JEPAキーパーソンズ・メッセージ!
日外アソシエーツ(株) デジタルコンテンツ & エンジニアリング推進部/部長(編集担当)
もう一度生まれ変わっても電子出版に携わりたいですか? ...そんな質問をされたら(されるわけないけど)私は即座にYESと答える。 ただ、電子出版という言葉そのものは、"出版文化"という紙媒体の時代からの 伝統的な重い荷物を背負っている印象があって、個人的にあまり好きではない。 もちろん、この言葉も時代の産物のようなもので、紙の文化からの移行期 に過渡的に使われているだけかもしれないので、あまりこだわる必要はな いかもしないが、もしかして電子ブックを含むCD-ROMパッケージ商品が 結局は既存の流通経路に変革を起こせなかったのもその辺のことと 関係があるかもしれない。 それにしても「紙」はいっこうに足りなくなるような危機感がない。 業界の人に言わせればそんな悠長な話ではなく、紙は現時点で確実に供給不足に なっていると言うのだが、街でいらないティッシュやチラシを無理やり受け とらされている私にとって実感はかなり薄い。 もともと電子出版に重い腰を上げた当初の出版界の動機も、この 「近い将来必ずなくなる紙」にあったはずだが、あれから十数年経って、 まだ100パーセント紙に取って替われる媒体や表現技術は市場には提供されていない。 多分、今進められている「電子書籍」構想がこの期待にこたえてくれるもの なのかもしれないが、ページ単位での表現力が紙と同等ならよいのか、 携帯性という意味で紙を超えられれば良いのか、それとも離れがたい紙への 執着はそれが一切無くならない限り断ち切れないのか、などと意地悪く考えて しまう。 いずれにしても私はその意味での"(読み物の類の)本に替わる電子出版" にはあまり興味は無く、もともと紙媒体では到底代替できない「データベース」 に思い入れがある。 私たちにとってのこの十数年間のCD-ROMとの関わりは、書籍の代替物としての それではなく、自社や他社の膨大な容量のデータベースを如何にうまく セグメント化し、この小さな媒体に効率良く格納し、検索させるかということ との悪戦苦闘の連続だった。 お陰様でそれなりに成果はあったが、データベースを学生の頃から活用し ている欧米の土壌そのものとの差は大きく、やはり、単に「この本がこのCD-ROMに なったのですよ」と言ったほうがわかりやすくもあるのだろう。 ただ、教育現場でネットワークの入門・研修のような位置付けでCD-ROMを 利用してもらうというシチュエーションも提供できたし、 LAN環境でCD-ROMを利用してもらえるところも少しずつ増えてきた。 この成果が来年以降少しずつでも上がってくることに期待したい。 CD-ROMという媒体がひとつの時代の一つの役割を終えた今、 こんどはそれをどうやってネットワークでもっと使いやすく、 もっと快適に使ってもらうか、そしてそれがどれくらいのビジネスに成長するか、 という次の戦いが始まっている。 いずれにしてもコンテンツを制作する立場としては、一つのメディアにあまり 過剰な期待をするのではなく、それらを複合的に組み合わせて提供していくことが 大事だと最近つくづく思う。
JEPA理事・デジタル情報ビジネス研究委員
和田 淳![]()
ワンポイント調査報告
【日 本】
書籍は同3.6%減、雑誌は同5.0%減 雑誌は月刊誌が6.2%減、週刊誌が1.2%減 1月〜11月累計は、書籍が前年同期比5.7%減、雑誌が同1.6%減、合計3.3%減 当月返品率は書籍が1.5ポイント増の43.6%、雑誌は0.4ポイント増の29.8% ((社)全国出版協会 出版科学研究所発行 出版月報1998年12月号)
書籍・雑誌推定販売額 98年11月期 前年同月比 4.5%減 8ケ月連続減
(新文化 98.12.17)
電子書籍コンソーシアム 通産省の外郭団体、日本情報処理開発協会(JIPDEC)から
8億円の補助金が内定。開発予算が4億9,000万円、実験予算が2億3,000万円、一般管理
費が8,000万円。PCビューワーを開発と同時に、5月にパソコンに配信するプレ実験、10月
には本格 実験を開始予定。(新文化 98.12.17)
紀伊国屋書店 99年1月に自由価格本販売 2週間の期間限定 約8,000冊を用意
