電子図書館(2)

2017.03.10

電子図書館とは

 電子図書館とは、書籍や雑誌などの電子化された出版物や資料を収集し、インターネットやLANなどのネットワークを介した利用を提供するシステム。電子書店のようにコンテンツごとの買い切りではなく、一定期間の利用を貸し出し、利用が終わったら返却、あるいは貸し出し期限が切れたら利用できなくなる形態が多い。

 

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 公共図書館や大学などの教育機関から委託を受けた民間の電子図書館サービス業者が、その自治体域内や校内などの限定的なエリアにおいて一般公衆や学生などの利用に供するものを電子図書館と呼ぶことが多いが、特に図書館施設を持たない企業や研究機関自らが特定の利用者に向けて提供するものもある。

 学術論文やジャーナルをオンラインで提供する機関レポジトリも、電子図書館サービスの一つの形態である。これらはすでに公共図書館や大学図書館など多くの図書館で導入され、定着している。一方で、一般向けの電子図書館については、まだ緒に就いたばかりといえる。

 

メリットと課題

 利用者にとって電子図書館は、足を運んで図書館に行かなくても、昼夜を問わずいつでも家や職場で電子書籍を利用することができ、同じ本を同時に多くの利用者が読むこともできるといったメリットがある。図書館側にとっても、大量の蔵書の保管スペースが不要なこと、紙の本のように劣化しないこと、貸し出し業務や管理業務が合理化されるといったメリットがある。

 一方で、図書館の来館者数が減ってしまう懸念や、出版社にとっては出版物の販売機会が減る可能性が指摘されている。このような状況で、電子図書館のビジネスモデルもまだ確立されておらず、一般的な普及にはいたっていない。

 それでも電子図書館に対する意識は高まりつつあり、昨今、電子図書館の在り方に関する議論も活発に行われている。

 JEPAでは2012年10月、電子図書館推進のための諸要件を検討し、「公共図書館における電子図書館推進のための留意点」を公開。公共図書館が電子出版物を図書館利用者に提供(館内・館外)する際に、各関係者(図書館、図書館システム構築者、出版社・著者など権利者)が考慮すべき点、考え方、注意点をまとめた。

 

主な電子図書館サービス

 現在、公共図書館に対して電子図書館サービスを提供している主な民間の電子図書館サービスとしては、「eBook Library」「TRC-DL」(DNPグループ)、「JDLS」(角川/紀伊国屋書店/講談社、2016年10月DNPが資本参加)、「OverDrive」(楽天/メディアドゥ)などがあげられる。このような民間サービスと提携し、電子図書館サービスに積極的に取り組む自治体も増えてきているが、図書館を持つ約1300の自治体のうち、電子図書館を導入しているのは50余り(2017年2月時点)。

 

ビジネスモデル

 電子図書館サービス事業者は契約にもとづき、コンテンツの利用料金を図書館から徴収する。料金体系は、コンテンツの貸し出し頻度などを考慮して、①1ライセンス、1ユーザーのみに貸し出し可能で、2年間または最大52回貸し出せる制限付きモデル、②貸し出毎に課金する都度課金型、③1タイトルを同時に多数の利用者に貸し出すマルチユーザー型などの課金モデルが提案されている。

 

国立国会図書館の動き

 国立国会図書館(以下、NDL)は、1994年「電子図書館実証実験プロジェクト」、1998年「国立国会図書館電子図書館構想」など、20年以上にわたり、電子図書館化への取り組みを行っている。中でも、2009年、NDLが電子化した蔵書を公開し、ダウンロードして借りられるようにするという元NDL長尾館長が発表した私案、いわゆる「長尾構想」は様々な議論を呼んだ。

 2016年3月には「資料デジタル化基本計画2016-2020」を策定。2020年度までに、デジタル化の対象とする所蔵資料の範囲と優先順位、デジタル化の方法等についての考えを示した。

 現在までに電子化されたものについては、「国立国会図書館デジタルコレクション」として、資料の状況に従い、「インターネット公開」(著作権など権利状況に問題がないことが確認できたもの)、「図書館送信資料」(インターネット公開していない資料のうち絶版等で入手困難な資料で、図書館向けデジタル化資料送信サービス(図書館送信)に参加している図書館で閲覧可能)、「NDL館内限定」(上記にあてはまらない資料)といった3つの公開範囲で提供している。

 

 

[柳 明生 イースト株式会社 20170306]