キーパーソン・メッセージ

2020.03.02

再び、デジタル教科書の憂鬱

光村図書出版  黒川 弘一

 2017年2月に「デジタル教科書の憂鬱」という拙文を寄稿させていただいた。そのころは、デジタル教科書・教材を推進してきたものの、ようやく制度化への道を摸索しているころだったので、子供たちの学びにとって本当に良い方向へ進んでほしいという思いで、少々アイロニカルに語らせていただいた。

 あれから3年。デジタル教科書関連法案が成立し、「GIGAスクール構想」が国家プロジェクトとして立ち上がるまでになった。ロードマップも示され、デジタル教科書は2020年度から導入がスタートし、次の改訂教科書が発行される2024年度小学校、2025年度中学校からは「一層の促進」という流れが示されている。目指す方向として、「全ての授業において一人一台環境でデジタル教科書をはじめとするデジタルコンテンツをフルに活用、教師の指導や児童生徒の学びを支援する観点から学習ログを活用(多様な子供たちを誰一人取り残すことなく、個別最適化された学びの実現)」とある。

 こうした流れは、2000年からこの仕事に従事してきた自分にとって、大きな到達点の一つでもあるはずだ。しかし、やはりいまだに「憂鬱」な気分がつきまとう。今回は様々な期待が萎んでしまう前に、あえていくつか気になることを示しておきたい。

2020.02.03

電子出版への多様なアプローチと利用可能性をサポートする活動を

JEPA顧問 三瓶 徹

 日経によれば、米アップルのティム・クックCEOが、注目する分野として、現実の光景にデジタル情報を重ねて示す拡張現実(AR)を挙げ、「次のコンピュータープラットフォームになる」と述べた。モバイルネットワーク5Gの進展と同期し、情報伝達系、エンタメ系、教育系ではARという新しいメディアが花盛りになろうというのが巷の予測で、電子雑誌では、ARが当たり前になるかもしれませんね。
 紙の代替としてCD-ROM電子出版が始まってから30年、電子書籍が始まって10年になります。インプレス総合研究所によると電子書籍は3000億円を超える売り上げとなっており、特にマンガを売り上げる大手出版社の決算は大変良好です。それでも出版界には電子出版に踏み込まない出版社が沢山おられます。
 本には学術系、情報伝達系、リファレンス系、エンタメ系の分類のほか、評価軸を変えると、沢山売りたい本、限られた読者を対象にした本、図書館を対象にした本、面白い本、読むのが苦痛な本など、色々な種類があります。著作権の重さも、ビジネスモデルも違います。電子出版でやる場合も、ビジネスモデルも千差万別にならざるを得ません。電子出版に踏み込めなかった理由も千差万別でしょう。

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