JEPAキーパーソンズ・メッセージ!
業界を代表するJEPA理事の皆様から旬のメッセージをいただいておりましたこの
コーナーは、順番が一巡したため42号にて終了致しましたが、再開のご要望が多く
第45号から再びお届けしています。WBTと「夢の」携帯・モバイル・読書端末
(株)アルク 取締役開発部長
売り上げの過半数を通信講座で占める弊社においては、WBT(Web Based Training) が今後どのように発展していくか、非常に関心が高い。 昨年末から、スペースアルク(ネットワーク事業部を昨年分社化)と共同で、現在発売 している4つのTOEICの通信講座を順次WBT化していくプロジェクトを進め始めた。 ただ、個人向けのWBTが語学の分野で成立するかどうかは、いくつか問題をクリア していかなければならない。 まず、音声の配信をどうするか、という点である。語学教育に音声は必須だ。音声の 配信は、現在の通信の環境では、配信する側のサーバー代、受ける側の通信環境とも、 現時点では、まだ、ビジネスになる環境ではない。ただし、これは、ブロードバンドの 環境が整ってくれば、2,3年後には解決するかもしれない。あるいは、現在の教材と 併せて販売することで、次善の策は取ることができる。 もうひとつ、やっかいな問題は、個人の学習スタイル、ライフスタイルである。つまり、 通信講座を受講しようとする人は、社会人で仕事をしているケースが多い。現在の通信 講座受講のスタイルは、多くの方が、平日の学習を、通勤途上やちょっとした空き時間 を利用してこなしているのではないかと思われる。 しかし、通信講座ともなれば、勤務中にゆっくりパソコンの前に座って時間をとって 学習するわけにはいかないだろう。そうはいっても、仕事で疲れて自宅に戻って、特に お酒が入って、コンピュータの前に座って学習をする人がどのくらいいるだろうか。 それを考えると、紙の媒体の携帯性は強い。テキストは大きさの問題は出てくるが 紙なので軽い。鞄の中に入れておけるし、音声はMDやカセットにおとして通勤電車の 中でも聞くことができる。 ただ、紙の教材にはないWBTの最大の利点は、個人の能力と進度、学習スタイルに あわせたカスタマイズができることである。このよさを生かすには、WBTの環境に 携帯性を加えることも、解決策のひとつではないかと思われる。 間違えた問題、覚えてなかった単語、その日の学習事項などを端末で受け取って、 空き時間を利用して学習するなどのサブ的使い方ができれば便利だろうし、音声と文字 がシンクロできる機能があれば、ウォークマンがわりに聞いて、わからない部分を文字 で確認することもできる。 個人的にも、こんな機能があれば、絶対購入すると思う外形や機能をランダムに挙げ ると下記のようになる。 ・ポケットまたはバッグに入る大きさ ・薄くて軽い ・インターネットに接続することができる ・メールができる ・折り畳んだまま、あるいは開いて見ることができる (液晶がむき出しになっていない) ・WBTに対応するインタラクティブ性 ・本や雑誌のデータをダウンロードして、クリアな文字で読むことができる ・音声とテキストをダウンロードして、音声と文字をシンクロさせることができる ・辞書機能付き ・スケジュール・住所管理 ・入力ができる ・テレビ電話になる ・テレビを見ることができる ・映画を見ることができる ・電池長持ち・充電できる ・カードでデータ入れ替え可能 ・ゲームができる ・インターフェースが簡単で直観的にいろいろな操作ができる ・頑丈・故障しにくい ・10万円以下 どんな機能が必要かという点について話していくと、単機能がいいとか、ウエアブル コンピュータでメガネのように見えるものがいいだとか、使用用途によって、方向性も あちこちに飛んでいく。私はてんこ盛りが好きなたちなので<携帯+モバイル+読書 端末>機器があると便利だと思うが、みなさんはどうだろうか。
JEPA理事・イーブック端末研究委員会副委員長
坂本 由子![]()
【特別寄稿】
オンライン情報流通サービスへの思い
NTT西日本(株) 法人営業本部
JEPAキーパーソンズメッセージ(20号)「オンライン書籍への思い」の中で、「本を 読む姿勢と習慣」に対する変化、その変化に対する慣性力、「少額(1円〜数百円)の 情報料回収手段」の重要性について述べました。特に、読書スタイル(姿勢)に対する 変化には、どうしても習慣からくる抵抗があります。このスタイルの変化を少なくする には、端末をかぎりなく本に近づける必要があります。 先日、出版社に本の原稿を電子ファイルで送りました。文章はワードで、図表類はエク セル、パワーポイントで作り、各々別々のファイルで送りました。ある人に事前に読ん でいただくために、この同じ電子ファイルを送り、後ほど本の発行後、実物の本でも 読んでいただいたところ、その人の言うには、「内容が同じなのに別もののような “感じ”がする」といわれました。 これはいったいなぜだろうか?私の送った電子ファイルは文章と図表類は別々のファイ ルであり、本のように一覧で、あるいは見開きで同時に読めません。つまり、図をみな がら文章を読むことができないのです。製本されるときのレイアウト、割り付け等の “編集の力”でいかに読みやすく、見やすくなっているか、その効果がいかに大きいか を痛感しました。 (CD−ROM等で販売されている書籍は本と同じく編集されているので、この問題は 少ないとは思いますが。) このように、汎用的な従来のPCでは本とはどうしても違和感があります。専用端末の E-Bookにしても、端末の重さ、表現能力(見開きという構図、印刷に近い写真、行間、 字詰め、任意の各種書体の選択性、文章と図表のレイアウト編集等)の工夫、向上が さらに必要です。 オンラインで小説なり、マンガなり、写真なりのコンテンツを見るという「オンライン 情報流通サービス」においては、コンテンツの内容によっては通信回線の速度も問題に なりますが、利用者としては、なにはともあれまず受信できる端末(PCなり、E-Book 専用端末なり)が必要となります。しかも一般的にはタダではありません。普及するに はコンテンツの質、量と端末の数がポイントとなります。すなわち、情報がなければ 端末を買わないし、端末がなければ情報を提供しません。したがって、一般的には鶏と 卵の関係になります。コンテンツについても、端末があれば見るという情報と、端末を 買ってでも見たいという情報とは違います。後者をキラーアプリケーションとよんで います。あれも見れます、これも見れますというコンテンツのバリエーションは端末が 既にあるという前提条件のもとでは意味の有るものであるが、端末購入契機、トリガー にはなりません。購入の動機にはキラーアプリケーションが必須です。 過去のオンライン情報流通サービスの世界をみますと、ダイヤルQ2,フランスのミニ テルは「はじめに端末ありき」でスタートし、普及して行きました。すなわちダイヤル Q2は5000万台の既存の電話機利用者を相手に情報で儲けるIP(Information Provider)が集まりました。ミニテルは国が電子電話帳データベースを用意して、ミニ テル端末500万台も国が無償で配布しました。そこへKIOSKという情報料回収 代行機能を付加して、IPが儲かる仕組みを提供したことにより、民間のIPが集まり ました。 TVゲームはゲーム機を誕生日プレゼントにできる、お年玉で買える価格(ハードル 低い)に設定しましたが、これといった面白いゲームソフトのない発売当初は普及しま せんでした。そこへ「スーパーマリオブラザーズ」という面白いゲームソフトがあらわ れ、普及のトリガーになり、以後次々と面白いゲームソフトが開発され、子供たちが ゲームソフトを交換しながら遊ぶようになり、TVゲーム機を保有しないと“仲間はず れになる”状況がおこりました。 iモードも端末ゼロからスタートしましたが、端末価格は小遣い程度で買える(ハード ルが低い)ようにし、若者を対象にして、既存音声端末の買い換えと「メール(最大の コンテンツ)」というアプリケーションと携帯性という便利さで普及してきました。 iモード端末を持っていないとメールでの連絡がとれず、“仲間はずれになる”という TVゲームと同じ状況が生じています。 また放送の世界に眼をやると、白黒TVは力道山のプロレス、栃若の大相撲、王、長島 のプロ野球、皇太子(現天皇)のご成婚、カラーTVは白黒TVの買い換えと東京オリ ンピック、衛星TVは湾岸戦争、アルベールビル、バルセロナ両オリンピックという ように、イベントあるいはキラーアプリケーションがありました。 一方CATV放送(コンテンツ製作に金がかかり過ぎるのと小規模エリアサービスで 採算難)、PCM音楽放送、目に見えるラジオ放送、文字(多重)放送にはこれといった キラーアプリケーションがなく、普及は今一歩となっています。 このように考えてみますと、「端末ありき」のダイヤルQ2,ミニテルは特別として、 オンライン書籍の普及には、“キラーアプリケーション”と“端末価格”がキーポイン トになると前々から理解してはいましたが、あらためてつくづく感じる次第です。
JEPAデジタル情報ビジネス研究委員会委員
寺山幸男![]()
今月の調査報告
【日 本】
書籍が同8.8%減、雑誌が同5.0%減。雑誌の内訳は、月刊誌が同6.4%減、 週刊誌が同0.5%減。 返品は、書籍が同1.2ポイント増の37.7%、雑誌は同0.7ポイント増の32.5%。 1〜4月期の書籍・雑誌累計販売実績は、同5.1%減。 ((社)全国出版協会 出版科学研究所発行 出版月報2001年5月号)
書籍・雑誌推定販売額 4月期 前年同月比6.6%減 需要は一段と鈍化
シャープが運営するスペースタウンで6月からソフトを無料配布。 出版社に採用を呼びかけ、扱う電子書籍を現在の2倍の2,600冊程度に増やす予定。 → http://www.spacetown.ne.jp/ (2001.5.17 日経産業新聞)
シャープ 挿絵や図などが入った電子書籍を「ザウルス」で読むフォーマット開発
実験名は「音声新聞流通サービス実験(ANDS)」、5ケ月実施し事業化を検討する。 (2001.5.21 日経産業新聞)
産経新聞、NTTデータなど5社 新聞記事をパソコンやPHSに音声配信する実験開始
古典や絶版本が中心になっている既存のサービスにない特徴を打ち出す。 PDF形式を採用。 → http://www.papy.co.jp/ (2001.5.17 日経産業新聞)
パピレス サンマーク出版と電子書籍サービスで提携 比較的新しい書籍も配信
新サービス名は「パピろく」、カタログをパソコンに取り込めば、希望する書籍を 選択するだけで自動的に購入できる。 (2001.6.6 日経産業新聞)
