潜在的ユーザーの開拓を

1998.09.01

大日本印刷  太田 宣敏

 印刷産業は昔から受託産業で、いわば黒子的存在、これは今も変わらない。 しかし基盤である出版界がこうも厳しくなるとその影響は計りしれない。 ひところは世の中が不況だと、出版界は逆に好景気と言わないまでもさほどの 影響はなかった。印刷業もしかりである。しかし今やその図式は当たらない。 書籍にしろCD-ROMを筆頭にした電子媒体にしろ、一部のベストセラー を除き、作っても売れない、と言われて久しい。その原因を、若者の活字離れ とか価値観の多様化とか、いずれも外部の要因に求めてきた。しかしもうそん なことは言ってられない時代になりました。
 少子化、高齢化がいわれ読者環境も変化の時代に入ってきた。しかし潜在的な 読書人口はまだまだいる筈である。要はそこを掘下げる工夫が大事だと思う。 パソコンやインターネットの普及は現実であり、あらゆるメディアをクロスさせ 顧客の分析を行い、ニーズの刈り取りとシーズの創出が決めてになる。
 また目の肥えた読者に対してはより多くの選択肢を提供していくことにより、 新たな購買意欲を喚起することも一方で必要かも知れません。 日本でも始まったデータベースマーケッテイングなどの手法により顧客の趣味・ 嗜好・性格などを受け、個人に見合った商品をプッシュ型で提供していく積極性 が求められる訳です。WEB上で書籍などの販売を手がける米国のアマゾン・コム などは販売の面で成功している例であり、日本においても幾つか成功例があります。
 今、一番の課題は商品をどのようにして売っていくかということだと思います。 かつては日本では通販は流行らないといわれてきたが、現実はその逆である。また インターネットを利用しての通販(ショッピング)がいろんなところで盛んである。 これはカタログ(紙)通販でも同じだが、要は自宅や会社で好きな時に注文が出来る、 つまり、時間の節約ができるという利便性が高いからです。多少値段が高くても 便利であれば利用する人は大勢いると思います。
 書籍やCD-ROMなども同じでしょう。地方になればなるほど書店やパソコン ショップは少なく、仮に存在しても希望の商品が置いてないことが多いと思います。 そこでインターネツトを見られる環境にある人は、パソコン上で目指す商品を探し オーダーも簡単にできる訳です。目次や一部コンテンツが覗ければもっといいで しょう。ここに今まで逃がしていた潜在的ユーザーを開拓することができ、販売の 底上げに繋がる筈です。
 印刷業界と出版界は一蓮托生の関係にあると思います。JEPAに加盟されてる 企業・出版社の皆さんに元気がないと、印刷会社の将来もありません。 一翼を担う身として、多少なりとも元気の素を提供出来ればと思うこの頃です。 懇親委員会にも積極的に参加し元気をだしましょう。