 xDSL整備に向け省令改正 1月から導入の可能性も
日本電信電話(NTT)、東京大学、米イリノイ大学は次世代インターネットの国際 共同実験に取り組む。日米の大型三次元バーチャルリアリティー(仮想現実感) 装置をインターネットで接続、お互いが同じ仮想空間の中で相手と対話したり、 仮想物体を操作し合ったりする「空間共有システム」を開発する。実験を近く開 始、2001年10月まで続ける。NTTの国際実験用ネットワーク「GEMnet」を米国の次 世代インターネット研究網の接続拠点につなぎ、各研究機関を結ぶ。大型三次元バ ーチャルリアリティー装置は人間が中に入って臨場感の高い立体映像などを体験で きる。東大とイリノイ大はそれぞれ独自の装置を研究しており、両者を接続する。 日米に離れていても、同じ仮想空間を体験できるシステムを実現する計画で、世界 でも初めての試み。三次元バーチャルリアリティー空間を共有するには大量の画像 データを効率よく安定送信する必要があり、これまでは高品質の専用回線などが必 要とされてきた。これが低コストのインターネットで可能になれば、遠隔地で手軽 に臨場感のある電子会議や共同作業などが可能になる。回線容量は毎秒6メガビッ トで、次世代インターネット向けにNTT、ソニー、慶應大学が共同開発した通信技 術「Media Cruising」を利用する。インターネットでは信号の誤りや通信速度の 遅れなどがあるが、同技術は必要なデータ通信容量を確保して安定した通信品質を 実現できるとされ、その実証実験も兼ねる。 (98.10.26 日本経済新聞)
次世代ネット 仮想空間を結ぶ NTTなど日米で実験 「空間共有システム」開発
2000年に始まるBS(放送衛星)デジタル放送の参入企業が正式に決まった。郵政省 は電波監理審議会(郵政省の諮問機関)の答申を受け、高画質のHDTV放送には在京 民放キー局5系列と日本衛星放送(WOWWOW)の6社、現行テレビ並みの画質のSDTV (標準画質テレビ)放送には映画専門放送のスター・チャンネル1社の参入を認め ると発表した。認定を受け、民放系列各社は11月中旬から12月にかけ、新会社を設 立する予定だ。音声放送では民放系5社、エフエム東京系2社、日本短波放送系、 WOWWOWの9社が参入する。テレビでは民間気象情報会社のウェザーニュースが、音 声放送では衛星デジタル音楽放送(セント・ギガ)系など4社が落選した。民放各 系列の新会社は、今後HDTVで何を流すのかといった具体的な番組編成を練るほか、 有料か無料かという放送形態を詰める。「普及を考えると無料しかない」(テレビ 東京)と広告収入による無料放送の意見が支配的だが、総事業費は1系列で500億 円から1,000億円近くかかるだけに「事業採算を考えると有料が望ましい」(フジ テレビジョン)との声もある。BS放送では専門チャンネルが特徴のCS(通信衛星) デジタル放送とのすみ分けもあいまいになり、激しい視聴者獲得競争に発展しそう だ。 (98.10.28 日経産業新聞)
BSデジタル放送 参入企業決定 民放各社免許取得 年内メドに新会社
キヤノン、イーストマン・コダック、富士写真フイルム、松下電器産業の4社は 共同で、デジタルカメラの自動プリントアウト情報を記録するフォーマット「DPOF (Digital Print Order Format)」を策定し、公開した。DPOFは、ラボによるプリ ントアウトサービスや、家庭でのプリントアウトの際に自動プリントが可能なよう に、プリントしたい画像の指定や枚数の指定を記録する。DPOFファイルはテキスト ファイルで、ユーザー名や住所、電話番号などの情報と、プリントの種類や枚数、 ファイルフォーマットなども記録される。構造が簡単で機器に対する負担が軽いこ と、画像フォーマットや、ディレクトリ構造に依存しないことが特徴だという。 また、CFやスマートメディア、FDなど記録媒体も選ばない。大手4社の提案である ことや、多数のデジタルカメラおよびプリンタメーカーなどの賛同を得ているとし ており、普及が見込まれる。 なお、DPOFの仕様書はライセンス契約者に無償で公開される。 (98.10.27 PC Watch)
