JEPAキーパーソンズ・メッセージ!
「キーパーソンズメッセージ!」のコーナー再開です。
業界を代表するJEPA理事の皆様から旬のメッセージをいただいておりましたこの
コーナーは、順番が一巡したため42号にて終了致しましたが、再開のご要望が多く
今月号から再びお届けすることに致しました。
2001年度の理事改選でご就任になられた新任理事の皆様をはじめ、JEPAのキーマン
の方々から再び熱いメッセージをお伝え致します。どうぞご期待ください。書を捨てWebに…
(有)自由電子出版 役職
JEPA News巻頭のキーパーソンズメッセージを理事持ち回りで書き始めて、これで 一巡したとのことである。一巡に約3年強かかった。この3年間、出版の世界では、 まったく変化がないことと激変したこととがある。 変化しないのは「出口のない出版不況」であり「出版界の構造」である。一変して しまったのはインターネットの爆発的な普及だ。出版不況脱出についてはさまざまな 議論が溢れている。しかしそれらの議論はなぜかある事実を意図的に避けているよう に感じる。それはインターネットが出版を圧迫しているという観点である。 もちろんインターネットが出版不況を起こした元凶ではない。出版界の構造が今の 世の中に合わなくなってきたことが原因であろう。しかしその合わなくなった隙間を 見事に補完し、急速に増殖しているのがインターネットなのである? ある調査によればいま世界には40億ページ程度のWebページが存在し、それが年に 倍増する勢いで増殖しているらしい。比較的少ないと言われる日本語ページだけ見て も、Web上に存在する情報の豊富さは目を見張るものがある。かつては書店に赴き本を 買うか、図書館に篭って調べたものが、お手軽に目の前のパソコンから即時に調べる ことができる。Webで用が足りない調べ物はごく少なくなっている。 本当に便利な世の中になったものだが、もしあなたが出版界の人間ならこの事実に 驚愕し、脅威に感じなくてはならないはずである。 調べ物ばかりではない。ご存知のようにインターネットは「はまる」。次から次へと 情報のリンクをたどっていくだけで、小一時間くらいは楽しく過ごしてしまう。常時 接続の世界に入ればこれはもっと加速されるだろう。インターネットもまた出版と同じ 時間消費型の存在だ。人間の持つ限られた時間の奪い合いは当然のように起こっている。 出版界ではこういった新しい表現媒体が登場すると必ず「活字離れ」という決まり 文句が使われてきた。「活字離れ」をくい止めて「活字戻り」をさせるという思考方法 だ。この決まり文句が大きな成果をあげたことなど一度もないが、今回はそのスロー ガンは使えない。なぜなら登場した新しい媒体には文字が溢れているし、個々のWeb ページは小さなそして独自な出版活動そのものだからだ。 自分自身は変化をせず、出て行った読者を古巣に呼び戻すという考え方がもはや 何も生まないことは明白だ。ならば出版人みずから「書を捨てWebに出かけてみよう」 ではないか。自分たちの活躍できるフィールドがWebには溢れていることが分かるはず である。そこに新しい読者が育ちつつあることも実感できるはずである。 「インターネットには読者が溢れている。後は商品を届けるだけだ!!」。こう叫び たくなるが、実際にはネット上で商売をする困難は大きい。 大量の無料情報に対抗してお金を払ってくれるコンテンツをどうやったら作れるのか? 広大なインターネットで自分の存在をどう伝えたら良いのか。こういった新しい難問を ひとつひとつ解いていかなくてはならない。そんな難問をともに解きあかして行く場 としてJEPAを活用していこうではないか。アイデアの交換、経験の共有、実務における 協力、そういった活動はJEPAのもっとも得意とするものである。 新しく始まったこのキーパーソンメッセージが再び一巡した時、ネットの上に出版社 に蓄積されたコンテンツと編集のノウハウが満ちあふれ、新しい出版の世界が切り開か れていることを確信している。
JEPA会長
長谷川 秀記![]()
今月の調査報告
【日 本】
公取委は今後も「廃止について国民的合意が得られるよう努力を傾注する」ととも に取引実態調査、検証を行う協議会を今秋にも設置する予定。 (2001.3.29 新文化)
公取委が最終報告 「再版制は当面維持」の結論
