知的財産権

2017.02.15

知的財産権とは

 知的財産権は、特許権、実用新案権、意匠権、商標権などの産業財産権や、著作権をはじめとする文化的創作に関わる権利などを含む幅広い権利を指すものだ。育種権のような種苗に関わる権利や、パブリシティ権や肖像権などのように、法律に記されていないが判例によって認められている権利も知的財産権に含まれる。

 産業財産権には、登録という大きな特徴がある。著作権のように創作するだけで手続きなどがなくても付与される権利とは異なる。

 

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著作物の境界

 絵画や文芸作品のように創作されれば著作物と認められるものと異なり、陶磁器、木工製品のような実用性のある工芸品などは、著作権で保護されないものも多い。工芸品などでは、機能やデザインなどを産業財産権で保護することができる場合もある。

 

「純粋美術」と「応用美術」

 純粋美術とは、絵画のように鑑賞される美術品を指す。応用美術では、茶碗や刀剣のような一品制作の美術工芸品が著作権の保護を受けるとされる。美しい茶碗であっても、量産されるものは、著作権の保護対象とはならないと思われる。

 工芸品やデザイン作品は、著作権の保護を受ける著作物であるか否かの境界が微妙で、どこからが著作物であるということができない。しかし、産業財産権を登録することによって保護を受ける道がある。例えば、一般に工芸品とされる陶磁器でも特別な機能、特別な形、ブランドを保護したい場合は、実用新案や意匠、商標を登録することで権利を保護することが可能になる。

 

ミッフィー対キャシー裁判

 サンリオのウサギのキャラクタ「キャシー」が、ディック・ブルーナーの「ミッフィー」に似ているとして、2010年にオランダで商標と著作権の侵害で裁判になったことがある。「酷似していて著作権侵害だ」だという意見と「ウサギを擬人化して絵にした結果だ」という意見の対決になった。裁判は2011年の東日本大震災発生の後、裁判費用を震災復興のためにに寄付するという形で和解になった。このように似ていても著作権を侵害しているかどうかは難しい問題を抱えている。

 

雑誌と商標

 雑誌の題号がすでに商標登録されているのを知らずに、発刊後に提訴されるような事態は避けたい。これは、刊行形態が紙か電子を問わない。そのためには、事前に商標登録を調査するのがいい。

 これは、「特許情報プラットフォーム」のサイトで簡単に検索することができる。題号がすでに登録されているかを確認するとともに、「商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務」の欄、つまり使用目的についても確認する。また、書籍の題号は商標と同じものがあっても、一般に商標権の侵害にはならないとされている。

 

不正競争防止法

 知的財産権に直接関与する法律ではないが、類似製品からオリジナルの製品を守るために不正競争防止法が適用されることがある。よく知られているのは、1999年に起きたiMacとe-oneというPCの裁判だ。半透明筐体のディスプレイ(CRT)一体型のiMacがヒットする中で、WindowsPCであるe-oneがそっくりなデザインで発売された。アップル社が不正競争防止法でe-oneのメーカーを訴えた例だ。

 

 

[清水 隆 20170214]