新型コロナがもたらしたリモートというスタイル

2023.05.01

JEPA事務局  清水 隆

 新型コロナウイルスの感染症は、法的には5月8日から今までの2類相当から季節性インフルエンザなどと同じ5類として扱われるようになる。これを機に業務体制などを新型コロナ登場以前に戻すという動きが盛んになるかもしれない。ただ、新型コロナの影響下で広がったリモート業務などは単に緊急避難的な意味だけではなく、新しい業務のかたちを提示したことは明かだろう。

 JEPAの活動においてはセミナーのリモート開催というスタイルが定着した。その特徴を並べてみよう。

・席数の制限がなくなり参加者が増えた
 参加登録数には登録サイトの制限があるが、最大約10倍の人数が登録可能になった。実際には年間平均すると新型コロナ前に比べて約3倍の人が参加している。

・参加者も講師も場所の制限がなくなった
 セミナー参加者は都合のいい場所から参加することができる。また、講師も移動の必要がなくなった。実際に講師が海外から接続してセミナーを実施することもあった。

・動画アーカイブによりリアルタイムでなくても閲覧することが可能になった
 YouTubeに日本電子出版協会チャンネル(@JEPA1)を設けて、講師の了解など事情が許すものについてはアーカイブを公開している。これにより多くの人がJEPAセミナーを閲覧できるようになった。リアルタイムにおいてもYouTube Liveでは事実上無制限に参加することができる。

 こう見てみると、総じてロケーションからの解放という意味が大きいと感じる。JEPAはミニマムな事業体制なので、リモートに対応するために事務所を小さくすることですんでいるが、一般企業はそうはいかないだろう。リアルなコミュニケーションがないことで、メンバーの所属意識や一体感を醸すことができない。とくに新入社員への対応に苦労するという話を聞く。

 実際には、新型コロナが下火になると原則出社にもどした企業もあれば、フロア数を半分にしてデスクはフリーアドレス化して、もう以前にはもどらないとしている企業もある。出社日数や新人教育ではさまざまな試みがなされている。リモートの利点と課題について、これからどのような結果が出るのだろうか注目していきたい。

 ところで、たまたまラッシュになる時間帯に電車に乗り合わせると新型コロナ以前と同様のすし詰め状態が復活している。あれほど「密は避ける」といってきたのに、ごく基本的なところでの対応がまだされていないのだろうか。