JEPAキーパーソンズ・メッセージ!
(株)徳間書店 著作権管理室 室長
インターネットという言葉を初めて知ったのは、確か1993年の秋であった。 本当ならスゴイ話だと思ったものである。日頃、業務や趣味にそのスゴイ話を享受 しているが、実生活での面でも最近感激したことがある。 毎年11月から、庭木の枝にミカンやリンゴを差したり、アワやヒエそしてヒマワリ の種を専用台に置いている。冬、餌がなくなる野鳥のためのものである。 ある日、皿の中のヒマワリの種が全部殻だけの状態になっているのを発見した。 しかも物置の大袋の種も大半が同じ状態になっていたのである。犯人はネズミであった。 なぜかというと、その日から我がボロ家の天井裏で運動会が始まったからである。 いろいろ思案し、まずはハンズで2,500円のネズミの嫌う超音波発信機を買って きて設置したが、まったく効果なし。野良猫を捕まえてきて天井裏に放そうか、など とも思ったが、以前に新聞で「栗のイガ」で悩み解決とのことが出ていたのを思い出し、 早速新聞記事DBで検索、経験者の話なので間違いないことを確認、そして「栗のイガ」 を検索したところ、関連するページがあることあること。 何人かに「手に入りませんか」と発信したところ、全員から返事があり、その中の 山梨県の方にお願いをしてダンボール1箱お送りいただいた。すぐに天井裏に撒き (痛いのなんのって)、また、外の出入り口らしき場所にも置いてみた。初日、2日目 はまだゴトゴト音がしていた(愚妻談)が、ななんと、3日目から音一つしなくなった のである。恐らく、踏んづけたりして退散したのであろう(まだ確信は持てないが)。 インターネットのスゴイ話がイガのスゴイ話になってしまったが、いやー、驚いた。 スゴイ話としてはこれ以上多言を要しないが、ただ、見ず知らずのまったく無関係の 人に突然お願い事をし、一方赤の他人からの依頼に手間暇かけて応えてくれたという こと、応えてくれるその人情自体は有り得ることで理解するのだが、例えば、言葉に よって通行人に対してとか、栗の産地の電話帳を見て、適当に電話してイガを拾って 送ってくれませんか、等といっても普通は相手にされないはずなのに、その前に 言葉であれ電話であれ、こんな非常識な行動などできるはずもないのに、ネットに おいてはまったく抵抗がなくできたことが実に不思議なのである。ネットとはこういう ものなのだろうか。ちょっと怖い気がしてならないのだが。 中3の娘が(初めて)パソコンで年賀状を作成するという。宛名も編集するのかと 尋ねたら、そうだと言う。どうやら友達が皆そうしているかららしい。(私的の)宛名 くらい自筆にするのが礼儀であり、品性が問われる問題でもあることを少々きつく話し たところ、渋々了承した。 ワープロが普及してから、日本人(に限らないが)は文字・文章を書くということを 放棄したと思えるほど書かなくなった。筋肉は使わなければ衰えるというが、幼児期から パソコンに慣れ親しむメリットはあるにせよ、漢字、カタカナ、ひらがな文化の日本人 の頭脳の将来を心配するのは私だけであろうか。 最後に、最近の気になる言葉から。 省庁のHPが書き換えられた事件に関して「前・中略―グーテンベルク印刷術の発明 によって、文字情報に権威と普遍的信頼性が与えられたのである。現代までの文字信仰 を支えてきたのは、1度印刷されたら、永遠に同じことを主張し続ける印刷テキストの 存在であった。今回の事件は、<文字>に対する無前提的信頼に大きな疑問符を突き つけるものであった。電子メディアは、表面的には、これまでの印刷文化をより効率的 に推進する形でなぞっているように見えるが、実は、根本的なところでそれを裏切って いるメディアなのではないだろうか。」 ― 黒崎政男(東京女子大教授)著 ―「ネット情報の不安定さ」 朝日新聞11月某日夕刊より
JEPA理事・著作権委員会副委員長
三浦 厚志![]()
今月の調査報告
【日 本】
書籍は同0.9%減、雑誌は同0.8%増。雑誌は月刊誌が同2.7%増。 週刊誌は同5.0%減。 当月返品率は書籍が同1.7ポイント減の42.2%、雑誌は同0.7ポイント減の30.4%。 1月〜11月の累計販売額伸長率は、書籍雑誌合計で同2.9%減。 ((社)全国出版協会 出版科学研究所発行 出版月報2000年12月号)
