iBooks

2017.01.12

iBooksとは

 iBooksは、アメリカのApple社が提供する電子書籍アプリケーションである。2010年1月、プレスカンファレンスでiPadと同時に発表され、同年3月、電子書店iBooks Storeがオープンした。日本での同ストアのオープンは2013年3月である。iPhone、iPad、iPod touchなどのiOS端末用とMac用がある。前者はiOS 8以降の端末、後者はMac OS X Mavericks 以降の端末に付属している。

 

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機能

 iBooksで利用できる電子書籍コンテンツは、iTunesかiBook Storeから端末にダウンロードする。対応しているフォーマットは、EPUB形式、PDF形式、iBooks形式の3つである。また、MP3、AAC、audible.comのオーディオブック形式に対応している。

 上記の電子書籍フォーマットのうち、iBooks形式はApple社が策定したものである。オーサリングアプリケーションであるiBooks Author(後述)で作成することが可能。

 iBooksは、iOS向けに提供されている他社の電子書籍閲覧アプリと異なり、電子書籍の購入と閲覧の機能が統合されている点が大きな特長である。KindleストアやKoboといったほかの電子書籍サービスでは、コンテンツの購入(ブラウザでストアサイトにアクセス)と閲覧(リーダーアプリを起動)が分離されている。これは、アプリの提供者に対してAppleが同社独自のアプリ内課金システムを利用するよう命じているためである。このシステムが利用された場合には、30%の手数料をApple側に支払うよう定めている。

 アプリの提供者は、アプリ内でコンテンツの購入ができないようにしてこの支払いを回避するか、支払いを受け入れて購入ができるようにするかを選択しなければならない。電子書籍サービスのアプリのうち、前者の例がKindleストアやKoboなどで、後者の例が紀伊國屋書店の提供するKinoppy for iOSなどである。Kinoppyでは、この課金分がコンテンツの価格に上乗せされているため、同じ商品でもこのアプリから購入した場合と、ブラウザのストアサイトから購入した場合とで価格が異なる。

 これに対しiBooksは、Appleの純正アプリである点を活かし、アプリ内での閲覧と購入をストレスなく済ませることができるようになっている。

iBooks Store

 iBooksで読むためのコンテンツを購入できる電子書店が、iBooks Storeである。日本では2013年3月にオープンした。オープン当初、作家の村上龍がオリジナルデジタルブック「心はあなたのもとに」「希望の国のエクソダス」「空港にて」の3作を、iBooks Store限定で発売したことが話題になった。

 iBooks Storeは、しばしばセール価格で売られる「iTunesカード」で支払いをすることが可能である。このため実質的に定価より安くコンテンツを購入できることや、Apple製品の世界的な普及、前述のようなiBooksアプリの機能性などに特長がある。しかし、iBooks Storeは、iOS限定の電子書店となる。Kindleストアや楽天ブックスなど、競合する電子書店がこのような制限を取り払い、Android端末にもiOSにもWindows PCにも対応したサービスを展開している点を鑑みると、この制約はユーザーにとって不便である。

iBooks Author

 iBooks Author は、iPadやMacで閲覧できる電子書籍コンテンツを作成するための、無料オーサリング用アプリケーションである。バージョン2以降、Adobe InDesignやEPUBなどのファイルを読み込むこともできるようになっている。動画やアニメーション、音声などを埋め込んだインタラクティブな書籍や教科書を作成できる点が、ほかのセルフ・パブリッシングツールと比べて特徴的である。

 

参考URL

iBooks http://www.apple.com/jp/ibooks/

[松本千晶 株式会社研究社 20170110]