電子納本

2017.02.09

電子納本とは

 電子納本とは、紙の本を国立国会図書館(以下、NDL)へ納める納本制度に対して、書籍や雑誌などの電子データをNDLに納本する制度の呼称または概念。オンライン納本とも言うこともある。

 

もっと詳しく!

 紙の本は、国立国会図書館法(昭和23年法律第5号)により、国内で発行されたすべての出版物をNDLに納入することが義務づけられている。これを納本制度という。一方、電子出版物の納本制度については、「国立国会図書館インターネット資料収集保存事業」および「オンライン資料収集制度」(以下、eデポ)により、限定的に制度化されている。現在は、すべての電子出版物の納本を義務付けるような網羅的な制度は存在しないが、しばしば電子納本という用語はこのような広義の意味を含めて用いられる場合もある。

 2010年4月1日から「国立国会図書館インターネット資料収集保存事業」により、国等のインターネット資料の収集を実施。その後、2012年6月に国立国会図書館法が改正され、2013年7月1日からは、私人が出版したオンライン資料もNDLの収集・保存対象するeデポが開始された。

 eデポは、インターネットなどで提供される電子書籍、電子雑誌、電子コミック、ケータイ小説などのうち、無償でDRM(デジタル著作権管理)のないものについて収集・保存する。紙の本の納本は義務化されており、納本しなかった場合に過料を科されるが、電子納本は罰則を設けず、発行者に自主的に電子データを送ってもらう形式をとる。送信費は発行者へ代償金として支払う。

電子書籍・電子雑誌収集実証実験事業

 当面は電子納本の対象として、無償かつDRMがない資料に限定されているが、有償またはDRMのある資料についても、「電子書籍・電子雑誌収集実証実験事業」において実証実験が行われている。実証実験の主な目的は、以下の2点である。

  • 1. 電子書籍・電子雑誌の収集及び長期的な保管・利用の技術的検証を行うこと。
  • 2. NDL内で電子書籍・電子雑誌を閲覧に供することによる電子書籍・電子雑誌ビジネスへの影響の検証や納入時の費用の調査分析を行うこと。

 実証実験は、第1段階と第2段階に分けて実施。現在実施中の第1段階では、実証実験の受託者である日本電子書籍出版社協会から送信された電子書籍・電子雑誌データを、NDL施設内の端末にて来館利用者が閲覧する。第2段階では、第1段階の結果を踏まえて内容を見直し、暗号化された電子書籍・電子雑誌データのNDLでの保存・利用に関する実験を行う。第2段階は、実証実験開始から3年以内を目途にしている。

電子納本の課題

 電子納本は、NDLからネット経由で電子書籍の配信に道を開くことにもなり、出版業界で懸念されている。著作権の保護や著作権料徴収にあたる独立機関の必要性や、民業圧迫の可能性も指摘されている。今後は、実証実験の状況も踏まえ、課題や民間の電子書籍ビジネスとの住み分けについて議論を深めていく必要がある。

[柳 明生 イースト株式会社 20170207]