電子納本

2017.02.09

電子納本とは

 電子納本とは、紙の本を国立国会図書館(以下、NDL)へ納める納本制度に対して、書籍や雑誌などの電子データをNDLに納本する制度の呼称または概念。オンライン納本とも言うこともある。

 

もっと詳しく!

 紙の本は、国立国会図書館法(昭和23年法律第5号)により、国内で発行されたすべての出版物をNDLに納入することが義務づけられている。これを納本制度という。一方、電子出版物の納本制度については、2013年7月1日、改正国立国会図書館法および、2022年5月17日、国立国会図書館法等の一部を改正する法律に基づき、民間のオンライ ン資料(電子書籍・電子雑誌)についても提供を義務付け、2023年5年1月から収集を開始することとなった。

 紙の本の納本は義務化されており、納本しなかった場合に過料を科されるが、電子納本は罰則を設けず、あらかじめ申告された URL に国立国会図書館からアクセスして収集する「自動収集」、国立国会図書館の送信システムからアップロードする「送信」、DVD-Rに格納して郵送する「送付」による方法で収集する。

 

電子納本の課題

 電子納本は、NDLからネット経由で電子書籍の配信に道を開くことにもなり、出版業界で懸念されている。著作権の保護や著作権料徴収にあたる独立機関の必要性や、民業圧迫の可能性も指摘されている。今後は、実証実験の状況も踏まえ、課題や民間の電子書籍ビジネスとの住み分けについて議論を深めていく必要がある。

 

 

[柳 明生 イースト株式会社  20170207]
[内容改訂 20220501]