価格は定価の半額を基本とし、豪華本などは80%引きなど思い切って値下げする方針。
中堅書店に続き大手書店が乗り出したことで、書籍価格の弾力化に弾みがつきそうだ。(新文化 98.12.17)
99年3月開店予定のジュンク堂書店大阪本店 自由価格本の常設棚設置を計画
在庫確認が可能になった220社の45万点は全点数の60%、3年以内に400出版社に 拡大する計画。 (新文化 98.12.17)
日販 王子流通センターにおける出版社とのオンライン件数を220社に拡大
(99.1.11 Internet Watch)
不正アクセス対策で“新法”制定へ 郵政省と警察庁が合意 パブリックコメント
の募集結果もまとまる。既存法の改正で対応するとしていた郵政省が、新法制定を目指す
警察庁に歩み寄る形となった。インターネットの利用環境を向上させるため、新しい通信方式開発のための基礎研 究などを行う。通信方式の研究開発は初めて。 (98.12.25 日経産業新聞)
郵政省の「次世代インターネットに関する研究開発」 99年度予算 7億円
回線使用料やプロバイダー接続料の経費は地方交付税で賄う。99年度は、1万 8,900校分の接続経費26億円を手当てする。 (98.12.22 Internet Watch)
自治・文部両省 小学校のインターネット接続計画 2年前倒し2001年度完了へ
開始時期は99年第3四半期を予定。対象地域は東京・大阪の一部で、5〜10収容局 程度に限られる。 http://pr.info.ntt.co.jp/news/news98/9812/981217.html (98.12.18 Internet Watch)
NTT 99年内にADSL有料試験サービスを実施
(99.1.6 Internet Watch)
郵便貯金口座から代金を引き落とす電子取引実験 富士通、日本信販、大日本
印刷など民間企業16社が参加、10月に2万人のモニターを募り、2000年1月から
1年間実験を行ない、2001年から電子決済を実用化する考え。(99.1.5 日経産業新聞)
東芝、ビザ・インターナショナル、ダイエーグループ 電子マネー「ビザキャッ
シュ」の利用実験を拡充、今年秋から第二期実験をスタート。ビザ陣営の「Java
Card」を採用する。既存のPOS端末への電子マネー対応機能組み込みも実現し、実用
段階の利用環境を整えていく。http://www.jipdec.or.jp/ecjitu/comp.htm (98.12.25 Internet Watch )
沖電気、富士銀行、クレディセゾン、大日本印刷の4社 「サーバ管理型SET
決済システム」を利用した電子商取引の実証実験を99年後半に共同で開始。従来の
SET決済システムではあらかじめショッピング利用者が用意する必要のあった
「ウォレット(電子財布)」と仮想店舗側での設置が必要だった「マーチャントPOS」
をサーバー側で集中管理するというもの。(98.12.15 日刊工業新聞)
通信産業(電気通信事業と放送事業の合計160社)売上高 98年度上期 前年同期
比3.2%増の7兆6,858億円。全産業が同5.2%減とマイナスになる中、堅調が目立つ。
ただし、第3四半期は同0.6%減と減少に転じる見通し。 郵政省発表IDCジャパン調査 (98.12.17 日本経済新聞)
携帯情報端末出荷台数 98年 前年比41.3%増 161万台の見通し
(99.1.11 日本経済新聞)
衛星放送市場 98年契約増加数 154万5,000件 前年比37.7%増
企業向け市場で総合経済対策の効果が出るのが4月以降になるため。ただし、99年 通年では、前年比6.2%増の820万3,000台と予測。 IDCジャパン予測 (日経産業新聞 99.1.5)
パソコン出荷台数 99年1月〜3月期 再び1.6%減とマイナスに転じる
日経マーケット・アクセス調査 http://www.nikkeibp.co.jp/MA/guests/release/981222inet.htm (98.12.24 Internet Watch)
1つのWWWページを見ている時間は20秒未満が6割以上
(99.1.5 日経産業新聞)
セガ・エンタープライズ「ドリームキャスト」 インターネット接続登録者数が
