JEPAキーパーソンズ・メッセージ!
業界を代表するJEPA理事の皆様から旬のメッセージをいただいておりましたこの
コーナーは、順番が一巡したため42号にて終了致しましたが、再開のご要望が多く
第45号から再びお届けしています。いま、情報基地「図書館」の納得度を
(株)図書館流通センター 代表取締役社長
JEPA理事
尾下 千秋当社は、書籍データベース「TRC MARC」を作成・販売している会社である。 そのデータをCD-ROMに商品化したのが「TRCD」「TRCD jr」で、合計で約3,000の利用者 を持っている。また、CD-ROMチェンジャーの普及につれ、搭載するCD-ROMの広がりが求 められ、収集幅の増加要求を突きつけられている。 図書館市場への販売について制作元との了解がとれれば、搭載できるように検証し販売 に努めている。しかし新しい商品の受け入れに未成熟なため、まだまだ市場規模は小さ い。本格的な広がりはこれからだとも言えるが、果たしてインターネットの情報伝達に 組み込まれるのか、CD-ROM単独で生き残れるのかは判らない。 アメリカブリタニカは、紙媒体の百科事典を断念しインターネット配信に切り替え、 利用を無料にした。その結果アクセス件数が1億回を優に越えているという。ブリタニカ は、アクセスした画面の広告を収入源にしている。皮肉なのは印刷物の百科事典販売で は赤字で、インターネット配信後は黒字に転換したことだ。膨大な百科事典資料を広告 材料に変え、広告会社になったようなものだ。その後紙媒体の百科事典の要求が強まり、 印刷物としての百科事典も販売せざるを得なくなったとは、またまた皮肉なことである。 小社でも4月から日本版「ブリタニカ百科事典」を販売しているが、3カ月で150セット ほど売っている。来年3月には子供用の大型百科事典が刊行されるが、目標2,000セット で取り組んでいる。なぜ売れるかといえば、制作者がデジタルの方がコスト吸収がしやす く危険負担が少ないことからデジタル出版にシフトしてしまい、製品が枯渇してしまった からである。世の流れに追いつけない図書館が印刷物としての百科事典を渇望している 表れでもある。この現象はアメリカの現象と全く同じで、購買者の心理と言ってもよい。 ある時、図書館から一本の電話がかかってきてこう聞かれた、「継続で購入している本に CD-ROMが付録として付いているが図書館で使用してもいいかどうか」。出版社が作成する 製品は大抵の場合「使用を認めます」との返事をもらっているので、大丈夫だとは思うが 念のため調べて返事します、と伝えた。電話に出た担当者は「図書館が利用するなど考え ていません。利用されては困ります」、とえらい剣幕で反論されてしまった。 ならば本に付録としないで単体で売るべきだし、本文の補足のために付ける付録なのだか ら、制約をつける方が変だといわざるを得ないのだ。出版社の回答を聞いた図書館の担当 者は僕を慰めるようにこう言った。「判りました。付録は取り外して事務室に隠しておき ます。」 既に有料のイーブックビジネスが始まっている。一方でアメリカのブリタニカのように 内容は無料で利用できるが広告掲載で収支を合わせるところもあり、デジタル化された 商品の取り扱いについてキチンとした方向が示されなければならない。特に図書館が資料 提供する場合のコンセンサスが重要だ。図書館をショールームとみるか、大口の利用者と みるかでも見方は極端に分かれる。当然無料か有料かの分かれ目にもなってくる。 いずれにしろ態度をはっきりさせることが大事であり、情報基地としての「図書館」が 消極的対応にならない納得度のある方向を、大至急示して欲しい。![]()
今月の調査報告
【日 本】
書籍が同1.7%減、雑誌が同9.1%減。返品率は、書籍が同1.4ポイント増の45.1%、 雑誌は同0.9ポイント増の29.9%。 1月〜7月の累計同販売金額は、書籍が同2.1%減、雑誌が同4.7%減、 合計で同3.6%減。 ((社)全国出版協会 出版科学研究所発行 出版月報2001年8月号)
書籍・雑誌推定販売額 7月期 前年同月比6.5%減 2ケ月ぶりにマイナスへ
ディスプレーを従来の半分に薄型、軽量化する技術を持つ米ベンチャー、 バイテックス・システムズに出資、同技術の普及に取り組む。 (2001.8.10 日本経済新聞)
三菱商事 有機EL市場に参入 電子ペーパーの実現を目指す
自社の電子書籍サイト「ビットウェイ・ブックス」で無償配布を開始した。 既存の「ブックジャケット」より読みやすく、ファイルの管理や購入が便利に。 (2001.8.16 日経産業新聞)
凸版印刷 電子書籍の閲覧ソフト「ブックジャケット2」開発 マックにも対応
三省堂書店は決済手段が限られ、ブックワンは実店鋪を持たないという弱味を抱えていた。 (2001.8.24 日経産業新聞)
三省堂書店とブックワン 書籍通販で提携 利用者拡大を図る
(2001.9.3 Internet Watch)
ブックワンとビー・オー・エル・ジャパン 業務提携 両サイトの収益向上を図る
中小の出版社を中心に独占契約を結び、同社サイトだけで販売する。 独自の品揃えで集客力を高める狙い。 → http://www.bk1.co.jp/ (2001.8.21 日経流通新聞)
