JEPA 日本電子出版協会

電子図書館委員会

小中学校デジタル図書館 

 電子図書館は、『誰もが居ながらにして世界中の本が読めるようになる』という夢を与えてくれますが、網羅的なコンテンツの収集と提供には、技術的な課題だけでなく、著作権処理、出版ビジネスモデルなど様々な議論が必要になります。また技術の流れに沿えば、AI出現の前から、いずれ世界に一つの仮想電子図書館が作られ、ビッグデータ化されて世界の頭脳になると言われてきましたが、ここまで汎用AIが急速に進化すると、図書館は、AIの特質に合わせたパラダイム・シフトが求められます。JEPA電子図書館委員会では、『出版社と著者に正確かつ公平で十分な利用料が還元され、持続可能な電子図書館サービスになるかどうか』 という視点から、電子図書館のモデルを模索してきました。その結果、小中学校向けの学校電子図書館に絞れば、解があるという結論になりました。
 公共図書館の電子図書館で、ベストセラーなどの読みたい本が待たずに読み放題になる、ということは出版社のビジネスが崩壊するのであり得ませんが、我々が提言している小中学校向け専用デジタル図書館は、義務教育に絞ることによって、「全国の小中学校900万人の子ども達が読んだ本の(蔵書購入ではなく)アクセス利用料を、国が保証する義務教育の一環として税金で払うというビジネスモデル」とし、子ども達への機会平等を実現しようというものです。今までの紙の学校図書館を否定するものではありません。電子図書館は、紙の図書館の“補完”であり、“アップグレード”です
。読書量の大幅増、語彙力・読解力の改善、探究学習との接続、不登校児の読書機会拡大などのエビデンスを得ながら、全ての子どもに読書アクセスを保障する国家インフラに育てて行かねばなりません。そのためには首長や教育委員会、学校の積極的な協力が必要で、関係者はもとより多くの国民の理解を得ねばなりません。

2026年度活動計画

委員会を月1回開催(原則として毎月第2木曜日の17時~18時半)、但し8月は休会。

  • (1) 小中学校を対象とした学校デジタル図書館の推進
     学校では個別最適な学びと協働的な学びの一体的充実とともに、探究的な学びの推進が求められており、学校図書館が学びの核として教科等で活用されるために、読書センターに加えて学習センターと情報センター機能の更なる充実を図る必要があると言われていますが、その対応に地域環境格差(都市部と離島、山間地域間)だけでなく、自治体間格差、学校間格差があり、例えば学校図書館標準は策定から30年以上が経過してなお全国・全校の標準達成が遠い状況にあり、鍵の掛かった学校図書館など、図書の整備すら未だ課題が残っています。
     学校デジタル図書館は、義務教育に絞ることによって、「クラウドから例えば5万冊の電子本、事典、統計資料、海外出版物などの情報を提供し、全国の小中学校900万人の子ども達が読んだ本の(蔵書購入ではなく)アクセス利用料を、国が保証する義務教育の一環として税金で払うというビジネスモデル」とし、全国の子ども達への機会平等を実現することで、自治体間格差、学校間格差、地域環境格差、ユーザー格差(外国籍、バリアーフリー)を一括して改善しようとするものです。そして電子図書館で本が注目されると、紙の本も再評価され、その両方の取り組みを通じて、子ども達の学びを最大化できます。
     出版社の売り上げは減らさず、買い手(国)の負担も増やさず、流通を簡素化して全国隅々の子ども達が今まで出版社が蓄積してきた多様で大量な本が読める次世代のビジネスモデルです。
     ・国はインフラ・予算・契約のみ担当し、選書は出版社+有識者による独立委員会が実施します。
     ・費用は、紙の図書費に対する地方財政措置の一部を国が一括してデジタルに付け替えるだけで、“財政中立~軽微な追加”で実施可能になります。
     ・自治体・学校の契約・アカウント登録は不要で、学校現場の事務負担ゼロになります。
     ・読まれた分だけ出版社、著者に利用料が入る公正なビジネスモデルで、出版産業を保護しつつ、全国の子どもに読書機会を保障できます。
     ・モデル事業から段階的に全国展開し、効果検証後に恒久化を判断できます。
     また、現場の先生方や学校司書を支援する全国的なコミュニティも構築し、自律的にみんなで切磋琢磨できる環境を用意する必要もあります。先生方や学校司書を支援するAI for学校図書館の他、学校デジタル図書館を使ったAI学習基盤の構築も急がれます。
  •  2026年度も2025年度に引き続き、学識経験者、学校教育関係者、サービス各社、児童書出版社などとの勉強会を、文部科学省の支援を得てスタートさせることを目標にしたいと思います。  