書籍が同5.9%減、雑誌が同8.6%減。雑誌の内訳は、月刊誌が同8.4%減、週刊誌が 同9.0%減。返品は、書籍が同0.4ポイント減の36.2%、雑誌は同3.6ポイント増の 28.3%。1〜2月期の書籍・雑誌累計販売実績は、同6.3%減。 ((社)全国出版協会 出版科学研究所発行 出版月報2001年3月号)
書籍・雑誌推定販売額 2月 前年同月比6.3%減 1月の5.0%減をさらに下回る
参加したのは他に筑摩書房、白水社、平凡社、みすず書房、「本とコンピュータ」 編集室、大日本印刷。99年11月より開始の実験的なオン・デマンド出版プロジェク ト「HONCO ondemand」の経験を活かす。 → http://www.honco.net/richiesta/ (2001.4.10 Internet Watch)
岩波書店、晶文社など 共同でオン・デマンド出版サービス「リキエスタ」開始
同一のタイトルをデータと製本した書籍の両方で販売する。PCでの画面表示や オンデマンド印刷に「秀英書体」を使い、電子書籍用ビューアーと共に希望者に 無料配布する。ダウンロードはT-TimeとPDFに対応、購入を決める前に一部を PDFファイルで閲覧できる。 → http://www.shosai.ne.jp/ (2001.3.21 Internet Watch)
大日本印刷 ダウンロードとオンデマンド印刷の両方に対応「ウェブの書斎」開始
参加したのは他に富士ゼロックス、マイクロソフト。97年から富士ゼロックス 「BookPark」で展開しているオンデマンド出版サービスを中心に、コテンツの販売 やコンサルティングなどを行う予定。 → http://www.contentsworks.co.jp/ (2001.3.15 Internet Watch)
講談社と小学館など 共同でオンデマンド出版社「コンテンツワークス」を設立
事業名は「rjダイレクトパブリッシング」。 投稿した書評を編集する「rjアンソロジ ー」と、公開した日記を書籍化する 「Web日記」の2種から人気作品を選び刊行する。 → http://www.book-ing.co.jp/rjdp.html (2001.3.20 日経流通新聞)
ブッキングとレビュージャパン オンライン上のコンテンツをオンデマンド出版
ウェブサイトで書籍の内容を広めることは売上に悪影響を与えないと判断。 リアルタイムでアクセス数やダウンロード数も見られる。 (2001.3.8 新文化)
翔泳社 ネットで新刊書籍を無料配布 米国で原著の刊行時に同様の試みをした
「ニュースビュウ」で、産経新聞の朝夕刊と夕刊フジを配信、料金は未定だが、 閲覧したページごとに課金し、新聞より安くする方針。 (2001.4.5 日経産業新聞)
産経新聞社 新聞紙面をそのまま画像データとしてパソコンに配信 8月から
サービス名は「DocumentWire」。スイスのエス・カーガー、米国物理協会と提携し、 両者が提供するネット専門誌から検索する。今夏にはダウンロード機能も加える。 検索は無料。 (2001.3.22 日経産業新聞)
学術コンテンツ輸入・販売のナレッジワイヤ 専門誌から論文単位でネット販売
絶版や品切れ本を合わせ170万点を検索できる。 (2001.4.3 日経産業新聞)
楽天と日販 ネット書籍直販サイト「楽天ブックス」オープン
受渡しは無料で行う。 (2001.3.29 新文化)
ヤフー ヤフーで書籍を購入したら全国8,500店鋪のセブンイレブンで受渡しできる
コピー、データ入力などのサービス店「メールボックス・エトセトラ」を運営して いる三菱総研子会社と提携した。従来は宅配、駅の店鋪での引き渡しを行っていた。 → http://www.sanseido.com/ (2001.3.16 日経産業新聞)
三省堂書店 ネット受注の書籍をビジネス向けサービス店で引き渡す
貸与するデータは、書名、著者の紹介情報、装丁の画像データなどの中から同社が 指定するもの。ネット書店の要求に積極的に応える。 (2001.3.8 新文化)
講談社 同社が発行するデジタル書誌データをネット書店などに無償で貸与
「ISIZE BOOKマガチラ」で発売中やこれから発売する雑誌を対象とする。 → http://www.isize.com/book/magachira/ (2001.4.3 日経流通新聞)
