電子出版物の著作権処理

2007.10.01

JEPA事務局  三瓶 徹

 著作物の流通促進という観点から見ると、大作家の作品から個人ブログ、いろいろな権利が集った雑誌、教科書、辞書、論文、新聞などの多様な出版コンテンツと、注目はされているものの権利処理の負担とビジネスモデルの葛藤の中で金縛り状態にあるTV映像や、著作権者よりも著作隣接権者を中心にビジネスが動いてきた音楽コンテンツとを現行法で一様に扱うのは難しいとの意見が専門家の間でもあります。
 その出版コンテンツの中でも、エンタメ系(小説、漫画)、情報伝達系(ニュース、雑誌、ハウツー物)、学術系(論文、専門書、教科書)、データベース系(辞書、医療データ、判例)では、それぞれの利用のされ方、著作権者の意向も異なり、現状はケースバイケースで、それぞれの当事者が権利者の意向やビジネス上の判断で著作権処理を行っておられます。
 JEPAには、著作権的には著者の立場に近い出版社から、二次利用者、配信事業者までの幅広い会員がおられるので、著者と出版社間、出版社と二次利用者間、配信事業者間の著作権に関わる契約のお話を伺うと、日々進化していくビジネス商品へ対応するために、リスクを網羅した分厚い契約書を用意することも、編集者自身が契約書を書かねばならない多くの中小出版社にとっては難しい問題だと再認識するこの頃です。