Vol.４６

JEPAキーパーソンズ・メッセージ！

業界を代表するJEPA理事の皆様から旬のメッセージをいただいておりましたこの

コーナーは、順番が一巡したため42号にて終了致しましたが、再開のご要望が多く

第45号から再びお届けしています。


雑　感（電子出版への片想い）
ソニー(株) 光ディスク３部
JEPA監事
井橋 孝夫
シンガポールに住んでいる姪夫婦が来宅すると、決まって近くの“ユニクロ”を訪ね、
抱えきれないほどのフリース等を携えて帰ってくる。コンピュータエンジニア出身の
中年太りの始まった米国人の亭主は、音楽はナプスターで交換するものと信じきって、
小生の顔を見るなり議論を吹きかけてくる。彼らにとって、量こそが重要で適当な
対価を払っても自分たちの文化を形成している。米国人のくせに料理を趣味とする
亭主は、日本食が特に気に入って拙宅で出す魚の煮物にも薀蓄をかたむけ、質の議論
を始め文化文明論に至ることが度々ある。一般に文明は点か線かで文化は体積である
とも、文明は質であり文化は量であるとも言われている。ＣＤの電子出版分野の応用
が始まったのが90年代の初めで、マルチメディアやインタラクティブ等の言葉は誰も
理解できないと、当時はひどく上司に怒られた記憶があるが、今ではインタラクティブ
の権化の様な“親指族”が出現し、量の文化を形成している。

　今でもこのアナロジーが通用するかどうか不明だが、工業社会から知的情報社会
への急速な移行がブロードバンドネットワークにより達成されると予測される中で、
情報量の多いものは文化で、少ないものは文明だと言えるかも知れないと、一人で
悦に入っている。とすると、情報量の多い映画やゲームは文化で、情報量の少ない
出版データ、音楽は文明であるとも言えなくもない。即ち情報量の少ないもの程
質が高く、脳の中でクオリアを発生させ、読む人、聞く人をより感動させ想像力を
増加させ、刺激を与えてくれることになる。一方映画やゲームコンテンツは情報量
の大きさゆえ、一度見たら何度も繰り返すことは無くビジネスはボリュームは大き
いが“水もの”になる。

　又例外はあるが、情報量の少ないもの程それ自体に付加価値をつけやすく、コレク
ション性を高められる可能性がある。即ち光ディスクの最大の特徴である情報の大量
プレス性を生かした電子出版が、情報の質及び付加価値を高めていくことにより、
再び活性化し、量的な文化を形成する時代が近い将来到来すると予測している。
今こそネット社会とパッケージビジネスを共存させる知恵を出し合うべきと考えて
いる。しかしコンテンツの質を高め、付加価値をつけることは非常な難問で、この
10年間は一部を除き失敗の連続といっても過言ではない。この失敗こそが重要で、
雑草のたくましさを身につけて、ＪＥＰＡ会員こそがそれぞれネット社会との共存
を模索する必要があると思う。いづれにせよコンピュータやネット技術の進歩が
引きずる影の部分に対するコンセンサス又は武装をした後で、質を追求すれば電子
出版は文化としての重要性がより加速され、ネット社会が到来すればする程パッケー
ジビジネスが加速され、新たなビジネスモデルを構築できると確信している。
この様な状況を実現するための一助に微力がささげられれば望外の幸せである。





今月の調査報告
【日  本】
ムック市場　2000年　推定販売額は前年比1.5％増の1,356億円
    新刊点数は同10.4％増の7,366点。返品率は1.5ポイントダウンの42.0％。

書籍・雑誌推定販売額　３月期　前年同月比2.4％減
    書籍が同0.8％増、雑誌が同5.2％減。
    雑誌の内訳は、月刊誌が同5.9％減、週刊誌が同2.9％減。
    返品は、書籍が同0.9ポイント減の28.3％、雑誌は同1.4ポイント増の23.4％。
    １〜３月期の書籍・雑誌累計販売実績は、同4.7％減。
    （以上、（社）全国出版協会  出版科学研究所発行  出版月報2001年４月号）

角川書店とシャープ　電子書籍を購入、DB化し保存・検索できるソフトを開発
    ソフト名は「Bishop Library」、表示用ソフト「BookView」と共にCD-ROMで
    配布する。
    夏までに商用化を目指す。
    （2001.4.16　日経産業新聞）

みすず書房と日本ビクター　カードサイズのCD-ROMを利用した電子書籍を発売
    「みすずeポシェット」は、１点当たり600円、パソコン画面上に縦書き文章を
    再生する。
    → http://www.msz.co.jp/
    （2001.4.19　日経産業新聞）

角川書店　あかつきBPなどと共同出資会社設立　少部数書籍を印刷・製本・配送
    新会社は「イーブックマニュファクチュアリング」、角川書店以外の出版社が
    発行する書籍を引き受ける。
    （2001.4.23　日本経済新聞）

コニカ子会社　電子出版事業へ　データ化した作品のネット配信や注文印刷受託
    コニカビジネスマンは、出版社や作家と契約し、ホームページ作成や作品の
    電子化、印刷、製本、代金決済までを一括して請け負う。
    （2001.4.19　日経産業新聞）

岩波書店と大日本印刷　iモードで「広辞苑」配信　６月４日以降は月額100円
    約23万の単語の意味や約6.300の漢字の読み方、部首、総画数が検索できる。
    （2001.4.11　日経産業新聞）

日販図書館サービス　図書館専門サイト「NTS-としょかんどっとこむ」開設
    会員図書館の受発注業務を合理化する。
    → http://www.nts-toshokan.com/
    （2001.4.19　日経産業新聞）