リクルート 「ISIZE」で出版各社の雑誌の見出しや目次の閲覧サービス開始
今後は雑誌の総合情報サイト「ざっしパーク」で別冊、ムックなども紹介していく 予定。情報をメールマガジンとして受け取れるサービスも開始した。 → http://www.zasshipark.com/ (2001.3.21 日経産業新聞)
日販と日販コンピュータテクノロジイ 雑誌情報紹介を127誌から221誌に拡大
インフォプラントとインターネットコム調査 → http://japan.internet.com/research/20010323/1.html (2001.3.27 Internet Watch)
電子書籍を利用したいと思うユーザーは半数弱 電子書籍は安く、欲しい部分だけ
高精細液晶を左右に2面搭載した折り畳み式で、紙の本と同じように見開きで ページを表示できるのが特徴。四六判250ページのハードカバー本と同じ大きさと 重さ。 → http://www.ebookjapan.co.jp/ebi_web/documents/news/010409.htm (2001.4.10 Internet Watch)
イーブックイニシアティブジャパン 電子書籍端末のコンセプトモデル発表
パソコンによる利用者は5.1%増の2,634万人、携帯電話による利用者は4.4%減の 969万人。 ネットレイティングス調査 (2001.3.16 日経産業新聞)
ネット利用者 2月 前月比0.8%増の約3,017万人 3,000万人を超えたのは初めて
全インターネット接続世帯2,200万世帯の40%に相当する。 Jupiter Research予測 → http://www.jupiterjapan.co.jp/press/2001_03_12.html (2001.3.14 Internet Watch)
ブロードバンド・アクセス利用 2005年 860万世帯に
電子商取引推進協議会やアクセンチュアなどの共同調査 (2001.3.27 日本経済新聞)
携帯電話経由の電子商取引市場 2005年 2兆4,500億円へ 2000年は推定590億円
モバイルコンピューティング人口は2004年度には6,520万人、2001年度は5,180万人。 モバイルコンピューティング推進コンソーシアム予測 (2001.3.30 日経蚕業新聞)
モバイル人口 2004年度 8,460万人へ 2001年度は7,230万人
(2001.3.27 読売新聞)
DSL 2001年度中に280万回線へ 家庭に急増 総務省試算
12月はビデオの売上を単月で初めて抜いた。日本映像ソフト協会調査 (2001.4.3 日経流通新聞)
DVDソフト売上高 2000年 1,047億円 前年比3.4倍
【世 界】
米国景気の減速やBtoB普及の遅れなどが原因。 Gartner調査 → http://www.gartner.com/Init/ (2001.3.15 Internet Watch)
BtoBコマース市場 2005年 8兆5,000億ドルに下方修正
The National Retail FederationとForrester Research調査 (2001.3.2 Internet Watch)
2月のオンライン小売り市場 34億ドル 家電製品と宝飾品が好調
Aberdeen Group予測 → http://www.aberdeen.com/ab_company/press/02-14-01hnm.htm (2001.2.16 Internet Watch)
家庭内ネットワーク市場 2005年 130億ドルに
Gartner予測 (2001.3.24 日本経済新聞)
パソコン出荷台数 2001年の伸び率16.1%から10.7%に下方修正 急減速
【米 国】
ニューヨーク・タイムズは全紙面を読めるサイトを作り、印刷版とほぼ同水準の 価格で配信を決定。ロサンゼルス・タイムズやナイト・リッダーも有料サイト 開設の検討に入った。 (2001.3.19 日本経済新聞)
新聞社や雑誌社 ネット上のコンテンツを有料配信へ 「ネットは無料」見直し
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【連載】
「電子出版のデスクトップ」
- - -第19回:「図書館は無料か?」- - -