デジタルカメラ関係4社 プリントアウト指定の共通フォーマット「DPOF」策定
国内出荷と輸出を含む上半期全体の本体出荷台数は354万1,000台で前年比11%減、周辺 機器も含めた価格ベースでは1兆2,036億円で同13%減。本体の国内出荷台数は、上半 期全体で前年比3%減の327万台と小幅な落ち込みとなった。形状別ではポータブルPC が同10%増の158万4,000台と好調だった反面、デスクトップPCは同12%減の168万6,000 台と落ち込みが大きかった。また、価格ベースの統計では、同14%減の8,955億円と、 台数ベースよりも落ち込みが大きく、パソコンの「単価ダウンが進んだ」ためと分析し ている。しかし、Windows 98の発売を契機とした店頭市場の回復から、第2四半期(7 月〜9月)のみの国内出荷台数では、同9%増の179万7,000台と、5四半期ぶりに増加 に転じている。輸出向けの出荷については、海外生産へのシフトが進んでおり、上半期 で前年比52%減の27万1,000台と大幅な減少となった。一方で、海外生産向けに部品輸出 は増加し、周辺機器のみでは同13%増の2,525億円となった。なお統計調査は、アップル コンピュータ、ゲートウェイ2000などの外資系企業を含む22社が参加しており、国内出 荷、輸出を含む出荷全体が集計されている。(社)日本電子工業振興協会(JEIDA)調査 http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/981102/jeida.htm (98.11.4 PC Watch)
パソコン出荷統計 98年度上半期(4月〜9月) 国内出荷台数は前年比3%減
輸入は、前年比20.7%増の4,749億円で、約8割にあたる3,913億円が米国からだった。 米国のみの内訳では、OSなどの基本ソフトが2,634億円で前年比15%増、アプリケー ションソフトが1,030億円で前年比18%増と、両分野で2桁の伸びとなった。特に、米 国の基本ソフトは、米国、アジア、欧州を含む全地域の輸入ソフトの総額に対する割 合でも、55.5%を占めている。輸出は、前年比50.5%減の28億円で、特に輸出全体の 48.2%を占めるアジア向けが、経済危機の影響から前年比55.1%減の14億円と落ちこ んだことが影響した。また、米国向けは34.5%減の9億円、欧州向けは56.5%減の4億 円とその他の地域でも、大幅に前年を下回る結果となっている。また、PC向けゲーム ソフトについての統計でも、6億円の輸入超過となり、前年の6億円の輸出超から一 転した。内訳では、輸入が44.8%増の15億円、輸出が44.8%減の9億円となっている。 (社)日本電子工業振興協会(JEIDA)調査 http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/981027/jeida.htm(98.10.28 Internet Watch)
PC向けソフトウェア輸出入統計 97年 4,721億円の輸入超過
ワールド・ワイド・ウェブ(WWW)の利用者は720万人。半年間で14%増と、増加 ペースが鈍った。 日経マーケット・アクセス調査 (98.10.16 日経産業新聞)
インターネットユーザー数 98年9月末 1,150万人 98年3月比18%増
【米 国】
ベンチャー企業、ヌーヴォーメディアが単行本大の「電子書籍」を発表した。名称 は「ロケットEブック」。デジタル化された本をインターネット書籍販売店や出版 社から直接購入、インターネット経由でコンピュータに取り込んで読む。最大 4,000ページの取り込みが可能で、バッテリーは33時間もつ。本体は携帯型コンピ ュータで、重量は約600グラム。本体価格は499ドル。米国で11月、ドイツと英国で は来年夏に発売する予定。デジタル本は印刷した通常の書籍より割安で、暗号技術 を使って著作権守る仕組みという。 (98.10.16 日経産業新聞)
ヌヴォー社 単行本大の電子書籍発売 「ロケットEブック」 中身はネット経由
