アプリ! アプリ! アプリ!

2017.06.04

新潮社  柴田 静也

前回2014年10月に『雑誌不況の果て』と題してこちらに寄稿してから2年半がたった。相変わらず、雑誌の部数は下がり続け、底が見えない状況だ。当時コミック雑誌のアプリへの移行を指摘したが、現在は求人の争奪戦も含めちょっとしたバブルの様相を呈している。コミック後発組の弊社でも、コミックの電子書籍に占める割合は年々増加傾向で、特に今年なってアプリの拡大には目をみはるものがある。

それは文化通信(5月29日付)の記事、アプリ市場の世界的な調査会社による2016年のゲーム「以外」のアプリ収益ランキングベスト10に日本企業が二つもランクインしたことからも伺いしれる。どちらもコミックを出している総合出版社である。いかにデジタルコミックの市場が拡大したか、またデジタルコミックの市場は、アマゾンやアップルのような、いわゆる既存の電子書店からなる電子書籍市場だけでは、捉えられなくなっていることがわかる。だから電子書籍元年に思い描いた世界とは随分と違い、ことデジタルコミックの分野において黒船は脅威と映らない。

コミックアプリの特徴は、無料であるが、個人的には「一話売り」に興味をひく。かつてのガラケー時代、通信環境の問題でコミックは「話」単位でしか販売することができなかった。それがスマートフォンの登場により、紙と同じ「冊」売りが可能になり、単価もあがり、一気に市場が拡大した。しかしアプリの登場により、また「話のバラ売り」時代が来たのだ。バラ売りだと、世界観が作りづらいとか、ライトユーザー向けとか、読み手が育たないとか、決して年寄のたわごとを言うまい。市場が求めている限り、善悪の判断をするまい。新たな表現方法、表現者も現れるだろう、ただただ身をゆだねるだけである。