フィックス型電子書籍

2015.08.21

フィックス型電子書籍とは

フィックス型電子書籍とは、表示するデバイスの画面サイズに関わらず、印刷された本と同じように文字や図表などのレイアウトが固定される方式で制作された電子書籍をいう。非リフロー型、固定レイアウト型などとも呼ばれる。フィックス型電子書籍は、どのような端末においても、元のレイアウトが維持されるため、コミックや雑誌などの書籍に適している。

 

 

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リフローとフィックス

電子書籍には、EPUB、.book、XMDF、AZWのようなフォーマットの違いとは別に、リフロー型とフィックス型と呼ばれる表示方法による違いがある。

リフロー型は、文字の拡大縮小や行間変更などが可能であり、それに合わせて表示される画面内の文字数やレイアウトが流動的に変わる。これに対してフィックス型は、常にレイアウトが維持される。

 

メリットとデメリット

フィックス型電子書籍のメリットは、制作側が意図したデザインをそのまま表示できることである。例えばPDFファイルは、紙の書籍向けのレイアウトやデザインをそのまま電子書籍ビューアーで再現でき、InDesignのようなDTPソフトやMicrosoft Officeなどのアプリケーションからも簡単にPDFに変換できる。PDFは、制作コストのかからないフィックス型電子書籍に適したフォーマットの一つである。しかし、リフロー型のEPUBファイルなどにくらべて、データサイズが大きくなるなどのデメリットもある。

また、フィックス型では文字の拡大縮小、行間や書体の変更などはできない。文字の拡大には画面全体を拡大して表示しなければならず、デバイスの表示画面が小さい場合には、1ページの表示が画面の枠を超えてしまう。そのため隠れた部分を表示するために画面をスクロールする必要があり、非常に読みにくい。

 

フィックス型電子書籍の制作

コミックや絵本、雑誌や実用書、専門書や教材など、レイアウトと内容が密接に関係しており、リフロー型だと表示や構造が崩れてしまって内容の理解が困難になるタイプの書籍は、一般的にフィックス型で制作される。また、過去の書籍や古い文献資料など、DTPデータが存在しない書籍を電子化する際には、底本をスキャンしてフィックス型の電子書籍が作成される。最新のInDesignでは、「書き出し」メニューの「形式」から「EPUB(固定レイアウト)」を選択することで、DTPデータからフィックス型のEPUBファイルの制作が容易に可能である。

 

リフロー型とフィックス型の中間

ちなみに、EPUB3にはAdvanced-Hybrid Layout(アドバンスド・ハイブリッド・レイアウト)と呼ばれる、リフロー型とフィックス型のいいとこ取りをした方式がある。表示はフィックス型で行うため、レイアウトやデザインが崩れない。さらに文章の一部を取り出してデザインを排除したシンプルなテキストのみを表示し、読みやすい文字サイズに変更したり読み上げたりすることが可能な方式である。しかしこの仕様はまだ策定中であり、実際の利用は進んでいない。

[柳 明生/イースト株式会社/20150810]