米書店チェーン最大手のバーンズ&ノーブルとアマゾン・ドット・コムが激しい つばぜり合いを演じている。バーンズは来年1月前半までに米書籍取次最大手の イングラム・ブックスと関連会社を6億ドルで買い取ると発表した。アマゾンとの 取引が多いイングラムを自陣営に取り込み、事業強化とアマゾンの弱体化を狙う。 アマゾンは公正な取引の継続を求める声明を出し、両社の買収合意に懸念を示した。 バーンズは自社株4億ドル分と現金2億ドルをイングラムの親会社に支払う。買収 対象は取次業のイングラム・ブックスのほか、小売店向けや図書館向けの専門サー ビス会社など合計9社。バーンズは世界最大の書籍在庫を保有して店舗とネットで 販売しているが、イングラムが持つ全米11ケ所の配送センターを通じて顧客の8割 が注文の翌日に本を受け取ることが可能になるという。配送コストの削減も狙う。 (98.11.10 日本経済新聞)
書店バーンズ 書籍取次の最大手イングラム・ブックスと関連会社を買収
米議会はハイテク関連法案を相次ぎ可決した。外国人のハイテク技術者に対する ビザ発給枠の拡大やインターネットを使った商取引に対する課税凍結、デジタル 著作物の権利保護など、ハイテク産業の保護・育成に関する措置が多数含まれた。 高度な技術を持つ外国人に対する短期滞在用「H 1- Bビザ」発給枠拡大は、ソフト ウェアなどの人材不足に悩む新興ハイテク企業の悲願だった。新法案により発給枠 は現行の6万5,000人から11万5,000人に拡大する。ただし、一部企業には外国人の 採用と引き換えに米国人を解雇しないことを約束させる。インターネット非課税法 案は、電子商取引に対する新規課税を3年間凍結するのが柱。また、デジタル著作 物の権利保護法案は、インターネットでやりとりする文字や画像、音楽などのデジ タル情報の複製を規制する内容で、複製防止ソフトなどを壊した場合は刑事罰を 科す。同法を受けて米政府は、デジタル著作権保護を盛り込んだ世界知的所有権 機関(WIPO)の著作権保護条約の批准に向けた手続きを進める。 (98.10.17 日本経済新聞)
米議会 ハイテク法案続々可決 経済けん引期待 電子商取引の課税凍結など
米国のクリントン大統領は、デジタル時代に対応した新著作権法「Digital Millen- nium Copyright Act」に署名した。この新法は、コピープロテクトを破ること自体 を禁止するもの。ますます増加の一途をたどる海賊版の配布に歯止めをかけようと するもので、電子商取引の拡大を目指す大統領にとって重要な法案だった。 しかし、この新法が著作物の取り扱い方をこれまでと変えることに懸念を抱く人も いる。これまでの著作権法では著作物を個人的にコピーしたりすることなどは一定 の範囲で許されていた。しかし新法成立の結果、場合によっては著作物を図書館な どで閲覧することも法に触れる可能性が出てきた。米国図書館協会(ALA)は法案 策定時からこの問題に異議を表明していた。この法律が米国で施行されるのは2年 後。違反した者には違反1件当たり2,500ドルの罰金が科せられることになる。 ftp://ftp.loc.gov/pub/thomas/c105/h2281.ih.txt (ALA) (98.11.2 Internet Wach)
米新著作権法にクリントン大統領が署名 個人的コピー禁止の懸念も
wwwの測定方法のスタンダードについては、インターネット広告協議会(IAB)や その上位団体の「FAST」が主要課題として取り組んでいるところだが、業界統一の 標準手法が確立するにはまだしばらく時間がかかると見られる。実質的には、メデ ィア・メトリクスとレリバント・ナレッジの公表データが業界内の指標として広く 利用されており、そのときどきで両社のランキングや調査数値のうち、都合のいい 部分が引用されるのが一般的となっていた。この分野には両社のほかに、TVの視聴 率調査で定評のあるニールセンやネットレイティングスなどの企業が乗り出してき ており、今回の合併の真の動機は、こうした後続企業に圧倒的な差をつけるためと 考えられる。合併後は、レリバント・ナレッジの技術を採用し、メディア・メトリ クスの名前でサービスを継続する。メディア・メトリクスはこれまでパネルのモニ ター結果を毎月フロッピー・ディスクの郵送で回収していたが、レリバント・ナレ ッジのソフトにより、データ回収がオンラインで行えるようになる。合併により パネルは40,000人、測定範囲はWWWサイトやオンラインサービス合わせて15,000カ所、 クライアント数は250に拡大する。今後は新たに消費者向けECの測定調査や、地域 別WWW視聴率ランキング、リアルタイムのデータ収集によるイベント分析なども行っ ていく計画という。 メディア・メトリクス(合併後) (ダイヤモンド社 Multimedia & Business 1998.11.5)