1月4日までに10万人を突破。国内のインターネットプロバイダーとしては、松下電器
産業の「Hi-HO」(会員15万人)などに迫る会員規模に。購入者のうち約3割がネット
に接続している。生産量は同5%減の255万1,000トン。出荷は11カ月連続、生産は10カ月連続の前年 割れ。 日本製紙連合会発表 (98.12.19 日本経済新聞)
洋紙・板紙国内出荷量 98年11月期 前年同月比 3.5%減の247万5,000トン
【世 界】
99年5月にも高速・広帯域ネットワークを直接接続、通信を効率的に制御するシス テムを開発する。 (98.12.22 日本経済新聞)
日本と欧州連合(EU) 次世代ネットを共同開発することで合意
(98.12.11 日経産業新聞)
インターネットの技術標準化団体IETF「Web Distributed Authoring and Version-
ing(WebDAV)」を標準として承認する見通し。異なる場所のユーザーが、同じ文書やウェブ
サイトについて作業することが可能に。米パイオニア・コンサルティング予測 (98.12.11 日経産業新聞)
広帯域衛星通信サービス 2002年から広く利用可能に 2007年には3,960万世帯に達し、
ケーブルモデムの4,678万世帯に拮抗するという。【米 国】
(99.1.7 Internet Watch)
アマゾン・コム 98年売上高 10億ドルに ただし、依然として利益は上がらず
クリスマス商戦が好調で10〜12月期の売り上げは前年同期比279%増の約2億5,000万ドル予想通りだと、2002年には190億7,300万ドルの消費。この中でオンラインによる 書籍消費は、1997年の1億5,000万ドル(予想)に対し、21億ドル、1998年でも 6億ドルを予想。 ((社)全国出版協会 出版科学研究所発行 出版月報1998年12月号)
全書籍の消費 1997年で底をつき、今後5年間で5%の上昇と明るい見通し
申し込みがあれば電話回線に比べ50〜100倍高速のインターネットサービスをケー ブルで提供できるのは現時点で約1,950万世帯、2005年には6,700万世帯を超える 見込み。 現在加入しているのは50万世帯。デジタル放送の視聴者は現在140万世帯だが、 2005年には3,510万世帯と予測。全米有線放送(CATV)協会予測 (98.12.11 日本経済新聞)
ケーブルを使った高速ネットやデジタル放送サービス 2000年初頭にかけて急増
(98.12.18 日経産業新聞)
デジタルテレビ需要予測 99年は15万台、2000年には60万台 低価格下が進み、
2006年には30%の世帯に普及する。米国家電製造協会(CEMA)技術政策部長見通し米連邦通信委員会(FCC)発表 (98.12.20 日本経済新聞)
デジタル衛星放送加入者 98年6月 720万人 前年同期比220万人増 多チャン
ネル放送に占める比率も6.8%から9.4%に高まったが、CATV加入者は依然85%と0.2
ポイント下がった程度。ボストン・コンサルティング・グループ調査 (98.12.21 日本経済新聞)
ネット通販市場規模 98年 前年の2.6倍 130億ドルの見込み クリスマス商戦が貢献
クレディ・スイス・ファースト・ボストン(CSFB)調査 (99.1.4 日本経済新聞)
オンライン株式取引急増 98年 個人売買の25%に 前年比8ポイント増2002年には
5割を占める見通し。http://www-db.aol.com/corp/news/press/view?release=535 (99.1.6 Internet Watch)
AOL、昨年末1カ月のオンラインショッピングで10億ドル以上の売上 会員の約125万人
が初めてオンラインショッピングを利用。消費者向けのコンピュータ(モニタなし)の平均価格が4桁を割ったのは、今回が 初めて。PC価格の低下が続くなか、11月のWindowsベースPCの小売店での販売台数 は、前年比で31.7%増。 PCData調査 (98.12.25 PC Watch)
パソコン平均価格 98年11月 1,000ドル未満に
![]()
【連載】「キーワード設定の現場から」
- - -第7回「ちょっと一杯!」- - -
前のページに戻る
トップページに戻る