パピレス ネット経由で電子書籍を簡単に購入できる電子カタログを無料配信
三省堂のデータをインフォシーク独自の検索機能と組み合わせ、解説文からの検索 など独自機能も付加する。 (2001.5.16 日経産業新聞)
インフォシーク 三省堂と辞書サービスで提携
書籍・コミックスなど約40万点、CD・DVDなど約37万点の他、低価格の宿泊商品 300点も扱う。ショッピング以外にも天気予報、新商品情報などを提供していく。 (2001.5.17 新文化)
ローソン iモードに対応したECサイト「iLAWSON」開設 本の受注開始
イー・ショッピング・ブックスと組み、約10万タイトルの書籍を揃えた。 (2001.6.5 日経産業新聞)
セブンーイレブン マルチメディア端末「セブンナビ」で書籍通販を開始
「みんなの書店」では、同社の一方的な情報だけでなく、本好きが選んだ書籍を 掲載することで購買意欲を喚起する。 → http://www.esbooks.co.jp/ (2001.5.15 日経流通新聞)
イー・ショッピング・ブックス 書店経営を仮想体験させるサービス開始
利用者が中古品を売買できるサービス、音楽のダウンロード販売にも着手する。 (2001.6.6 日本経済新聞)
アマゾン 日本事業拡大 CD・ゲームソフト・電子書籍にも参入
新会社名は「ネット21」、仕入れにインターネットを活用した業務システムを 導入しコスト削減などに役立て、生き残りを図る。 (2001.5.31 日本経済新聞)
進駸堂、恭文堂など中小書店11社 書籍・雑誌を共同で仕入れ、販売する会社設立
月刊誌で発行部数は25万部、価格は500円、発行はメディアワークス。 (2001.6.6 日本経済新聞)
楽天 通販雑誌「楽天マガジン」創刊 仮想商店街と連動し目玉商品など紹介
9月からサービスを本格化する。 (2001.5.24 日経産業新聞)
インテック、丸紅、コクヨ オンデマンド印刷の新会社「ネプリ」設立
丸めることができ、消費電力が少なく、次世代の携帯型ディスプレイの主力になる と期待されている。2004年メドに商品化予定。 (2001.5.31 日本経済新聞)
凸版印刷 電子ペーパー開発に参入 米イー・インクと開発契約締結
新組織名は「XML Publishing Forum」、XMLの標準化と新しいビジネスモデルの構築 を目指す。 (2001.5.31 日経産業新聞)
宝印刷、翔泳社など約40社 XMLを印刷・出版事業に活用するための新組織を設立
4年間で約2倍のペースで、普及率は22%。加入者も21万人から4倍の78万人で、 DSLの約7倍。 総務省調査 (2001.6.7 日本経済新聞)
CATV加入世帯 3月末 前年より10.6%増え、1,418万世帯と大台に乗った
総務省調査 (2001.6.8 日本経済新聞)
DSL利用者 5月末 17万8,737人 4月末の1.6倍
経済産業省系 国際超電導産業技術研究センター予測 (2001.5.21 日本経済新聞)
情報機器による電力消費量 2010年 現在の8倍近くへ
2年以内に黒字化を見込む企業は約15%。イーシーリサーチ調査 (2001.5.29 日経産業新聞)
EC事業 2000年時点で黒字化している企業は2.4% 77.6%は黒字化予定が不明
IDC Japan調査 → http://www.idcjapan.co.jp/Report/B2B/j11608.html (2001.5.23 Internet Watch)
B2B Eコマース市場規模 2000年 7.4兆円
【世 界】
2005年に全世界人口の15%がインターネットを利用、Eコマースの年間成長率は 毎年70%。 米IDC調査 → http://www.idc.com/ITOver/press/IT052301pr.stm (2001.5.25 Internet Watch)
2005年 インターネット利用者 10億人、Eコマースによる売上 5兆ドルを突破
サービス例としては、ビデオオンデマンド(VOD)、MP3音楽、ネット対戦ゲーム、 ビデオ会議、テレビ放送、仮想私設通信網(VPN)など。 米Pioneer Consulting予測 → http://www.pioneerconsulting.com/pressrelease.php3?report=28 (2001.5.29 Internet Watch)
DSL向け付加価値サービス市場 2005年 260億ドル規模 1,600万人が加入
2000年は560億ドル IDC予測 → http://www.idc.com/Services/press/PR/GSV051401pr2.stm (2001.5.16 Internet Watch)
情報システムのアウトソーシングサービス 2005年までに1,000億ドルへ
米国は3割未満、日本は1割未満。 総務省の外郭団体Eジャパン協議会調査 (2001.5.21 日経産業新聞)
個人のネット利用 韓国が日米圧倒 利用者の約9割がブロードバンド回線
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【連載】
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