メディア・メトリクスとレリバント・ナレッジが合併www視聴率調査の圧倒的スタンダードに
【全世界】
インターネットを使った書籍販売大手のアマゾン・ドット・コムは欧州向けの配送 体制を整え、英国とドイツ市場向けにそれぞれ専用のウェブサイトを開設した。 配送日数や送料を英独では国内並み、他の欧州各国では欧州圏内並みに抑えるほか、 米国並みの値下げも実施する。ネット書籍販売では米国に比べ開拓が遅れている 欧州市場進出を加速する方針。欧州ではライバルの米バーンズ・アンド・ノーブル が独メディアのベルテルスマンと組んでネットを使った書籍販売に乗り出す方針で、 欧州でもアマゾン対バーンズの激しい販売合戦が展開されそうだ。アマゾンは4月 にネットを使った書籍販売会社、英ブックページズと独テレブックを買収しており、 今回は両社のウェブサイトのアドレスをそれぞれ「www.amazon.co.uk」「www.ama- zon.de」に変更。デザインも一新した。これまでは両社の配送システムを利用して いたが、欧州向けのアマゾンのウェブサイト開設に伴い、両国内には新たに大型の 在庫管理施設も設置。これまでは米国からの発送で数週間かかっていた米国の出版 社の書籍でも数日内に発注者に届ける。英国のサイトでは英国の出版社の発行した 書籍約120万タイトルと、米国の出版社の書籍約20万タイトルを扱う。米国のサイ トでは販売していない英出版社の書籍を多く含むという。ドイツのサイトではドイ ツ語の書籍を中心に販売する計画だ。 (98.10.16 日経産業新聞)
アマゾン・ドット・コム 欧州向けの流通体制を整備 納期短縮・送料値下げなど
「我々はアマゾンには負けられない」英最大の仮想書店「インターネット・ブック ショップ」は米英ブック戦争の開戦を宣言する。英国では4年前に書籍の再販制で ある「ネット・ブック・アグリーメント」が廃止され、値付けが自由になった。ア マゾンは商品によっては4割引きで販売している。対抗上、地元最大手の文具書店 チェーン「WHスミス」が「インターネット・ブックショップ」を7月に940万ポンド で買収。文字通りの<サイバーヴォーズ>を展開することになった。インターネッ ト・ブックショップは、94年にできた英国のベンチャー企業、創業はアマゾンより 早かったという。従業員30人で、年間500万ポンドを売る欧州の代表的な仮想書店。 WHスミスは200年以上の歴史がある英国の老舗書店。店舗も約600店を抱える。 しかし、ネット通販には脅威を感じ、自ら「WHオンライン」を開設、12月からイン ターネット・ブックショップをその核店舗として位置付けることにした。アマゾン に対する戦略ポイントは3つ。「豊富な情報、配送スピード、価格」。アマゾンの 在庫は120万〜140万品目といわれるが、ブックショップの在庫は英国の本が100万 品目、米国の本が40万品目と地元密着型。しかも同社に在庫がある10万品目は24時 間以内に配送できるようにした。価格も40%まで値引きする。さらにフランスやス ペインなどにも販路を拡大する計画だ。5月にはイタリアの会社に投資し、販売シ ステムをそっくり移管した。 (98.11.12 日経産業新聞)
英書店 アマゾン迎撃 WHスミスがインターネット・ブックショップを買収
出荷台数は2,261万3,000台。アジア各国での出荷が伸び悩んだ半面、全世界の出荷 の6割を占める欧米が好調で、米国の出荷は951万1,000台、前年同期比18.2%の 高い伸びとなった。今年後半になってパソコン市場は本格的回復基調にあるが、 通年の世界のパソコン出荷の伸び率は10%台前半を予測。97年通年の伸び率とほぼ 同じかやや鈍化すると見込んでいる。 米データクエスト調査 (98.10.23 日本経済新聞)