楽天ブックス　NTTコミュニケーションズ、日本テレコムと書籍通販で協力
    楽天ブックスがサービスを相手ブランドで提供する。
    （2001.4.17　日経産業新聞）

アマゾンジャパン　iモードで書籍販売開始　約200万点の和洋書が検索・購入可能
    ジャンル別の推薦本や書評が読めるほか、25位までの売れ筋ランキングの更新も
    １時間ごとに行う。
    → http://amazon.co.jp/
    （2001.4.18　日本経済新聞）

ヤフー　書籍の在庫がなくても注文できる取り寄せサービス開始
    実際のサービスはイー・ショッピング・ブックスが担当、書籍在庫は約８万点
    だが、取り寄せることで約73万点から購入できる。
    （2001.5.3　日経流通新聞）

角川書店など大手出版社６社　ネット受注システムの標準フォーマット作成に着手
    「Web-EDI」では、本部一括で大部数を発注する大型書店に向け、低コスト、
    納期の大幅短縮を目指す。共用サイトではない。
    （2001.4.19　新文化）

雑協　「雑誌基準」を大幅緩和　週刊誌にCD-ROMなどの付録が添付できる
    今回改定されたのは、他に「表紙の打ち抜き加工（表紙面積の10％程度）」、
    「香印刷（表紙意外）」など。
    （2001.4.19　新文化）

日書連の加盟書店数　４月１日現在　前年同時期より553店減の8,853店
    減少率は昨年の4.6％を上回る5.9％と過去最悪。
    （2001.4.26　新文化）

携帯電話によるネット利用者　３月　推計1,100万人突破　２月比14.3％増
    パソコンによる利用者は昨年12月以降横ばい。　ネットレイティングス調査
    （2001.4.24　日経産業新聞）

オンラインショッピング市場　2005年　４兆7,000億円　2003年から一気に加速する
    2001年は8,000億円。　ジュピターリサーチ予測
    → http://www.jupiterjapan.co.jp/press/2001_04_26.html
    （2001.4.27　Internet Watch）

消費者が各種メディアに支払った情報支出　2000年　前年比2.7％減の35,594円
    携帯電話などへの支出は増えたが、固定電話、書籍、カラオケへの支出額は
    減少した。
    電通総研調査
    （2001.4.24　日経産業新聞）

モバイル関連市場規模　2005年度　99年度比　約4.6倍の7.5兆円へ
    なかでもPDAは急拡大、出荷台数は99年度比41.7倍の2,713万台に。
    日本事務機械工業会予測
    （2001.5.9　日経産業新聞）

DSLサービス加入者数　2001年４月24日現在　10万回線突破
    総務省調査
    → http://www.mpt.go.jp/whatsnew/dsl/index.html
    （2001.5.11　Internet Watch）

【世  界】
コンテンツ配信産業ブレーク　2005年　20億ドル規模へ　99年は4,500万ドル
    Yankee Group予測
    → http://www.yankeegroup.com/webfolder/yg21a.nsf/press/A6DB6A47DBC29BA385256A2D00664EB5?OpenDocument
    （2001.4.20　Internet Watch）

ITサービス市場　2005年　現在の２倍の１兆4,000億ドルへ
    Dataquest予測
    → http://www.gartner.com/
    （2001.5.8　Internet Watch）

オンライン広告市場　2005年　現在の３倍に拡大
    eMarketer予測
    → http://www.emarketer.com/about_us/press_room/press_releases/20010501_eAdvertising.html
    （2001.5.8　Internet Watch）

パソコン出荷台数　 今期第１四半期　前年同期比3.5%増の3.252万台　１位はデル
    米国景気の減速やBtoB普及の遅れなどが原因。
    Gartner調査
    → http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/20010423/gartner.htm
    （2001.4.24　PC Watch）

【米  国】
AdobeとAmazon.com　電子書籍販売で提携　日本などでの展開も視野に
    Amazonの電子書籍販売サイトで電子書籍閲覧ソフト「Adobe Acrobat eBook Reader」
    を無料で配布、約2,000タイトルの電子書籍を販売する。今後１年間で、フランス、
    ドイツ、日本、英国などでも同様のサービスを行う予定。
    → http://www.adobe.com/aboutadobe/pressroom/pressreleases/200104/20010410amazon.html
    （2001.4.12　Internet Watch）

Adobe　電子書籍閲覧ソフト「eBook Reader」の新版をリリース　Mac用ベータ版も
    液晶画面上で閲覧する際に最適な解像度を自動選択するフォント表示技術
    「CoolType」を装備。また、インタラクティブ辞書機能により、単語をクリック
    するとその意味を表示する。さらに、出版社の許可を得て、eBook Readerの
    ユーザー間で電子書籍の貸し借りや譲渡ができる機能も付加。
    → http://www.adobe.com/aboutadobe/pressroom/pressreleases/200104/20010425ebook21.html
    （2001.4.27　Internet Watch）

Amazon.com　全米第２位書店Bordersグループと提携
    Bordersグループは、オンライン書店「Borders.com」を８月にリニューアル
    オープンし、Amazon.com上で全く新しいサイトとしてサービスを開始する。

    → http://www.iredge.com/iredge/iredge.asp?c=002239&f=2005&fn=AMZN_BordersAlliance__440.htm
    （2001.4.13　Internet Watch）

双方向テレビ　2005年　4,500万世帯へ　2000年は220万世帯
    今後は年率80％以上の高成長。　ジュピター・メディア・メトリックス予測
    （2001.4.23　日本経済新聞）





【連載】
「電子出版のデスクトップ」
 - - -第２０回：「本はなくなるか？」- - - 

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