ブックワン ネット書店や実際の書店でも取り扱っていない書籍の独占販売開始
(2001.8.30 日経産業新聞)
ブックサービス 書籍の宅配サービスを年中無休体制へ 1〜2日間配送時間短縮
取引先書店で出版物を相互に販促し、書店の在庫確認や在庫補充などでも協力する。 (2001.9.4 日本経済新聞)
徳間書店とJRグループの弘済出版社 書籍・雑誌の販売分野で業務提携
自宅や勤務先などにコピーを郵送してもらえる。 (2001.8.20 日本経済新聞)
国会図書館 750万冊の蔵書のコピーをネットで24時間受け付ける 来年10月から
全体の約81%が前年比減。 トーハン「書店経営の実態」 (2001.8.30 新文化)
書店経営 2001年1月〜6月 売上高伸長率はマイナス4.6% 6年連続前年割れ
ネット広告代理店上位3社共同調査 (2001.8.14 日本経済新聞)
バナー広告 利用者の2割が内容を覚えている 認知度向上に効果
バナー広告不要30%、必要8%。ネット広告の主流は、バナーから登録型配信メール に移っている。 矢野経済研究所 5月調査 (2001.8.20 日本経済新聞)
バナー広告 1年前に比べてクリック減った34% 増えた18%、
年間平均成長率81%の高成長率で拡大。 → IDC Japan予測 (2001.8.23 Internet Watch)
ブロードバンドユーザー 2005年 1,200万人へ 2001年末は260万人
パソコンと携帯電話端末向けを合計した市場規模は、2001年は12億円、 2003年には206億円。 米ジュピターメディアメトリックス調査 (2001.8.20 日経産業新聞)
音楽配信市場 2006年までに1,000億円を超える 携帯の高速化で活発に
総務省調査 (2001.9.8 読売新聞)
DSL加入者 8月末 50万人を突破 前月比27.3%増
1年後の利用予定回線は、ADSLが28.5%と最も高いが、2年後は光が33.1%、 ADSLは22.3%。 NTTエックス、三菱総合研究所調査 (2001.8.21 日刊工業新聞)
ネットユーザーの3割以上 2年後に「光接続」へ移行
通信速度は現在の1万倍程度、2005年までに実用化を目指す。 (2001.8.29 日本経済新聞)
総務省 100万人同時利用可能な超高速ネット開発 来年度から
→ ガートナー・ジャパン予測 (2001.9.4 Internet Watch)
ネットワーク機器市場 2005年 6,000億円に 年率6.4%成長
年間平均成長率16.9%で成長を続ける。 → IDC Japan予測 (2001.8.29 Internet Watch)
データセンター市場 2005年 1兆円へ 2000年は5,125億円
【世 界】
英ファイナンシャル・タイムズ紙と米ニューヨーク・タイムズ紙は、ビジネス、 技術、国際関係の記事の全文を相互に1日当たり最大10本掲載する。 (2001.8.9 日本経済新聞)
英米の有力新聞紙 ネット記事交換で合意 両サイトへのアクセス数を増やす
→ 米Nielsen//NetRatings調査 (2001.8.29 Internet Watch)
家庭のインターネット利用者 第2四半期 4億5,900万人 前期比3,000万人増
→ Business Communications予測 (2001.8.21 Internet Watch)
LAN市場 2005年までに2,350億ドルを突破
→ Informa Publishing Group予測 (2001.8.23 Internet Watch)
ゲーム市場 2006年には860億ドル規模に
【米 国】
ランダムハウスが、eブック出版社ロゼッタブックスを著作権侵害で訴えていた裁判 でニューヨーク南部地区連邦地裁が判決を下した。 (2001.8.21 日経産業新聞)
ニューヨークで判決 本の版権 電子版(eブック)には適用されない
本体のほか、数千種類もの部品や周辺機器、ソフトを取り揃え、様々なサービスも 提供する。 → http://www.amazon.com/computers (2001.8.31 Internet Watch)
Amazon コンピューターのオンライン販売ショップ「Computer store」開設
→ 米連邦通信委員会調査 (2001.8.13 Internet Watch)
高速ネット利用者 2000年 前年比158%増の710万人
2005末には、ケーブルモデムサービスへ加入する世帯数は約1,570万世帯に達する が、DSLサービスへの加入世帯数は1,050万世帯、衛星サービスへは450万世帯に とどまる。 → Yankee Group予測 (2001.9.6 Internet Watch)
家庭向けブロードバンド市場 2005年まではケーブルモデムが優勢
来年は103億ドル、2005年までには230億ドルに。景気減速で伸び率は鈍化する ものの、ネット広告の単価下落などで需要は膨らむと強きの見方。 → イーマーケター予測 (2001.8.31 日経産業新聞)
オンライン広告 2001年 前年比7%増の76億ドル