キーパーソン・メッセージ

2018.05.27

きっと死ぬ頃には……長谷川秀記的デジタル考

森 誠一郎 自由国民社

 予測では、自分が「死ぬ頃」には紙の本より電子の方が圧倒的に優勢になる。これだけは断言しておくよ。
 そう力説したのはあの長谷川さんである。ある種の持論というか願掛けにも聞こえたものである。あれから30年以上たった昨年5月、なぜか突然逝かれてしまった。長谷川予測の紙と電子の天秤は「優勢」というのがどうにも主観的にならざるを得ないのだが、駆逐とかアルティメットクラッシュといったことばを使わなかったところはよしとしておこう。電子好きを標榜しながら、紙の本への偏愛も結果的には捨て切れられずにいたところはいつも嘘をついて誤魔化していたところがあったがゆえに。

 そんな長谷川さんの一周忌を過ぎたころ、三瓶さんから「原稿の順番来ましたよ」とメール連絡。どこぞにいるのか知らないが、「……おれのことを書けっていうことでしょ。三瓶さんがせっかく仕込んでくれたんだから」という声を聞いたような聞かなかったような。
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2018.04.10

電子出版とは

金原 俊  JEPA会長(医学書院)

 長年、「電子出版」事業に携わっており、現在はJEPA「日本電子出版協会」の会長も仰せつかっているが、最近、「電子出版」という言葉に違和感を覚えるようになってきた。

 JEPAが発足した電子出版の黎明期によく言われたのが、『電子出版には、「電子的な制作手法による電子出版(DTPなど)」と「電子媒体を活用した電子出版(CD-ROMなど)」の2種類がある』だ。前者の電子的な手法を用いた出版は、昨今、当たり前になりすぎて、とりたてて「電子出版」と呼ぶ必要もなくなったようである。『全てのテレビがカラーになったので「カラーテレビ」という言葉がなくなり、むしろ「白黒テレビ」という言葉が必要になった』の例え話のとおりだ。

 それでは後者の「媒体としての電子出版」はどうか? JEPA発足から30年経った今も相変わらず紙媒体がマジョリティなので、カラーテレビの例え話に従えば、今でも「電子出版」という言葉は必要だ。実際に出版界ではもう何十年も「電子出版を推進して出版不況を打開しよう」と電子化を進めているが、果たして本当にそうだろうか。
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