電子出版はウケるのか?

2008.02.01

二玄社  近藤 俊

 日本におけるネット環境整備のスピードは凄かった。
 ホントにあっという間に、誰もが何処でもネットに接続できる。
 そんな環境が整った。
 ネット社会といえば、いうまでもなくデジタル社会。 基本的にはデジタルメディアとの相性は良いはず。
 なのに、出版界においては、今ひとつビジネスとしてのブレークスルーが見えてこない。
 なぜなのか?
 もしや、これまで紙の出版を続けて身に付いた「経験」とやらがじゃましてるんじゃなかろうか?と、考えたりもするわけです。
 おそらく企画にも問題があるケースが多いんでしょう。 紙の企画をそのままデジタルに持ってきても、ほぼうまくいかない。
 一方で、最近聞こえてくるのは、CD売れない、雑誌売れない、単行本も新聞も…… これって根本は、ヒトの生活時間のシェア争いが起こっている。
 ってことが原因です。
 仕事に関わる時間がどんどん長くなってる。
 テレビ、ラジオなど、従来型のメディアはもとより、メール、ブログ、SNSなど、ここ最近はじまったモノにも時間がとられていく。
 電車の中で、本を読んでる人、すっかり減りました。
 新聞を読んでるヒトもあまり見かけない。
 携帯電話いじってるか、ゲームしてるか、音楽聴いてる。
 つまりメール(コミュニケーション)とかゲーム、音楽(エンタテインメント)にシェアを奪われてしまってるわけです。
 そんな中、電子出版の分野で健闘しているのは、「携帯コミック」と「携帯小説」。
 これらの共通点は、「スキマ時間」の埋め方に適していたってこと。
 電車で、携帯電話いじってる人の生活時間にうまく入っていった。
 あれもこれもと丁寧に盛り込むような、親切なコンテンツ作りではなく、「広く・浅く・わかりやすい」が特徴で、2~3分でザッと読み切りができる。
 どんどん細切れになってる生活時間にうまく対応する。
 ここをうまくやれば、読ませる、魅せる、コンテンツ作りは充分可能。
 出版社の培ってきた経験が活かせる領域です。
 ネット社会のデジタルエンタテインメントにおいては、このことは必須であるように思います。
 ところで…… ビジネスモデルをどう構築するかというのは、コンテンツ作りとは別問題。
 携帯コンテンツを除いては、情報は無料がほぼ共通認識。 広告モデルで成り立たせるのか。
 などなど…… こっちの方は課題山積みです。
 もしかしたら、当面は携帯コンテンツに特化するに限るのかもしれません。
 半分冗談ですが…… 皆さん、頑張っていきましょう。