パソコン出荷台数 98年7〜9月 前年同期比13.7%増 欧米が好調
97年に45億ドル規模だったインターネット関連のサービス市場が、2002年には436 億ドル市場になる。また、米国市場は依然として巨大で、2002年の時点でも全体の 約50%である220億ドルを占めているとされる。これら市場拡大の理由として、今ま でインターネットを出版するための手段と見なしていた企業が、電子商取引のため の手段と見なすようになり、結果としてそのシステムを実現するためのサービス業 が増えることをあげている。 IDC予測 (98.11.6 Internet Watch)
インターネット・サービス市場 2002年 436億ドル規模へ 97年は45億ドル
98年第2四半期のインターネット広告売上高は過去最高の4億2,300万ドルに達し、 同市場は今年も大きく成長する見通しだ。98年第2四半期のインターネット広告 売上高は、第1四半期より20%(7,100万ドル)、97年第2四半期より97%増加し ており、市場の順調な成長を示している。また、98年上半期の合計は、97年上半期 より125%増加している。ただし、97年のような3桁増の時代は去った。これは、 市場の成熟の表れでもある。新しいデータでは、広告売上高の56%がハイブリッド 価格モデル――パフォーマンス、CPM(cost per mill:1,000人当たりの情報伝達 料金)、スポンサー料の何らかの組み合わせによるもので、単純なCPMベースの 価格によるものは40%となっている。Webサイト・パブリッシャーは、この数字に ついて、スポンサー料のデータが含まれており、大規模サイトでの支出に偏ってい ると強調した。他の指標の数値は、第1四半期以来あまり変化していない。オンラ イン広告の支出分野では、コンピューティングと消費者関連が相変わらずトップで、 それぞれ26%、24%を占めた。また、広告の形態ではバナー広告がトップで、総支 出額の58%を占めた。 Internet Advertising Bureau(IAB)「The Internet Advertising Revenue Report」 (98.10.30 Internet Watch)
インターネット広告売上高 98年 20億ドル近くに達する見通し
情報端末の総出荷台数は97年の300万台から、98年には約600万台、2002年には 5,570万台に増加し、98年から2002年の間に同市場は年率76%の成長を遂げると 予測。 情報端末市場で勢いを伸ばしているのは、インターネットTVやゲーム機、SHD。 出荷台数ベースでは、インターネット対応SHDが首位を占める見込みだ。また、 インターネット対応ゲーム機も大きな成長を見せ、出荷台数は98年の84万8,000台 から2002年には約1,500万台に増加する見通し。一方、インターネットTVに関して、 CATVベンダーは99年だけで数百万台の提供を計画している。インターネットTVは 情報端末のなかで大きなカテゴリーを占めると予想されており、その出荷台数は 98年の140万台から99年には430万台に急増し、世紀の変わり目には1,100万台を超 える見通し。 IDCレポート 97年から2002年までの情報端末市場の動向に関する調査 『Forecast of the Worldwide Information Appliance Marketplace, 1997-2002』 『Review and Forecast of the Worldwide NetTV Marketplace, 1997-2002』 レポートはIDC Japanより入手可能(有料)。 (98.10.23 Internet Watch)
情報端末市場 2002年まで年率76%で急成長 5,570万台へ 97年は300万台
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【連載】「キーワード設定の現場から」
- - -第5回「交通ルール」- - -