(2) 電子図書館をテーマにしたセミナー・見学会の実施
(3) その他、目的達成に必要なこと
委員会のへの参加を検討されている方は、下記をご覧ください。
https://www.jepa.or.jp/jepa/commitee/join/

過去の成果

2010/02/05 国立国会図書館に対して電子書籍配信構想に関する「日本電子出版協会案」を提案
2012/10/18 「公共図書館における電子図書館推進のための留意点」提案
2017/3/24 国立国会図書館による有償の電子書籍・電子雑誌等の収集と閲覧提供についての提案

2021年からの活動

  1. 1. 緊急提言「今こそ国は学校電子図書館の準備を!」を2021年2月24日にJEPAサイトに公開した。
    https://www.jepa.or.jp/pressrelease/20210224b/
  2.  
  3. 2. 2021年9月8日に広報委員会の協力を得て「学校デジタル図書館」の特設サイトをオープンした。特設ページは、全国のどの小中学校でも使える「学校デジタル図書館」を国主導でつくることを訴えるもので、わかりやすい動画などでその趣旨を伝えている。
  4.  

  5. 3. 図書館総合展2021年11月1日~30日に出展しました。
    https://www.libraryfair.jp/booth/2021/23/
  6.  
  7. 4. 2021年12月22日に文科大臣に要望書を、総理大臣、官房長官、デジタル大臣、参議院文教科学委員会、衆議院文部科学委員会、全国知事会、全国市長会、全国町村会、全国都道府県教育委員会連合会、文字活字文化推進機構、理化学研究所などには要望書の写しを、全部で84名の方々にお送りした。
  8.  
  9. 5. 図書館総合展2022年11月1日~30日に出展しました。
    https://www.libraryfair.jp/booth/2022/127

        • 6. 文部科学省 第5次「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」への意見(案) へのパブコメを11件提出し、2件に回答がありました。令和5年3月24日
          意見概要
          ・デジタル化等、今後の子どもの読書活動を取り巻く情勢の変化を想定した大胆な計画が求められるのではないか。
          ・児童生徒の読書習慣の形成のため、学校図書館の利活用を促進すべく、クラウド上に「小中学校向け学校デジタル図書館」をつくり、国が中心となって取り組むべきではないか。
      1. 7. 2023年10月19日に文部科学省の大臣室を訪問し、盛山正仁 文部科学大臣要望書をお渡しして、資料にてご説明しました。大臣は熱心に聞いて下さり、ユニバーサルデザイン等の重要性についてもご指摘がありました。同日、平井卓也 元デジタル大臣も、お忙しい時間を割いて説明を聞いて下さり、著作権等についてご質問を頂きました。
    1. 8.  図書館総合展2023年10月24日25日のポスターセッションに出展しました。
    2. https://www.libraryfair.jp/poster/2023/136
  10. 9.  文部科学省 地域学習推進課に以下の資料を提出しました。
  11. 学校デジタル図書館提案資料

  12. 「学校デジタル図書館」に国の関与が必要な理由
  1. 10.  図書館総合展2024年11月5日~7日のポスターセッションに出展しました。
  2. https://www.libraryfair.jp/poster/2024/227
  3. 2024年度 ポスター
  4. 11.  図書館総合展2025年10月22日~24日のポスターセッションに出展しました。
  5. https://www.libraryfair.jp/poster/2025/291
  6.  
  7.  
電子図書館委員会メンバー
委員長 三瓶 徹 JEPA顧問
委員 天谷幹夫 JEPA副会長 パピレス
委員 岡山 将也 JEPA理事 日立コンサルティング
委員 金原 俊 JEPA前会長 医学書院
副委員長 佐野 悠介 コスモピア
特別委員 塩田 幸雄 元厚生労働省政策統括官
委員 鈴木 秀生 学研HD
委員 高橋 考 三和書籍HD
委員 中山 正樹 JEPAフェロー 元国立国会図書館電子情報部長
委員 堀 鉄彦 特別個人会員
特別委員 柳 明生  
委員 山岡 功 大日本印刷
委員 松田真美 JEPA会長 中西印刷
委員 清水 隆 事務局長