書籍・雑誌推定販売額 2000年11月期 前年同月比 0.1%増
「本とコンピュータ」編集室と大日本印刷も共同で、3月中旬、計18冊を一挙刊行 する。過去の作品の中から今ぜひ読んで欲しいもの、さらにこれから出版予定の本 の導入部やエッセンスなどいち早く出版するものもある。 (2001.1.8 朝日新聞)
文系出版社6社など 新オンデマンド出版の叢書「ユマニテ(仮称)」立ち上げ
自分の好きな短編小説や論文などを組み合わせ、オリジナルの本が購入できる。 販売実績は月間700〜1,000万円。 → http://www.bookpark.ne.jp/ (2000.12.18 日本経済新聞)
富士ゼロックスの「Book Park」 小説など組み合わせ、選べるオンデマンド出版
サイバーエージェントが運営する「melma!」に「文学メルマ!」を開設。 著名人が書き下ろしたオリジナル小説やエッセーを毎週配信する。読者からも 作品を募集し、将来は新人作家の育成にもつなげる予定。閲覧は無料。 → http://www.melma.com/ (2000.12.12 日経産業新聞)
サイバーエージェントとビー・オー・エル 文学をテーマにメールマガジン発行
文学、写真集など各種作品をメールで募集し、優秀作をデジタルデータに編集し 販売する。1作品500円、販売額の5割は著者に還元する。 → http://www.boon-gate.com/ (2001.1.8 日本経済新聞)
文芸社 「ブーンゲート」開設し一般個人の電子出版支援 素人作家掘り起こし
→ http://www.ftm.co.jp/bunko/ (2000.12.26 Internet Watch)
小説などが縦書きで閲覧できる「北沢文庫」 蔵書が作家48人、380作品に
本そのものを写真化して配信するため、ページをめくりながら当時の装丁や 挿絵なども閲覧できる。2002年度に約5万冊、2004年度までに約17万冊の全蔵書 に拡大予定。 (2001.1.4 日本経済新聞)
国立国会図書館 明治時代に刊行された蔵書をホームページで提供 2002年度から
プライス・ダウン・ドット・コムと提携し同社のサイト内に「0円オークション」 を開設、表示価格が一定速度で下がる方式で、入札がなければ0円になる。 毎週、12種類、12〜100冊程度を出品する。 (2000.12.13 日経産業新聞)
イーブックオフ ネット上で中古本の逆オークション開始 ゲーム感覚を売り物に
週刊ビッグコミックスピリッツ増刊「IKKI(イッキ)」を1月23日より配信する。 定期刊行のコミック雑誌で、一冊丸ごとのコンテンツがネット上に掲載されるのは 初めて。 → http://manga.accessticket.com/ (2000.12.22 Internet Watch)
漫画配信サイト「まんがの国」 定期刊行コミック雑誌を一冊丸ごと無料配信
全て連載作品で週に一度内容を追加する。 (2000.12.27 日経産業新聞)
ロイド パームOS搭載のPDAに漫画配信 1作品1週間分で100円前後
2位は「bol.com」で62万人、3位が米「Amazon.com」で33万人。 ジュピターメディアメトリックス調査 (2000.12.22 Internet Watch)
オンライン書店ランキング1位 「Amazon.co.jp」 ユニークビジター数は70万人
携帯電話からの注文急増が増加要因。 (2000.12.22 日経金融新聞)
ブックサービス 2001年3月期の売上冊数 約300万冊 前期比35%増
ファミマ・ドット・コムに書籍コーナーを開設、商品は宅配または全国5,600の ファミリーマートで引き渡す。 → http://www.famima.com/ (2001.1.8 日本経済新聞)
ファミリーマートと日本出版販売 書籍ネット通版開始 約45万作品を扱う
「名古屋三省堂ドットコム」では、愛知、静岡、岐阜、三重の4県で売れ行きの 高い書籍の品揃えを強化する。地域密着型のサイトを開設するのは初めて。 → http://www.n-sanseido.com/ (2000.12.14 日経産業新聞)
三省堂書店 ネット上に東海地域向けの書籍通販サイトを開設
