JEPAニュース316号

2023.08.31

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01. 事務局から 9月の予定
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●委員会・理事会・セミナーの開催について
委員会・理事会・セミナーは基本的にオンラインで開催しています。
新たに委員会への参加を希望される会員は、info@jepa.or.jp までご連絡ください。

●9月7日(木)17時 レファレンス委員会
●9月13日(水)17時 著作権委員会
●9月14日(木)17時 電子図書館委員会
●9月20日(水)17時 ビジネス研究委員会
●9月21日(木)16時30分 広報委員会
●9月28日(木)16時 理事会

※セミナーの詳細はJEPA Webサイトの「セミナー情報」をご覧ください。
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02. キーパーソン・メッセージ
https://www.jepa.or.jp/keyperson_message/202308_6179/
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◆◇◆ 紙雑誌と電子コミックの現在が示す出版の未来 ◆◇◆

 2013年から2022年までの10年、これは私が出版社を辞し電子出版流通会社の経営に携わった期間とほぼ一致しますが、この間にコミックを除く紙雑誌の売上は50.2%(5507億円が2767億円)に減少し、電子コミックの売上は598.0%(749億円が4479億円)に大飛躍しました。いまや、電子コミックの売上は紙雑誌売上(コミックを除く)の1.6倍になっているのです。雑誌扱いコミックや紙のコミック雑誌を加えても、紙雑誌の4795億円に対して、電子コミックは4479億円と、ほぼ拮抗するまでに至っています。

 これによって、紙と電子の全ての出版売上は2018年に底を打ち、その後は僅かですが増加傾向にあります。電子コミックの驚異的な伸びが紙出版の売上減を補って、ささやかですが余りが出たということです。実のところ2018年までのコミック全体の売上は、紙の減少分を電子の増加分が埋めることによって、ほぼ横ばいで推移していました。それがこの年を境に電子コミックの売上が急に伸び始め、紙コミックの減少分を上回るようになったのです。その結果、コミック全体の売上は10年間で1.53倍に増えました。電子によってコミックの市場は以前より大きく拡張したことになります。

 一方、紙雑誌(コミックを除く)は前述の通り、毎年5~10%ずつ減少し続け、10年間で市場がちょうど半分になってしまいました。参考までに紙の書籍市場(コミックを除く)ですが、こちらも10年間で81.5%に縮小しています。

 ここからが本題です。電子コミックはなぜこんなに売上が伸びたのでしょう? 紙のコミックが電子に置き替わったというだけでは、市場全体が1.53倍になったことの説明がつきません。2018年からの伸びについてはいくつかの原因が考えられます。1)『鬼滅の刃』を始めとするヒット作に恵まれた、2)コロナによる引き籠もり特需があった、3)アニメの製作数と放送(配信)枠が増えた、などなどが考えられます。

 しかし私は、電子コミックの流通におけるビジネスモデルの革新が大きな理由のひとつだと考えています。合本によるまとめ買い、分冊による話売り、読み放題のサブスクリプションモデル、待てば無料などの連載、大胆な無料施策と価格政策、極めつけは縦スクロールという新しい形式です。一部の電子書店が始めたこれらの新しいビジネスモデルを多くの電子書店が取り入れ、一般化したのがこの5年間ではなかったでしょうか。こうした新しいビジネスモデルがコミックの市場を拡大し、ひいては20年以上続いた出版市場の右肩下がりに歯止めをかけたのだと考えています。そしてこれら全てのビジネスモデルの前提となったのが、電子化されたコミックの存在でした。新刊はもとより過去作品の多くも電子化を完了したコミック業界は、いま、その果実を存分に味わっています。

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※つづきは、次のURLでどうぞ。
https://www.jepa.or.jp/keyperson_message/202308_6179/
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03. JEPAからのお知らせ
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★JEPAサイトの特別企画「委員会に入ろう!」スタート。
第1回は、ビジネス研究会を紹介します。
https://www.jepa.or.jp/jepa/commitee/join/
★JEPAオンラインセミナー・アーカイブ
JEPAセミナーの多くをYouTubeの動画アーカイブで視聴できます。
https://www.youtube.com/@jepa1/streams

●JEPAセミナー報告(資料や映像)
・2023年7月4日 JEPA・eBP共催 村瀬拓男弁護士「著作権入門セミナー3」
https://www.jepa.or.jp/sem/20230704/
・2023年月7月5日 茶話会ゼミ「ChatGPTを活用した英語教材の制作活用事例」
https://www.jepa.or.jp/sem/20230705/
・2023年7月12日 高見真也氏:W3C標準「EPUB 3.3」とアクセシビリティ対応
https://www.jepa.or.jp/sem/20230712/
・2023年7月21日 馬場公彦氏:中国出版業界最新事情2023
 ――第29回北京ブックフェア概況報告を兼ねて
https://www.jepa.or.jp/sem/20230721/
・2023年7月31日 始めませんか? アクセシブルな電子図書館の開発と導入
 ――「電子図書館のアクセシビリティ対応ガイドライン1.0」概要
https://www.jepa.or.jp/sem/20230731/
・2023年8月29日 小学館グループが取り組む中等教育戦略
 ――ジャパンナレッジSchoolとAI型教材Qubena
https://www.jepa.or.jp/sem/20230829/
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04. 電子出版関連の動き
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●「1EdTech Japan Conference 2023」を8/31~9/2に開催
https://www.imsjapan.org/1edtech-japan-conference
●ポプラ社と日本総研、電子書籍・事典の活用による読書支援の効果を長崎市立小学校で調査
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000675.000031579.html
●インプレス、『電子書籍ビジネス調査報告書2022』を8月10日発売……2022年度の市場規模は6026億円
https://research.impress.co.jp/topics/list/ebook/673
●ガートナーが2023年の日本版ハイプ・サイクル発表……生成AIは過度な期待のピーク期
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/15762/
●日本エディタースクール刊行の編集・校正書籍16点を電子化……ディスカバー・トゥエンティワン発売
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001169.000018193.html