全タイトルを5%、また、毎月50以上のタイトルをピックアップし15〜50%下げる。 同書店では6,200タイトルを掲載し、35万冊以上をダウンロード販売している。 → http://www.papy.co.jp/ (2000.12.22 日経産業新聞)
電子書店パピレス 会員登録した利用者に限り、電子書籍を5〜50%値下げ
新宿本店に国内最大規模の約6,000タイトルを集めた。 同様のコーナーを他店にも設置予定。 (2000.12.9 朝日新聞)
紀伊国屋書店 活字離れに対抗! DVDソフトを集めた「DVDアイランド」設置
朝日新聞、インクリメントP、ビデオ・パック・ニッポンの3社は、 手塚治虫デジタル漫画大全集製作委員会を発足。 PDF化し専用のコミックビューワで見る。 → http://www.tezuka-dvd.com/ (2000.12.12 Internet Watch)
「手塚治虫漫画大全集」DVD-ROM化し予約販売開始 8枚組で12万円
先進国では英国、ドイツに次ぎ3番目となる。 (2000.12.20 日本経済新聞)
日本製紙連合会 2005年度 古紙利用率60%を目標 2000年度比4ポイントアップ
4月から8ヶ月間の利用者の伸び率は33%。 ジュピターメディアメトリックス調査 (2000.12.20 Internet Watch)
デジタルメディア利用人口 11月 前月比0.6%増の2,187万人
富士総合研究所 会員企業1,200社調査 (2001.1.5 日経産業新聞)
企業のEC実施率 2000年11月 B to C は37%、B to B は58%
郵政省調査 (2000.12.27 日刊工業新聞)
DSL 年明け早々 加入10,000件に
NTT東日本、NTT西日本調査 (2000.12.27 日本経済新聞)
ISDN 12月8日 加入1,000万回線突破 99年11月開始の定額制サービスで倍増
野村総合研究所予測 (2000.12.15 日本経済新聞)
デジタル放送(BS、CS、地上波)市場 2005年 2,400万世帯、1兆円を超す
2001年度には2,000万台に急増。デジカメは日本企業が世界シェアの約8割を 抑えている。 デジカメを生産する日本メーカー19社の推定 (2000.12.12 日本経済新聞)
日本メーカーの世界市場向けデジカメ出荷台数 2000年度 前年比倍増の1,200万台
金額では同4%増の2兆2,000億円。 電子情報技術産業協会予測 (2000.12.26 日経産業新聞)
パソコン出荷台数 2001年度 前年度比13%増の1,360万台 過去最高
6兆円の大台は初めて。電通調査 (2000.12.22 日本経済新聞)
広告市場 2000年 前年比7%増の6兆854億円に 前年比プラスは3年ぶり
【世 界】
2005年までにビジネスユーザーの約4分の1がワイヤレスブロードバンドを利用し、 その結果として接続される一般家庭や企業の数は2,700万に達する。 英ARC Group予測 (2000.12.19 Internet Watch)
ワイヤレスブロードバンドによって生じるサービスの利益 2005年 420億ドルに
2位以下は、アメリカ48.9%、シンガポール39.2%、韓国31.2%。 野村総合研究所調査 (2000.12.21 日経産業新聞)
自宅でのネット利用5カ国比較 1位はスウェーデン60.7%、日本は最下位22.8%
IDC調査 (2000.12.9 朝日新聞)
パソコン出荷台数 10〜12月期 前年同期比19.6%増の4,015万台
【米 国】
(2000.12.23 日本経済新聞)
e-クリスマス 急速に鈍化 前年同期比20%程度の伸び 今までは同2倍を超えた
ただし、前年同期比では63%増、通年では前年の約2倍、80〜90億ドルになる もよう。 インターネット広告協議会調査 (2001.1.8 日本経済新聞)
ネット広告 2000年7月〜9月 前期比6.5%減 初めて四半期ベースでマイナス
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【連載】
「電子出版のデスクトップ」
- - -第16回:「四角四面―日本語を読みやすくする(5)」- - -